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2012ワインテイスティングクラブ

第221回

カリフォルニアカベルネ特集!

平成24年12月05日

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№01 2008 HRWナパヴァレー

生産地:アメリカ カリフォルニア ナパヴァレー
生産者:ヘンドリーランチ Hendry Ranch Wines
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン100%
40年以上の経験を持つジョージ・ヘンドリーは、これまで 『オーパス・ワン』 『ポートフォリオ』 『ローゼンブルム』 『モンダヴィ』 ら数多くの一流ワイナリーを始めとして多数のメーカーにナパ最高品質の葡萄を供給し続け、今やナパの生産者やワイン愛好家の間でその名を知らぬ者はいないほどの偉大なるグロウワーとして知られています。
そんなヘンドリーが葡萄栽培だけでなく今度は自らのブランドとしてワイナリーを設立したというショッキングなニュースが流れたのが1992年のこと。造られるワインは 『シャルドネ・ブロック9&21』 『ジンファンデル・ブロック7』 など
そんなワインに使われる三種類の果実/バレルを用い、'05にて鮮烈デヴューを飾った待望のヘンドリー・セカンド・カベルネ 『HRW』。HRWのネーミングは言うまでもなくヘンドリー・ランチ・ワインズの略称。使用果実の区画はブロック8を除く全てが1st.のナパ・カベと同様。収量は2トン/エーカー。樽熟期間も同18ヶ月(新樽比率10%)。

№02 2009 Crossbarn Cabernet Sauvignon Napa Valley

生産地:アメリカ カリフォルニア ナパヴァレー
生産者:ポール・ホブス・ワインズ Paul Hobbs Wines
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン
 ポール・ホブズ氏は果樹園農家に生まれ、UC デイヴィス校で醸造学を学んだ後、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーやオーパス・ワンの醸造チームリーダー、シミ・ワイナリーのワインメーカー兼副社長等を経て1991年にPaul Hobbs Winery を設立しました。
彼の造るワインはワイン・スペクテーター誌では常に90点以上を獲得し、またロバート・パーカー氏が2002ベクストファー・トカロン カベルネ・ソーヴィニヨンに100点満点を付けたことなどで名実ともに世界を代表するワインとなりました。
2010年にはカリフォルニアの新ブランドとして『クロスバーン』も発売されました。
ナパ・ヴァレーの一等地の厳選された葡萄畑から手収穫された果実を使用しています。発酵期間は27日間、フレンチオークとアメリカンオークの樽(新樽比率36%)で18か月間熟成されます。

№03 1996 OPUS ONE 

生産地:アメリカ カリフォルニア ナパヴァレー.
生産者:ロバート・モンダヴ&バロン・フィリップ・ロスチャイルド
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン86%、カベルネ・フラン8%、メルロー3%、マルベック3%
ボルドーメドック格付け第一級、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ロスチャイルド男爵と、カリフォルニアワインメーカーの重鎮、ロバート・モンダヴィが手を組み1979年ジョイント・ベンチャーとして起こした豪華プロジェクトが、オーパス・ワンです。
オーパス・ワンとは、クラシックの「作品番号1」の意味。
英語仏語でともにわかりやすい名前を、と考案され、 『一本のワインは交響曲、一杯のグラスワインはメロディのようなものだ』 という思いが込められています。
人の顔のシルエットがデザインされたラベルが美しく印象的です。カリフォルニアがワインが評価されていない時代から、世界中の注目をあつめ、ナパワイン全体をリードしていきました。一生に一度は飲みたいアメリカ最高峰のオーパス・ワン!!

1996年テイスティングノート
1996年は、5月の結実はやや少なく、7月には晴天が続き温暖な夏を迎えました。9月中旬から収穫が始まりましたが、収穫量は少なめとなりました。深い色合いを呈するワインは、力強さが感じられ、凝縮度が高く、しなやかなで豊かな風味と滑らかで長い後味を楽しめます。
スキンコンタクト:37日
樽熟成:フレンチオーク新樽で19ヶ月
飲み頃チャート: しばらく熟成させてからお飲みください

第220回

イタリア最高峰のひとつブルネッロ

平成24年11月07日

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№01 2011Casale Vecchio Pecorino

生産地:イタリア マルケ州
生産者:フォルネーゼ
品種:ペコリーノ100%
等級:I.G.T.テッレ ディ キエティ
熟成:70%-ステンレスタンク、30%-ローストしていないオーストラリア産4000Lの大樽

ペコリーノは、マルケ州の伝統品種で、多くはトレッビアーノに植え替えられてしまいました。畑はカルシウムが豊富な土壌で、葡萄の樹齢はとても高くなっています。葡萄は9月初めに、葡萄がとてもよく熟した状態で手摘みにします。70%をステンレスタンクで、残り30%をローストしていないオーストラリア産の大樽(4000L)で、温度管理の下、熟成しています。ワインは、照りのある黄金色、複雑なアロマがあり、驚くほど濃い味わいですが、しっかりとした酸も感じられ、ボディとのバランスがとれています。果実の甘さの香る余韻があります。食事と共に飲むのに最適です。どちらかというと、フレッシュな味わいを楽しむタイプのワインです。
’10年が、「ワイン アドヴォケイト195」で88点、「ドゥエミラヴィーニ2012」で3房、「ルカ マローニ ベストワイン年鑑2012」で86点、「イ ヴィーニ ディ ヴェロネッリ グイダ オロ2012」で2星、86点。

