全国一斉水環境調査・連携事業
~加治川水系における水質評価と生物生息環境~

 令和7年6月7日に新発田市内を流れる加治川水系および阿賀野川水系の主要地点において、水質の基本指標として生物化学的酸素要求量(COD)、透視度、水温・気温およびpHを測定し、水質の良否を判断した。また、COD値を中心指標とし、実際生息可生息している代表魚種との相関関係を推察しました。。


 調査は以下の4地点にて実施した。各地点で現場測定により水温・気温・透視度を記録し、簡易低濃度パックテストによりCODの測定、pH紙により水素イオン濃度の近似値を測定した。

※ 本来河川での測定には生物化学的酸素要求量(BOD測定)が一般的で、 湖沼での調査方法として化学的酸素要求量(COD)を使用しての調査ですが、 当会では簡易的に調査できる為にCODを使っています。



① 新発田川(清水園前)・一級河川阿賀野川水系(水源は加治川本川)
② 天辻川(久保ファームポンド近辺)・一級河川阿賀野川水系(水源は加治川本川)
③ 加治川(天然プール)・二級河川加治川水系
④ 加治川(羽越線鉄橋下)・二級河川加治川水系

 
測定地点 気温(℃) 水温(℃)  COD(mg/L) 透視度(cm)  pH(試験紙)

①新発田川・清水園前 27.0  16.0  2.0 100以上  5~6 
② 天辻川・久保地区 30.0 16.0 4.7 100以上  5~6 
③ 加治川・天然プール 32.0 12.0 2.0 100以上  5~6 
④ 加治川・羽越線鉄橋下 26.0 14.0  2.0 100以上  5~6 

☆考察☆

-COD値による水質の評価-
環境基準におけるCODの区分では、2mg/L以下がI類型(水質良好)、**3〜5mg/LがII類型(やや汚濁)**とされている。今回の測定においては、地点②(久保ファームポンド付近)でのみ4.7mg/Lと高値を示し、それ以外の3地点はいずれも2.0mg/L以下であった。
地点②におけるCODの上昇は、一時的な有機物負荷(例:農業由来排水や底泥撹拌)によるものである可能性が高く、透視度は100cmと高いため、混濁による物理的悪化は限定的と推察される。

-pHおよび水温の影響-
pHが全地点で「5〜6」とやや酸性寄りである点は、降雨後の表流水混入、または腐植質に富んだ底質の影響が示唆される。ただし、急峻な酸性ではなく、生息環境としては一部の魚類を除いて許容範囲内といえる。
水温は12〜16℃と冷水性魚類に適した環境が維持されていた。

-生息可能性のある魚種-
CODとpHの実測値に基づき、生息可能性の高い魚種を以下のとおり推定する:
アユ(Plecoglossus altivelis)
 → 清流指標種であり、COD 2.0mg/L、pH中性~弱酸性、透視度高の条件を満たす③④地点に生息し①②地点でも希にでの生息しています。
ウグイ(Tribolodon hakonensis)
 → COD 5mg/L程度まで許容可能で、①②③④地点など若干の有機汚濁がある環境にも生息しています、主に①に多く生息しています。
カジカ(Cottus pollux)
 → 冷水性で水温12〜14℃を好む。③地点で多く生息しています。
タモロコ(Tanakia limbata)
 → COD耐性があり、都市近郊の水系で頻繁に見られ、①②③④地点での定着したくさん繁殖しています。

-結論-
加治川水系における今回の水質調査結果は、概ね良好な水質が保たれており、自然河川として多様な魚種の生息が可能な環境であることが示された。一部地点におけるCOD値の上昇も、魚類生態への影響は限定的であると考えられる。
▲①新発田川・清水園の調査模様 ▲天辻川・久保地区の調査模様
▲加治川・天然プール調査模様 ▲加治川・羽越線鉄橋付近の調査模様