研究主任のお仕事


bV    研究主任の作文技術

指導案を書く時にも言えることだが、研究全体計画を作成する時に、心がけていることの一つに

情緒的な表現は避けること

ということがある。

指導案を見ていると、時々こういう言い回しに出会う。

子どもの考えを大切にし

こういう耳当たりが良いだけで具体性に欠けるフレーズは、使わない。
指導案を検討する場で、これを見たら
「具体的にどうするのですか?」
と、すかさず突っ込む私。
説明されるのだが、納得の行く答えを聞いたことははない。
「心がけ」程度のことは書かないのが研究というものだろう、と考えている。

曖昧な表現は避けること

これも重要だ。
特に、読み手によって解釈が異なる語や横文字には注意しなくてはならない。
「学力」「基礎・基本」「確かな力」「リテラシー」・・・必要ならば文献や辞書をひも解いて、
「ここではこう解説されているが、我が校ではこうこうこういう意味で使う」
と書面で示す必要がある。(口頭での共通理解は口約束と同じ)

主語と述語を対応させること

案外できないのである。
原因は主語を省略していること。
なるべくなら主語をきちんと書く方がよい。
例えば、国語の指導案で「ねらい」に
「登場人物の心情を読み取らせることを通して、文章読解力を身につける」
という文があったとする。
「ねらい」は教師が児童に何をつかませるか、どういう力を身に付けさせるかを示すものなので、主語は“教師”である。
前述した文の“、”までの前半は
「(教師が児童に)登場人物の心情を読み取らせる」
だが、後半はおかしい。
「身に付ける」ではなく「身に付けさせる」でなくてはならない。

指示語の使用は極力避ける

あれこれと書き並べておいて、「この」だの「これ」だのが出てくると、どれを指しているのかわからなくなる。
指示語を使わずにその語をズバリと書くだけで、文はかなり明解になる。

もう一つ。

一文は極力短く

一文を短くすると、主語と述語が明確になり、語句の修飾・被修飾の関係がわかりやすくなる。
また、一文に一つの内容だけを盛り込むようにすることで、読み手に意図が伝わりやすくなる。
そう考えると、法令文は典型的な悪文だが・・・。

指導案検討の場で、以上のことを質問するだけで時間を浪費しまい、肝心な内容に踏み込まずに終わってしまうことがよくある。
ここに挙げたことは、他人に検討してもらう以前に、書き手自身が自分でチェックしていかなくてはならないことなのである。

2001.05.03記