№02 2004 Vino Nobile di Montepulciano Riserva Pietranera

この‘04年は、なんと「ワインスペクテーター」で95点獲得!!力強さと程よい熟成感が魅力です。
生産地:イタリア トスカーナ州 D.O.C.G
生産者:テヌータ イル ファジェート
葡萄品種:プルニョーロ ジェンティーレ(90%)、コロリーノ(5%)、マンモロ(5%)     
熟成:500Lオーク樽15~18ヶ月間

標高400mに位置するピエトラネラと名付けられた畑からのワイン。土壌は、石灰岩や石英を含む粘土質、下層土は、凝灰岩を含んでいます。畑に石英の黒い石(pietra nera)が多くみられることからこの名前がつけられています。移植密度は3500本/ha、収穫は手摘みで行います。アルコール発酵は30℃以下に温度コントロールしながら行います。マセラシオンは最低でも20日以上。マロラクティック発酵と熟成は樽で行い、500Lのオーク樽で約15~18ヶ月寝かせます。濃いルビーレッド。熟したチェリーのアロマの中に、かすかにバニラやスパイスが混ざっています。しっかりとした骨格があり、まろやかでとてもバランスのとれた味わいです。赤身肉のロースト、ジビエ、熟成したチーズに合います。‘04年が「ワインスペクテーター2011.10.15」で95点。

混じり気がなく素晴らしくピュアな赤。ラズベリー、シャクヤク、ミネラル、そしてスパイスのアロマとフレイバーは継ぎ目がなくなめらかで、重さを感じさせない印象を与えているが、しかし、力強さとストラクチャーはしっかりと持っている。素晴らしい余韻の中には、甘い果実やミネラルのノートが感じられ、しっかりとしたタンニンはこのワインがさらに成長することを示している。飲み頃は今から2025年。  
95点   「ワインスペクテーター 2011.10.15」

№03 2004 BRUNELLO DI MONTALCINO GREPPO

ヴィニ・ディタリアにて最高評価のトレ・ビッキエリ(3グラス)を獲得!さらにパーカーポイント90点を獲得!
生産地:イタリア トスカーナ州
葡萄品種:ブルネッロ種
ビオンディ・サンティ・ファミリーのクレメンティ・サンティ氏がトスカーナ主要品種であるサンジョヴェーゼを改良し、サンジョヴェーゼ・グロッソ=ブルネッロを開発、そして、そのワインを初めてワイナリー元詰めでリリースしました。ブルネッロの名を世界に広めた立役者こそがビオンディ・サンティであり、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの歴史と伝統にとって欠かせない偉大な存在です。

ビオンディ・サンティは3つの畑を所有しており、このグレッポは、最も古い畑。 優良年のみ造られる特別なキュヴェ、リゼルヴァもこの畑のブドウを使用しており、 その他の畑とは一線を画す、優れたポテンシャルを備えています。
熟成は伝統的な製法を守り、スロヴェニアンオークの樽で3年半熟成させます。 このタンク100年以上使っている古い樽から、新しい樽まで、新旧取り混ぜて使うことで、ワインにデリケートな味わいを与えています。 シャクナゲを思わせるフローラルな甘やかな香りや、やはり甘みを感じるタバコの葉のようなニュアンス、厚みのあるグロッシーなタンニン、そして卓越した酸味、どの要素を取り出しても最高の出来栄えです。

№04 2009 Passito Bianco del Veneto

生産地:イタリア ヴェネト州 等級:I.G.T.
生産者:カヴァルキーナ
葡萄品種:ガルガネーガ、ミュラー トゥルガウ 
「この品質は、この価格では他に無い。市場は倍の価格でこういうワインを探している」
特に良いヴィンテージは、ミュラー トゥルガウ100%で、レ ペルゴーレ デル ソーレというキュヴェとしてリリースします。収穫量は25hl/ha。1月まで葡萄を乾燥させます。タンクに24時間入れて、醗酵をスタートさせます。皮が上に行くので、下の部分を取り出します。新樽と1年樽に移し、2~3週間醗酵させます。その後、18ヶ月間熟成させます。ワインは飴色のような深い黄金色、グラスからは、ハチミツで長期間漬け込んだイチジクとアプリコット、焼きリンゴをさらにシロップで煮詰めたもの、そしてローストアーモンドにたっぷりハチミツをかけたような香りに加え、ほんのりハーブもしくは漢方薬のような香りも混じり合っています。

