向中条環境保全会 生き物観察会・水質調査報告書
~水草類が少ない?~

 令和7年7月20日(日)、向中条環境保全会のご依頼により、地域の農業用水路における生き物観察会と水質調査を実施しました。例年は3本の用水路を対象としていますが、今年は2本での実施となりました。

 当日は3連休の中日ということもあり、参加者は少数でしたが、熱心な少数精鋭のメンバーで調査を行いました。

 現場では例年と大きく異なったこととして、水草の生育がほとんど見られませんでした。地域住民の方々も「加治川本川でも同様に水草が生えていない」とのことで、初めての現象だと驚かれていました。

講師の藤田副理事長からは、「水草が減ることで、水生生物の餌や隠れ場所が少なくなり、生息種数も減少する恐れがある。例年は20種以上確認できるが、今回は10種前後かもしれない」との解説がありました。

気温33℃という高温下で熱中症を考慮し、採取時間は短縮して行いました。

生き物の採取の結果、予想通り採取できた生き物の種類は10種程度にとどまりました。用水路の上位捕食者であるナマズなどは確認できず、水草の消失との関連が考えられます。あるいは、魚たちが別の場所へ避難している可能性も考えられます。

-水質調査結果(簡易測定)- 

用水路 気温(℃) 水温(℃)  COD  アンモニウム 亜硝酸  硝酸  リン酸

1 線 33.0 28.0 2 0.2   0.02 1 0.1
2 線 33.0 28.0 2 0.2   0.02 1 0.1
3 線 33.0 28.0 -   -  -

 水質に関しては、CODや各種栄養塩類(硝酸、亜硝酸、アンモニウム、リン酸)を測定した結果、いずれの値も例年並みで、肥料などの影響は見られず「きれいな水」であることが確認されました。

~まとめ~
今年は異例の水草消失という状況で、生き物の種類も少ない観察会となりましたが、貴重なデータを得ることができました。水草が生えない原因は明確には特定できませんでしたが、今後の継続的な観察を通じて原因を探り、地域の自然環境の変化を丁寧に記録していきたいと考えています。

来年は水草が元気に育ち、たくさんの生き物たちが戻ってきてくれることを願い、本調査を終了しました。
▲開会の挨拶  ▲集合写真

~1線及び2線の水質調査結果~ 
 ▲COD=2 ▲ アンモニウム=0.2  ▲亜硝酸=0.02  ▲硝酸=1 
   
▲リン酸=0.1     

 調査:藤田、田代