国語授業の教材研究
授業はぶっつけではできない。
事前に教科書を読んで、
「ここはこう発問して、こういう活動をして・・・」
と作戦を立てる。
これを教師の世界では「教材研究」と呼ぶ。
「教材研究が最もやりづらい教科は何か?」
こう問われたら、私は即座に
「国語!」
と答える。
国語の教科書は、ページの9割は教材文で埋められている。
教材文の末尾に「学習のてびき」という“学習の方向性”を示すページがあるが、解答が示されているわけではないので、読んだだけでは学力はつかない。
(その点、算数の教科書は例題の解法が示されている)
しかも、教科書が変わるたびに、収録される教材文は変わる。
(中には、ずっと載っている定番教材もあるが)
教材文が変わるということは、以前やった教材研究がストレートに生きてこないということである。
これはツライ。
今回の改訂では、教材文のほとんどが入れ替わった。
新しい国語の教科書を見た時に「あっちゃ〜」と声を出した教師は、私だけではあるまい。
新しい教材文だから先行実践があるわけでもなく、手探りで教材研究をすることになる。
では、どうするか?
今回、「海にねむる未来」という説明文(光村5年)を攻略するのに、私がとった方法は次の通りである。
1:教材文の全文を打ち込む。
本当は視写すればいいのだろうが、これでも「どこに何が書いてあるか」は理解できるし「この文章の特徴は何か」ということも見えてくる。
2:問題を思いつくまま作ってみる。
向山洋一氏によれば、「一つの教材文で100問作る」のが一応の目安だそうだ。
「海にねむる未来」は、足掛け8ページで約2000字と短い。
ひと晩がんばって51問が限度だった。(完全に力量不足だ)
「海にねむる未来」問題集
基礎編
01:この説明文の筆者はだれですか。
02この文章はいくつの形式段落で成り立っていますか。
03:この文章を大きく三つに分けます。二つ目のまとまりの最初の六文字を書きなさい。
04:この文章を大きく三つに分けます。三つ目のまとまりの最初の一文字を書きなさい。
05:この文章を大きく五つに分けます。三つ目のまとまりの最初の五文字を書きなさい。
06:この文章を大きく五つに分けます。四つ目のまとまりの最初の六文字を書きなさい。
07:この文章を大きく六つに分けます。六つ目のまとまりの最初の三文字を書きなさい。
08:読者に問いかけている一文をぬき書きしなさい。
09:問いかけの文の答えとなる一文をぬき書きしなさい。
読み取り基本編
10:この説明文では、例として三人の博士の研究があげられています。何という博士がどんな生物の研究をしていますか、「○○博士―○○の研究」という書き方ですべてあげなさい。
11:三人の博士のうちで、最も研究が進んでいるのは誰ですか。理由もあげなさい。
12:三人の博士のうちで、最も研究が進んでいないのは誰ですか。理由もあげなさい。
13:海綿は植物ですか、動物ですか。
14:サメと海綿とカブトガニが地球上にあらわれたのは、それぞれ何年前ですか。「○○―およそ○年前」という形式で答えなさい。
15:カブトガニの血液から、新しい薬を得ようとする研究は、現在行われていますか、行われていませんか。
16:カブトガニの血液の成分から、どんな薬が作られましたか。
17:カブトガニの血液の成分から作られた薬は、どんな菌を調べる薬ですか。菌の名前を二つあげなさい。
18:海にある「宝」はすべて発見されたのですか。
19:海の中でねむっている宝を発見しようとしている人たちの職業は何ですか。
20:三人の博士のうち、間違いなく一人は女性です。それは誰ですか。
21:ザスロフ博士が言う「同じ敵」とは何ですか。文中から漢字二文字で抜き出しなさい。
22:ザスロフ博士が語った言葉をそっくりぬき書きしなさい。
23:ポンポーニ博士は、海綿と人間のどちらがすぐれていると考えていますか。理由も書きなさい。
24:昔は伝せん病にかかって死ぬ人がいたのですか、いなかったのですか。理由も書きなさい。
25:世界じゅうの生物学者たちは、何のために海の中の生物を研究しているのですか。
26:世界じゅうの生物学者たちが研究している生物は、サメや海綿、カブトガニ、クラゲやウニ、イカやヒトデ以外にいますかいませんか。理由もあげなさい。
27:P.38 5行目の「それ」とは何ですか。
28:P.38 7〜8行目の「かれら」とはどんな人たちですか。
29:P.39 8行目「その細菌」とは、どんな細菌ですか。
30:P.39 12行目「このこと」とは、どんなことですか。一文をぬき書きしなさい。
31:P.40 1行目「その能力」とは、どんな能力ですか。
32:P.40 6行目「その物質」とは、どんな物質ですか。
33:P.40 7行目「その薬」とは、どんな薬ですか。
34:P.40 9行目「それ」とは、何ですか。
35:P.41 3行目「それ」とは、何ですか。
36:P.41 6行目「それ」とは、どういうことですか。一文をぬき書きしなさい。
37:P.42 1行目「その」とは、どういうことですか。
38:P.42 2行目「そのこと」とは、どんなことですか。
39:P.42 5行目「そのちえ」とは、どんなちえですか。答えの最後が「生きるためのちえ」となるように書きなさい。
40:P.44 2行目「このこと」とは、どんなことですか。
41:P.44 5行目「この成分」とは、どんな成分ですか。
42:P.44 9行目「こうした発見」とは、どういう発見ですか。答えの最後が「発見したこと」となるように書きなさい。
43:P.44 12行目「この働き」とは、どんな働きですか。答えの最後が「働き」となるように書きなさい。
44:P.45 4行目「かれら」とは、だれですか。
45:P.45 7行目「それら」とは、何ですか。
46:P.45 8行目「それぞれ」とは、何ですか。
47:P.45 9行目「そのちえ」とは、どんなちえですか。
筆者の考え編
48:P.45 11〜12行目に「そんな、かけがえのない宝が、海の中でねむっているのである。」とありますが、なぜ「かけがえのない宝」なのですか。
49:筆者がこの説明文を書くきっかけとなったのは、誰の研究ですか。理由もあげなさい。
50:この説明文の要旨を一文で書きなさい。
51:「海にねむる未来」という題名の「未来」を、文章中から選んだ別の言葉を使って「海にねむる○○」というふうに書きかえなさい。
指示語の内容を問う問題が非常に多い。
視写しているうちに指示語が多い文章であることに気づいたのだ。
本当は、もっと指示語の内容を問う問題を作れたのだが、解答となる箇所にも指示語が含まれていて、クラスの子たちにはレベルが高すぎる、と判断し、カットしたものもあった。
一応、これらの問題を解かせて、一斉指導で、文章構成について説明して単元の学習を終えようと考えている。
解答したものをチェックする時に注意しなくてはならないのは
シンプルに、かつ重要な言葉を逃さずに書いているか
ということ。
本文から正確に抜き出せていないものは論外である。
2002.05.27 記