第219回

ひさしぶりのボルドーカベルネと
日本のカベルネ

平成24年10月10日

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№01 2008 NACカベルネ・ソーヴィニヨン樽熟 

「第8回 国産ワインコンクール」(欧州系品種 赤 カテゴリー)で最優秀カテゴリー金賞を受賞
生産地:日本 長野県 塩尻産
原産地呼称:NAC…長野県原産地呼称管理制度の略称で、農産物やその加工品の原産地が、信州、長野県であることを保護する制度です。ワインの場合、信州だけで採れたぶどうを使い、信州で醸造され、さらに厳しい官能検査に合格したものだけを認証します。
生産者:井筒ワイン
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン100%
昭和8年、信州は桔梗ヶ原の地にワイン醸造メーカーとして創業、古くから生食用ぶどうを使用したワインで、国内ワイン市場を牽引する一方、早くからヨーロッパ本来の醸造専用品種の導入にも注力し、評価を獲得。特に「桔梗ヶ原メルロ」は一躍世界的にも認知される。今回のカベルネ・ソーヴィニヨンでの最優秀カテゴリー受賞は、長野新時代を開くエポックメイキングなワインといえる。

№02 2005Ch.Cissacシャトーシサック

生産地:フランス ボルドー地方
原産地呼称:オー・メドックAOC
生産者:Famille Vialsrd ファミーユ・ヴィアラール
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロー20%、プティ・ヴェルド5%
平均年間生産量:16万本、セカンド12万本
畑 面積:50ha、平均樹齢:30年、植樹密度:7200本、平均収量:50hl/ha
育成:発酵とマセレーションは温度調節装置のついた木製のタンクで21日~30日間。その後オーク樽で18カ月間熟成。新樽30%。清澄処理はされるが、濾過処理はされない。
アペラシオンはオー・メドックですが畑は「シャトー ラフィット・ロートシルト」の西側に畑が隣接するとても恵まれたテロワールです。 2003年の格付け改正で、ボルドーのクリュ・ブルジョワ級に格付けされる全247シャトーの中、クリュ・ブルジョワ・スペリュール(490シャトー中、87のシャトー)に格上げされました。
シサックの所有者ルイ・ヴィアラールは、ボルドーで最も献身的なオーナーの一人だ。したがって、彼の最愛のシャトー・シサックは、メドック中央部でも最高のブルジョワ級ワインを生産している。
シサックの町の真北に位置するこのシャトーは、とても伝統的な、フルボディでタンニンの強い、暗い色の興味あるワインを約1万8000ケース生産する。シサックのワインは普通は若いうちは柔軟性がなく、控えめだが、6年目頃に真の個性を見せ始め、楽々と熟成していく。1975年、1985年、1986年のようなヴィンテージは10年から15年は瓶の中でさらによくなっていくだろう。
 シサックのワインは特にイギリスで人気がある。続いて、(ブルジョワ級にしては)ゆっくりした、しかし確実な発展を待つだけの忍耐力があるアメリカのワイン通の間でも人気が高まっているようだ。
ロバート・パーカーJr

№03 2007 LAMOUROUXラムルー

生産地:フランス ボルドー地方
原産地呼称:マルゴーAOC
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン58%、メルロー42%
マルゴー第2級、シャトー・ローザン・セグラが生産するワイン。中身はセカンド・ラベルのセグラとまったく同じです。もちろん品質は「シャトー・パルメとともにかぎりなく1級に近い2級」と評されるシャトーローザン・セグラ。
このラムールはグラン・ヴァンとことなる区画または若木のブドウ、樽で分けられたワインで造られますが、醸造工程はグラン・ヴァンとまったく同じです。LAMOUROUXの語源は“愛(アモーレ=アムール)”からきています。
ローザン・セグラについてヒュー ジョンソン氏も「ポケットワインブック」の中で「面積43haの第2級格付。そのかぐわしいワインは有名。メドックの大看板のひとつとして、トップの座に返り咲いた。1994年に迎えた新しい所有者(シャネル Chanel社)がシャトーを改築した。数ある第2級の頂点に立ってしかるべきもの。」として★★★★4つ星を獲得。

№04 1989Ch.Mouton Rothschildシャトー・ムートン・ロートシルト

生産地:フランス ボルドー地方
原産地呼称:ポイヤックAOC 格付け:第一級
生産者名:GFAバロンヌ・フィリッピーヌ・ド・ロスチャイルド
栽培面積:78ha 
作付比率:カベルネ・ソーヴィニヨン77%、メルロー11%、カベルネ・フラン10%、プティ・ヴェルド2%
セカンドラベル:ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロスチャイルド
ムートン=ロートシルトは故フィリップ・ロートシルト男爵が独自につくり上げた場所であり、ワインである。21歳でこのシャトーを得たとき、彼が並々ならぬ野心を抱いたのは疑いないことだ。しかし、豊かで著しく深みのあるエキゾチックなスタイルのポイヤックの生産によって、彼は1855年のメドックのワインの格付けを変えさせた、たった一人になったのである。
男爵は1988年1月に死去。今はその娘フィリピンヌがこのワインづくりの帝国の精神的頂点にいる。彼女は常に、パトリック・レオン率いる有能なムートン・チームの頼もしい協力を得てきた。
1973年、ムートン=ロートシルトは公式に「一級シャトー」と格付けされる。こうして、異才の男爵は、彼の挑戦的ワインのラベルの言葉を、「一級にはなれないが、二級の名には甘んじられぬ、余はムートンなり」から、「余は一級であり、かつては二級であった、ムートンは不変なり」と変えたわけである。
またムートンの特徴といえば1945年以降に採用されたアートラベル。毎年異なった芸術家が描くエチケットは愛好家のコレクターズアイテムになっています。 2006年ヴィンテージではついにパーカーポイント100を叩き出し注目を浴びました。                         ロバート・パーカーJr






