独自の視点で郷土を探求 昭和四二年以来、生地の新潟県で長らく教員として教育実践の傍ら、植物と人間のかかわりや郷土史に独自の視点から研究成果を上げ、昨年には塩津潟教育研究所を設立して講演活動などもおこなっている作家の写真作品と著作である。
「加治川桜の復活」は川の堤防沿いに続く満開の桜の遥かな連なりである。桜並木の下草や川原の植物は、まさに萌え出るような緑で桜の花と穏やかに澄み渡る青空が、心弾むような春の雰囲気を色彩のハーモニーとして奏でている。加治川は、飯豊山に源を発し新潟県北部を流
れる全長約六〇キロメートルの川で、下流の一二キロメートルにおよぶ桜堤は有名である。一度は伐られてしまったそうだが、長い歳月や復活運動の結果このように人々の目を楽しませるまでに復活したのだという。そのような経緯を熟知しているがゆえに、感動と歓びをもってシャッターを切ったことだろう。遠く水平線のように見える長い橋げたの赤色がアクセントとなって、遥かな奥行を感じさせる。
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