男の先生


現在、小学校の学級担任は大半が女性である。
私も含む男性の学級担任は年々減ってきている。

クラスを持った時、
「男でよかったなあ」
と思うのは、子どもたちが、なぜか無条件で“男の先生はこわい”という先入観を持ってくれていることである。
つまり、「黄金の三日間」でやらねばならない諸々のことが、やりやすくなるのである。
本当によく聞いてくれる。
ちょっときつい表情をすると、ピリッと締まる。
だからこそ、「黄金の三日間」は毎回きっちりと戦略を立てて全力で臨む。
もちろん、「やることさえちゃんとやっていれば、そんなにこわくもない」ということは、子どもたちにも追々分かってくる。

逆に困ることもある。

一つは、なぜか高学年担任が圧倒的に多いこと。
「やっぱり男の先生がピシッと締めてくれなくちゃ」
と公言してはばからない人もいる。
多分知らないのだろう。
私なんかよりもコワい女の先生もたくさんいるのだということを。

もう一つは、“男の先生だから体育は得意(のはず)”という先入観を子どもに持たれていることである。
私は二重跳びができないが跳ばせるようにすることはできる。
「“教師自身ができる”と“子どもにできるようにさせる”は違う」
という理屈は、子どもには通用しない。
それでも、跳び箱は跳ばせられるし、水泳大会をターゲットにした指導も一応できる。
ダンス指導もなかなかいい線いってると最近になって実感できるようになった。

また“へぇ〜”と意外に思われることもある。

子どもたちにはなぜか“男の先生はピアノは弾けない”“男の先生は音楽が苦手”という先入観がある。
確かにピアノは得意ではないが、教科書教材の旋律くらいならほぼ初見で弾けるし、簡単なアレンジもできる。
ギターもベースもドラムも基本的なことはひと通りできるし、リコーダーは、クラスで一番上手い子でもかなわない。
DTMをかじっているおかげで、電子楽器の操作もサラリとこなす。
楽典や音楽史の知識だってひと通りの基本は押さえている。

家庭科にしても同様である。
調理実習は「お父さんの知恵袋」状態だ。
家に帰れば主夫なのだから、当然といえば当然なのだが、子どもたちは私のこういう姿を見て、
「男の先生なのに・・・」
と意外に思うらしい。

まあ、それも最初のうちだけで、実際に担任となれば、男だ女だなんて関係ないのだが、子どもたちにとってはそうではないらしい。
私自身、その反応を見て楽しんでいるところもある。
「世の中にはいろんな人がいる」という事実を担任自ら体現している・・・とまでは言わないが、私自身「こんな男性教師がいてもいいだろう」くらいは思っている。

それにしても、自分が過去にやってきたことが、ことごとく授業で生かされている。
無駄は一つもない。
すべてのことが必ず生かせるのである。

だから、小学校教師は、やっていて楽しいのだ。

2003.02.15 記