第218回

ブルゴーニュ赤・白

平成24年09月12日

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№01 2010Chablis Premier Cru Fourchaume

シャブリ プルミエ クリュ フルショーム
生産地:フランス ブルゴーニュ地方
原産地呼称:シャブリ プルミエ クリュAOC
生産者:Jean- Paul &Benoit DROIN ジャン ポ-ル エ ブノワ ドロワン
品種:シャルドネ100%
ドロワン家は、1698年から代々続く名門です。現在5つのグラン クリュと8つのプルミエ クリュを含む、26.5haの畑を所有しています。内訳は、シャブリ10ha、プルミエ クリュ11ha、グラン クリュ4ha、プティ シャブリ1.5haです。
ブノワの考えでニューマティックワインプレスを導入してより果実味を生かし、畑の特徴をより引き出すために樽を使い過ぎない、典型的なニュージェネレーションスタイルとなっています。除草剤等に化学薬品を使わず、草を生やすことで葡萄の根にストレスを与え生産量を減らし、特別オーガニックな肥料なども必要としなくするなど、畑の作業も変更しています。また、収穫で気をつけているのは、糖度ではなく酸で、バランスを一番大切にしています。以前はフィルターをかけてすぐ瓶詰めしていましたが、現在は2ヶ月間休ませてから9月頃にすべてのランクを1回で瓶詰めするようにしました。
彼が細部にわたって改良して造らせたタンクは、今では商品化されてボルドーやシャンパーニュでも使われ、見学者も訪れるようになっています。ブノワが求めるのは「ミネラル感とシレックスの風味が感じられるシャブリらしさのあるもの。それは世界のどこを探し手もシャブリにしかないものだから。」です。     
ブノワがブルゴーニュのワインと食の専門誌「ブルゴーニュ オジョルディ48」に『ヌーヴェル ジェネレーション(新世代)』として写真入りで紹介されています。
フルショームは、全てのグラン クリュがある斜面の北に位置する、グラン クリュに格上げすべきとさえ言われる評価の高い畑です。粘土質土壌なので、根が深く張り、よりリッチなワインとなります。熟成には2年樽を使用しています。‘10年は非常に良い年で、酸が豊富な、偉大なヴィンテージです。力強く、引き締まった香り。繊細で、しかも素晴らしいボディと切れのある酸。コクがあり、生き生きとしています。熟した果実やミネラルが、味わいとフィニッシュに感じられます。‘10年が、「デカンター2012.7」で、4星/16.83点。

№02 2006Meursault Les Vireuilsムルソー レ ヴィルイユ

生産地:フランス ブルゴーニュ地方
原産地呼称:ムルソーAOC
生産者:Jean Yves Deveveyジャン イヴ ドゥヴヴェイ
品種:シャルドネ100%
当主ジャン=イヴはそれまでワインの輸出業務に携わってはいたものの、父からの地所を引き継いでワイン生産を始めたのは1992年とまだ20年に満たないキャリア。しかし生み出すワインは、ドメーヌ・コント・ラフォンのドミニク始め一流生産者の賞賛を集め、フランスのワイン情報誌ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランスの明日を担うつくり手としても取り上げられた。
栽培においては除草剤、殺虫剤等の化学薬品の類は使用せず、施肥も有機肥料を用いる。収量は剪定で調節するが、必要とあらばヴァンダンジュ・ヴェールトもおこなう。白は樽発酵――ムルソー、シャサーニュのみならずレジオナルのオート・コート・ド・ボーヌ、ブルゴーニュACも――で、新樽は1割から3割の比率――近年その割合を低める傾向にあり、2008年のオート・コートは新樽なし――。1年弱の樽熟成の後、イノックスに戻し3ヵ月ほど熟成させてリリース。

