研究主任のお仕事


bW    研究主任の気配り

女房(もちろん別の学校に勤務している)も今年度から研究主任になった。
1学期の半ばくらいにため息をついていた。
他の先生方が提出文書の締め切りを守ってくれないのだという。
研究主任最初の壁である。

私も最初の年はかなり頭を抱えた。
どうすればよいか?と考えて次のような結論を導き出した。

1:サンプルを示す
研究主任が他の先生方にお願いする文書というのは、新しい書式・形式のものが多い。
提案する時にサンプルを作って一緒に示すのである。
書式・形式を一番理解しているのは自分であるから、最も書きやすいのは自分自身のはずだ。
サンプルとして文書を作れば、自分がやる分は早めに終わるし、やっていくうちに書きづらい部分も見えてくる。
注釈が必要な箇所は吹き出しをつけてコメントを入れておく。
これで
「どう書いたらいいのかわかんな〜い」
というクレームは来なくなる。

2:締め切り日の設定の仕方
提案したら締め切り日を示す。
提案してから締め切り日までの間は長すぎず短すぎずが鉄則だ。
長すぎると
「そんなのあったっけ?」
と忘れ去られてしまう。
短すぎるとやっつけ仕事の産物が提出されたり、
「できるわけないじゃない」
とクレームが来たりする。
「ちょっとキツイけど、頑張ればできないことはない」位の期間が良い。
自分で一回作っているので、大体の見当はつく。
ただし、原稿を印刷屋に回すとかデッドラインがはっきりしている場合は、締め切り日を早めに設定しておく。
締め切りを守らない人が必ずいるのである。

3:催促の仕方
締め切り日が近付いてきたら、ぼちぼちと提出される。
一番だったら
「おお!一番乗りです。ありがとうございます。(一読して)バッチリですね」
と大袈裟に(他の先生に聞こえる声で)言う。
言われた先生はニッコリしてくれて、次も早めに出してくれる。
締め切り日の前日の職員朝会で連絡事項として
「明日が締め切りです。よろしくお願いします」
と一言言う。
忘れていた人は大慌てで仕上げることになり、手をつけていなかった人にはプレッシャーがかかる。
締め切り日当日の職員朝会でも言う。
「今日の退勤時刻までにお願いします。もし間に合わない場合は個人的にご相談ください」
これで、8〜9割は提出される。
放課後にそっと私のところにやって来て
「スミマセン。明日の朝でいいですか?」
と言ってくれる人は、ちゃんと翌朝に出してくれるものである。
ニッコリ笑って了解する。
問題は何も言わず知らん顔をしている人である。
締め切り日の翌朝、お茶を飲んでリラックスしている時を見計らい、つつ〜と寄って低音を効かせて耳打ちする。
「昨日締め切りのアレ、いついただけますぅ?」
大抵はお茶を吹き出しそうになりながら、
「スミマセン。○日には・・・」
と恐縮する。
すかさず追い討ちをかける。
「○日の何時頃にいただけますかぁ?」
・・・これで出さなかったら
「アレ、いついただけますぅ?」
「何時にいただけますかぁ?」
を繰り返す。(声のトーンは前回よりやや低め)
なんだか陰険な借金の取り立てみたいだが、どんなツワモノでも、これで締め切り日の三日後には出してくれる。

こうして、他の先生方が気持ちよく仕事を出来るようにし、且つ自分自身もストレスを溜めないように気配り(?)をしているのだ。

2001.08.08記