本間新田地区 県営ほ場圃場整備事業予定地内
生き物調査 支援報告

 令和7年6月18日(木)、新発田市川東地区の本間新田地内において、「田んぼの生き物調査」支援活動を実施しました。
 本調査は、川東土地改良区の依頼を受け、県営圃場整備事業に先立つ基礎調査として、約30町歩に及ぶ丘陵地帯に広がる水田地帯の生物相を把握することを目的として、地元の方々はじめ地元土改、県農村整備部職員と当会など約20名で行いました。

-調査概要-
調査は、図の3つの区画に分け、各区画で30~40分程度タモ網による生物採取を行いました。コンクリート護岸の水路も含まれますが、生物が棲みやすい溜め桝や護岸の隙間などを重点的に調査しました。

 ・ 第一区域:①公会堂周辺
 ・ 第二区域:②上流部・堤付近
  ・第三区域:③下流部・下羽津隣接地

採取後はその場で同定を行い、生物の種類とおおよその分布を確認しました。

-水質分析結果(簡易測定)- 

測定地点 気温(℃) 水温(℃)  COD(mg/L)  pH(試験紙)

①、②、③ 27.0  20.0  平均5.0 平均4
    ※水質はやや酸性に傾いており、圃場からの肥料成分などの影響が推察される。


- 生物調査結果-
 ①、②、③各区域において以下の水生・陸生生物を確認した。
-確認種一覧(分類別)-
両生類 トノサマガエル、ツチガエル、アマガエル(幼生・成体)
魚類 ヤリタナゴ、スナヤツメ, ドジョウ、シマドジョウ、ホトケドジョウ
甲殻類  モズクガニ、アメリカザリガニ
貝類 マメシジミ類、カワニナ
昆虫類 ガムシ、コガムシ、コシマゲンゴロウ、ナベブタムシ、オニヤンマその他3種のヤゴ
(スナヤツメ、シマドジョウは旧分類による) 

※これらの種群から、当地域が典型的な里山水系環境を保有していると推察される。スナヤツメおよび多数のオニヤンマヤゴの確認は、水質および水辺環境の一定の良好性を示す指標であると考えられる。


-考察および今後の留意点-
当地域には、圃場整備が行われる以前の段階においても、多様な水生・両生類の生息が確認されており、特にスナヤツメ等の希少種が分布していることからも、生息環境の保持が重要である。
今後の圃場整備にあたっては、既存の水路や溜め桝等、生物の拠点となる構造物の改変に十分配慮し、生態系との共生を前提とした整備計画が望まれる。

▲①地区・調査状況 ▲③地区調査状況
▲新潟RDB・準絶滅危惧・スナヤツメ ▲新潟RDB・絶滅危惧Ⅱ類・ホトケドジョウ

 調査:藤田ら、(今田、相馬、田代、若月)