№03 2006Vougeot 1er Cru Les Crasヴージョ プルミエ クリュ レ クラ

生産地:フランス ブルゴーニュ地方
原産地呼称:ヴォージョ プルミエクリュ AOC
生産者:Bertrand AMBROISEベルトラン アンブロワーズ
葡萄品種:ピノ・ノワール
ニュイ=サン=ジョルジュのお隣、プレモー=プリセ――ニュイのアペラシオンを名乗る高水準のプルミエ・クリュが位置する――の村に拠を構えるメゾンは、18世紀末からワイン生産に従事してきた。
所有する17ヘクタールの地所はブルゴーニュACが3分の1、それにニュイ=サン=ジョルジュの各クリマ、コート・ド・ニュイ・ヴィラージュが中心となり、フラッグシップのコルトン・ル・ロニェを始め、グラン・クリュも4銘柄擁する。そしてピュリニーのソゼなどと同じく購入したぶどうも用いるため、産するワインはコート=ドールの北から南までをカヴァーする。
ヴァンダンジュ・ヴェールトをおこない収量を抑えたぶどうは収穫時にはトリも付し、カーヴへ運ばれる。除梗したピノ・ノワールは低温のマセラシオンを5日前後――グラン・クリュのコルトンは倍近く――、その後のアルコール発酵も含め、期間はトータルで1ヵ月間におよぶ――日に1回のピジャージュにルモンタージュは欠かさない――。白は1日から2日のデブルバージュの後、樽発酵となり、バトナージュもしっかり。
赤の場合、ブルゴーニュACこそ新樽は用いないものの、全てのキュヴェは樽熟成される。レジオナル以外の新樽割合は高く、本拠地プレモーのぶどうからつくられるコート・ド・ニュイ・ヴィラージュで3割、他のヴィラージュはアペラシオンにより4割から8割ほどと幅があるが、プルミエ・クリュはほぼ10割、グラン・クリュには当然全て新樽をあてがう。
樽熟成はアペラシオン、ミレジムにより10ヵ月から18ヵ月とさまざまで、その後の瓶詰めでは清澄、フィルターはなし。
生み出されるワインはベルトランの人柄に似合わず力を感じさせるタイプで、ブルゴーニュACからグラン・クリュまで一貫している。高い比率の新樽も、十分な厚みの果実と酸、ミネラルなどの構成要素のため、過度な樽香がうるさいようなこともなくワイン全体に溶け込んでいる。以前に較べるとワインのスタイルには変化が感じられ、濃厚さが前面に出たタイプから、バランスとエレガントさを備えたものとなった。

№04 Pommard La Levriere Vieilles Vignes

ポマール ラ ルヴリエール ヴィエーユ ヴィーニュ
生産地:フランス ブルゴーニュ地方
原産地呼称:ポマールAOC
生産者名:Bernard DUGAT-PYベルナール デュガ=ピィ
葡萄品種:ピノ・ノワール100%
現在のブルゴーニュで望みうる最上のワインを産するドメーヌ

濃密な果実味をバックボーンに備えながら、あくまでピノ・ノワール特有のエレガントさを体現しそれに個々のテロワールの差異が彩りを添える、といった具合のワインは、確かに現在のブルゴーニュで望みうる最上の1本。1975年の収穫からドメーヌに携わり、1989年のミレジムより元詰を開始したデュガ=ピィの当主、ベルナールが生むワインである。
産するのはシャンベルタン――1997年が初リリース、0.06ヘクタールから20ケース前後の生産量しかない――を筆頭にマジ、シャルム、マゾイエール――最も新しいグラン・クリュで2004年から加わった――の計4銘柄のグラン・クリュにプルミエ・クリュが5つ、それにヴィラージュとレジオナル――赤だけでなく白もある――。
妻のジョスリーヌと息子のロイック――娘のマガリーもドメーヌに入った――で、10ヘクタール強の広さを切り盛りするが、畑は殺虫剤や化学肥料の類は一切使用せず、日々こまめな手入れを必要とするビオロジーク――ロイックはビオディナミにも大きな関心を寄せている――で耕作。1998年より開始し、2004年からは全ての地所でおこなうようになった。
ヘクタール当たり1万本前後というのが強い植栽密度だが、デュガ=ピィの場合より多い本数が見られ、ジュヴレのプルミエ・クリュ、プティト・シャペルやシャンベルタンでは1万3000本という尋常ならざる密植。加えて樹齢は若くても20年から30年、ほとんどの銘柄はヴィエーユ・ヴィーニュの表示があり、それらのぶどうは50年から100年という古さ。
つくりはキュヴェ、ミレジメにより異なり、フレキシブルな対応をみせる。除梗は基本的にせず全房での発酵を心がけるが、ぶどうの熟し具合によっては半分ほどおこなう場合もある。低温マセラシオンの後、セメント槽と木桶で野生酵母によるアルコール発酵の際のピジャージュ、ルモンタージュは必要最小限にとどめる。そしてカーヴでは果汁、ワインの移動にポンプは用いずグラヴィティ・フローでおこない、余計な負荷は掛けない。
新樽――焼きはごく軽いものを使用――はブルゴーニュACに1割から2割、ヴィラージュで3割から10割という比率だが、プルミエ・クリュとグラン・クリュには100パーセントで、16ヵ月から18ヵ月間の熟成を経る。瓶詰めは清澄、フィルターなしでおこない、その際SO2の使用は必要量ギリギリまで抑える。
ほとんどのミレジムで100パーセントの新樽を用いるワインは、中心は深みある紫の、濃いルビーの色調で、樽の浮いた風味など微塵もなく、その力のある果実と溶け合っている。酸、タンニン、果実味、樽が高い次元で渾然一体となり、複雑でありながら口当たりはあくまでも滑らかで、アフターも十分。デュガ=ピィのスタイル、力量を余すところなく感じ取ることが出来るワインで、そのポテンシャルは明らかにヴィラージュを超えている。

