研究主任のお仕事


bX    研究集録を作る

通常、一年の校内研究の成果は研究集録と銘打った冊子にまとめられる。
研究全体計画や、研究授業の指導案、その成果と課題・・・内容はそんなところがスタンダードだろう。

研究主任になって初めて研究集録を作る時に考えたことがあった。

1:検索しやすい構成にしよう。

2:読み物として楽しめるものにしよう。

3:成果と課題が明確になっているものにしよう。


まずは、1について。
他校の研究集録を最も活用するのは、
「自分がこれからやろうとしていることの参考にしたい時」
のはずである。
逆に言えば一番困るのは、

「目的とする情報があるのかないのか」「それがどこにあるのか」がはっきりしない状態

であることだ。
指導案や授業実践の記録などを、校内で公開授業を行った順番に掲載しているものがある。
目次を見ても「○年生の実践」とだけ書いてあって、単元名が書いていない場合がある。
校内の先生方にとっては、1年間の記念誌になるだろうが、他校の者にとっては検索しづらい。
だから、必ず

学年順に掲載し、目次には単元名を明記する

ようにした。
こうすることで、「あ、○年生の実践は掲載されていないな」「あの単元の実践はあるかな」と目次を見ただけで、判断できるのである。


次に、2について。
先述したように、普段は資料扱いの研究集録だが、製本されて手元に届いた時には、必ず開く。
どこを見るかというと、自分が書いたページを見るのである。
指導案等は授業の時に配られているので、改めて他の実践を見ることはない。
授業実践の後で個々に成果と課題を載せることもあるが、大抵は固い文章で魅力に乏しい。

そこでこんなふうにした。

1年間の研究に対する思いを雑文風にB5一枚くらいで書いてもらう

これが結構面白いのだ。
「ああ、この実践にはこんな裏話があったんだな」「こんなところで苦労していたのか」
といった部分が垣間見える。
ちなみに、この「雑文を載せる」は、野口芳宏氏の論文を読んでいて思いついたことである。
他校でも結構評判がいいらしい。
書く方は大変だが、指導案をB5一枚追加するよりは、はるかに気楽なはずだ。


そして、3について。
成果と課題は固い文章になるが、書かないわけではない。
公開授業が終わり、その単元を通しての成果と課題を一週間以内に「研究通信」としてまとめて校内に配布することになっている。
期限を一週間としたのは、あまり間が空くと、記憶が薄れてしまうからである。
これも、もちろん研究集録に載せる。

もちろん、全体での成果と課題も載せる。
これは私の仕事だ。
この時に気をつけているのが、

研究主題や研究の視点に正対して成果と課題を明確にすること

である。
情緒的な文章ではなく、成果は成果として、また課題はその解決方法を示唆して明記するようにしている。
(結構難しいが)
また、成果と課題が明確になるように、各学年の研究推進計画(年度初めに作成してもらっている)において、実践の評価を数値化することになっている。


こうして、各学年のページは

・学年研究推進計画
・指導案
・研究通信

の3点セットが6学年分あり、その後、職員の雑記集が載る、という構成の研究集録ができあがる。

2002.01.01記