第217回

暑い夏にあえてローヌ

平成24年07月04日

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№01 NV CODE NOIR

生産地:フランス シャンパーニュ地方
原産地呼称:シャンパーニュAOC
生産者:HENR GIRAUD アンリ・ジロー
品種:ピノ・ノワール100%
アンリ・ジローは、シャンパーニュはアイ村にて17世紀からの長い歴史を誇る生産者ですが、他のグラン・メゾンの華やかな知名度に比べると、その名前はひっそりと欧州のシャンパーニュ通のみに知られる程度のものでした。しかしながら、イギリスやモナコなどの王室御用達という品質は段々と国外にも知れ渡ることとなり、近年では日本でも雑誌などで大々的にスポットを浴びるなどして、国内のシャンパーニュ・ファンの心を次々と鷲掴みにしていったのです。
アイ村産のピノ・ノワールに遺伝子(コード)レベルで迫り、その神秘性を表現することをテーマに造られたシャンパーニュ。ブラン・ド・ノワール(黒ブドウのみで造られたシャンパーニュ)ならではの力強く、奥行きを感じさせる味わい。バニラや蜂蜜の香りが特徴で、フレッシュな果実味や酸味と甘みのバランスも抜群。

№02 2010 Lirac Blanc Cuvee de Raine des Bois

生産地:フランス コート デュ ローヌ地方
原産地呼称:リラックAOC
生産者:Domaine de Mordoree ドメーヌ ド ラ モンデレ(クリストフル デロルム)
葡萄品種:グルナッシュ(30%)、ヴィオニエ(15%)、ルーサンヌ(15%)、マルサンヌ(10%)、ピクプール(10%)、クレレット(10%)、ブールブラン(10%)
わずか4haの畑から収量を35hl/haに抑えています。「レイヌ デ ボワ」とは鳥の名前の別の呼び方で、「森の女王」という意味があります。新樽発酵とバトナージュというブルゴーニュ的手法で作られています。緑がかったゴールド、白い果実、桃、アプリコット、洋梨のアロマ、フレイヴァーに満ちた、まろやかな味わいです。長い余韻が感じられます。
’09年が、「ル グラン ギド デ ヴァン ド フランス2011」で15点、「ゴー ミヨ ル ギド デ ヴァン2011」で15点。

№03 2003 Minervois

生産地:フランス ラングドッグ・ルーション地方
原産地呼称:ミネルヴォワAOC
生産者名:ファンケルル
葡萄品種:グルナッシュ(45%)、シラー(10%)、カリニャン(45%)バルベラ100%
50%が樽熟成されます。グルナッシュはドゥミ ミュイ(600リットル)の新樽で、シラーは2年目の樽、カリニャンは3年目の樽を使用して熟成されています。残りの50%はコンクリートタンクで熟成されています。クロードは、ミネルヴォワは例年雨量が少なく、乾燥に慣れた土地であると言います。他のアペラシォン地域に比べてその傾向が強く、‘03年のような年でもまとまりのある葡萄が収穫されます。クロードの目標は、この地方に古くからある葡萄品種の本来持つ素晴らしさを生かし、ミネルヴォワの土地らしさ、アペラシオンらしさを失わず、しかも最もハイレベルなワインを生産することです。濃いルビー色、ブラックラズベリーやプラム、プロヴァンスのドライハーブ、スモーキィな香りです。濃縮された果実味があり、滑らかな舌触りがあります。’03年が、「ワインアドヴォケイト Article Achive」で90-92点、「クラスマン2006」で7点、「ワインスペクテーター2006.01.31」で89点。

№00 2002 Coteaux du Languedoc Cols des Truffières

生産者:シャトー ド ラ ネグリ
生産地:フランス ラングドック・ルーション地方
原産地呼称:コトー ド ラングドックAOC(2007年よりAOCラングドック名称変更。2012年まで記載可)
葡萄品種:シラー(100%)    
ネグリのスペシャル キュヴェで、毎年僅か200ケース余りしか造られません。昔、ロセの父がトリフュを収穫していた土地を現在畑にしていて、そのためにこの名前となっています。グロに、「現在でもこのワインにトリュフのテロワールはありますか?」と尋ねたところ、このラングドックNo.1コンサルタントは、「ある!」と答えていました。約2.4haの畑の38年樹齢の葡萄樹から、収穫量は15hl/haに抑えています。60日間、発酵とマセラシオンを行なっています。マロラクティック発酵も樽で、熟成は澱とともに行い、濾過も清澄もしていません。黒/紫色、インク、黒鉛、クレーム ド カシス、エスプレッソ ローストの香り。滑らかで、酸は控えめ、リッチで、濃縮された果実味、幾層にも重なり合ったテクスチャー、信じられないようなフィニッシュです。毎年ロバート パーカー Jr.が個人的にケース買いしていくそうです。‘02年は「ロバート パーカー ドット コム」で、96点。

№00 2006 ERMITAGE LE MEAL

生産者:FERRATON PERE ET FILSフェラトン・ペール&フィス
生産地:フランス コート デュ ローヌ地方
原産地呼称:エルミタージュAOC
品種:シラー100%(樹齢約30年)
醸造:果梗を全てはずし、コンクリートタンクにて約4週間
    ピジャージュとルモンタージュを行いながらマセラシオン。
    フレンチオーク(新樽率30~50%)にて14~18ヶ月熟成
一般的にタンニンが豊富で長熟向きなワインが産み出されると言われているル・メアルの畑ですが、フェラトンのル・メアルはその長い熟成を約束する豊富なタンニンや酸を備えながらも比較的近寄りやすく現時点でも抜栓後から時間を掛ければ楽しむことができる。グラスに注いだ当初は赤い果物のニュアンスが広がり時間の経過と共に幾種ものフルーツ(特に黒色系果実)を集めたかの様な圧倒的な芳香が広がります。濃いエキス分はあるものの、柔らかい酸が味わいの輪郭を形成しバランスがよく、全体的な印象としてはエレガント。口の中でも黒色系果実のアロマや東洋系のスパイス、ラベンダー黒胡椒の風味が広がり1分以上にも渡る長い余韻。
M.シャプティエはこの“ル・メアル”の畑から産み出される<Ermitage Le Meal(エルミタージュ・ル・メアル)>を『エルミタージュのラフィット・ロートシルト』とよんでおります。

フェラトン(Ferraton)は1946年に創立されエルミタージュやクローズ・エルミタージュなどに約20haの畑を所有する生産者です。4世代にわたりタン・レルミタージュの町で質の高いワインを造り続けており1998年に4代目サミュエル・フェラトンの代に、同じくタン・レルミタージュに拠を構えるローヌの名手シャプティエとパートナーシップを組む様になります。ミッシェル・シャプティエ氏とシャプティエの醸造家アルベリック・マゾワエールがワイン造りの監督を始め、その品質をより一層向上させました。上級キュヴェはシャプティエ同様にビオ・ディナミを実践し『土壌の持つポテンシャルを最大限に引き出す』というミシェル・シャプティエの哲学が存分に発揮されております。

第216回

ピエモンテ州、ネッビオーロvsバレベーラ

平成24年06月06日

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№01 2008 CIMAIO

生産地:イタリア マルケ
原産地呼称:IGT MARCHE BIANCO
生産者:CASALFARNETO サルファルネート
品種:ヴェルディッキオ100% (11月上旬葡萄に貴腐菌がついてから収穫)
圧搾後20℃でステンレスタンクにて醗酵30~35%がフレンチオークの小樽、残りはステンレスタンク6~8ヶ月熟成。更にアッサンブラージュ後6ヶ月間熟成。低温で酒石酸を安定させ瓶熟5ヶ月

生産者:カサルファルネート
長年地域の協同組合でヴェルディッキオの醸造に携わっていた、醸造家ソルストリを中心に1996年よりマルケに創設した革新的なワイン醸造プロジェクトを探求するワイナリーです。カサルファルネート社はイタリア・マルケ州アンコナの周辺DOC Verdicchio dei castelli di jesi Classicoのエリアで1995年に創立されました。標高300~400mに総面積60haの敷地を所有し葡萄畑だけでなくオリーブやマルケで有名なスイートピー の栽培も行っています。1995年よりダニーロ・ソルストリ氏がカサルファルネートの醸造責任者となり1996年よりフォンテヴェッキアとグランカサーレの瓶詰が始まりました。違う区画で収獲された葡萄を用い異なるキャラクターのワインを表現する生産者は多い中カサルファルネートでは同じ条件の畑から収穫されるヴェルディッキオ種を約1月づつ収穫のタイミングをずらして3つの異なるキャラクターを生み出します。

№02 2008 NEBBIOLO D'ALBA

生産地:イタリア ピエモンテ州
原産地呼称:D.O.C. NEBBIOLO D'ALBA
生産者:HILBERG PASQUEROヒルバーグ パスケロ
品種:ネッビオーロ100%
熟成:新バリック22~24ヶ月熟成、瓶熟4ヶ月
果実味が豊かで比較的早いうちからお楽しみ頂けます。まるで、誰にでも心を開く気さくな生産者そのもののようです。しかしワイン造りに関しては真面目な性格もワインによく現れており比較的柔らかい造りでありながらも、タンニンと酸の存在感はさすがネッビオーロ。長期熟成も期待できる造りとなっております。
現行ヴィンテージ評価
ドゥエミラヴィーニ…最高評価5グラッポリ
ヴェロネッリ…3ツ星92点
ガンベロ・ロッソ…赤い2ビッキエーリ(3ビッキエーリ最終選考)
ワイン・アドヴォケート…90点

№03 2008 BARBERA D'ALBA SUPERIORE

生産地:イタリア ピエモンテ州
原産地呼称:D.O.C. BARBERA D'ALBA SUPERIORE
生産者名:HILBERG PASQUERO ヒルバーグ パスケロ
品種:バルベラ100%
熟成:新バリック24ヶ月
カヒルバーグのフラッグ・シップ バルベラ・ダルバ・スペリオーレ。スペリオーレを名乗るには1年以上の樽熟成と12.5℃以上のアルコール度数が義務付けられ、普通のバルベラ・ダルバに比べると極めて少ない生産量です。
樽から来るヴァニラ香やスモーキーなニュアンス、苺のジャムやチェリーブランデー、様々な赤や黄色の花。ビオにありがちな還元香は全くありません。凝縮した赤い果実のニュアンスをキレイな酸が支え
タンニンはキレイに溶け込み絹の様な滑らかな舌触り。余韻も充分に長く心地よい甘味を感じるフィニッシュ。
ワイン・アドヴォケート掲載文章抜粋
2007バルベラ・ダルバ・スーペリオーレは美しい芳香と風味に溢れ、素晴らしい喜びを提供してくれる。バランスが良いのはもちろんのこと、果実の豊かさや濃度、美しいディテールが感じられる。余韻にフレンチオークの甘い香りやタール、煙のニュアンスが残る。
HILBERG PASQUERO(ヒルバーグ・パスケロ) / ピエモンテ州
ピエモンテ州北東部プリオッカに位置するわずか5haの小規模なワイナリーです。オーナーのミケーレは「人の口に入るものだから」とできる限り自然なワイン造りを心掛けます。
葉の腐食を避けるために布を張り昆虫の存在を拒絶せず生態系における微生物をそのままにしています。そして全て自然界の肥料だけが使われ人口肥料は決して使われることはありません。ラベルの月のマークは、ビオディナミの象徴である”月”をモチーフにしています。ヒルバーグでは極力、醸造所で必要最低限の作業にとどめて葡萄本来の味を活かす為に畑に力を入れます。例えば葡萄の葉。葡萄の葉は葡萄の実よりも水分を必要とします。それを利用して葉の量で葡萄の糖分をコントロールしています。具体的な例を挙げると、猛暑だった2003年は多くの葉を取り除く事で実にも水分が回るようにすることで過度な葡萄の凝縮を防ぎました。逆に雨の多い年は、葉を多く残す事で葉に多くの水分が行き渡るようにして葡萄の希釈を防ぎます。ミケーレ・パスケロ氏は一つ一つの作業に手間が掛かる為数々の名声を得ながらもこれ以上畑を増やし生産量を増やそうとい事は考えておりません。かたくなにワインの品質にこだわり今後も安定した品質が期待できます。
■生産者からのコメント
「私たちは小規模だからこそ、ロッタ・ギダータと言われる可能な限り有機的な栽培を行い必要な時だけ最小限の農薬散布を行う方法を採用しております。また、ビオディナミ的な月の満ち欠けによる影響を考えて栽培や醸造を行っており、ラベルにも三日月をモチーフにしたデザインを採用しております。」

№00 2004 Sangiovese di Romagne Speriore Riserva

所有者:サンパトリニャーノ
生産地:イタリア エミリア ロマーニャ   
葡萄品種:サンジョヴェーゼ(100%)
発酵・ML・熟成:アリエ産トノー12ヶ月間
畑は標高200mの場所に12haあり、葡萄の樹は6,250~7,400本/haの密度で植えられています。葡萄は選別され、60%しかワインになりません。生産量は30,000本です。アルコール醗酵とマロラクティック醗酵はアリエ産のトノーで行ない、熟成期間は12ヶ月です。このワインは、ロマーニャならではの葡萄品種サンジョヴェーゼの素晴らしい表現力を象徴することを意図して造られています。繊細さ、力強さ、果実味と柔軟なボディを感じることが出来ます。

2004年はたっぷりとして果実味が前面に出たスタイル。口に含むと十分な重さが感じられ、ダークフルーツ、甘いタバコ、レザー、スパイスのアロマとフレイバーが広がる魅惑的な口当たり。品種の個性は幾分か抑えられているが、それでも十分に良いワインである。予測される熟成期間は2009年~2019年。  90点 「ワイン アドヴォケイト 175」

№00 2009Franchetti Sicilia I.G.T

所有者:パッソピシャーロ トリノーロPassopisciaro Trinoro
生産地:イタリア シチリア州 エトナ山の北側斜面標高1000m~1100mのグアルディオラ畑   
ぶどう品種:チェザーネ・ダッフィーレ(80%)、プティ・ヴェルド(20%)
熟成:18ヶ月(フランス産新樽)

最高峰キュヴェは自らの名前を冠したこのフランケッティで、2005年ヴィンテージからリリースを開始した。ブドウはローマの南東が原産地と言われるチェザネーゼ・ダッフィレと言う珍しい品種とメドックのサンジュリアンからセレクトしたプティ・ヴェルドをブレンドして造られる。2005年初ヴィンテージからプティ・ヴェルド主体で造られていたこのキュヴェだが、この2009年からチェザネーゼ・ダッフィレ主体に変わった。過去のブレンド率を参考に記す。2005年(PV80%、C20%)、2006年(PV100%)、2007年(リリースされなかった)、2008年(PV60%、C40%)、2009年(PV20%、C80%)。2009年ヴィンテージは新たなフランケッティの誕生ともいえる。

今年(2011年)6月、ワインアドヴォケイトでバジリカータ州、サルデーニャ州、ウンブリア州、シチリア州に絞り「イタリア中南部のベストワインを探す」という特集が行われた。515本のワインがテイスティングされ90点以上付けたのは220本。その中で1位は97点のテッレ・ネレ(シチリア)のプレフィロキセラ・レ・ヴィーニャ・ディ・ドン・ペッピーノ2008、2位が96点でこのフランケッティ2009だった。現代南イタリアを代表する1本と言って過言でないだろう。

第215回

ちょっと暑い日のプルセッコに

平成24年05月09日

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№01 2010 VIGNETO GIARDINO

生産地:イタリア ヴェネト州
原産地呼称:D.O.C.G. VALDOBBIADENE SUPERIORE RIVE DI CORBATARDO
生産者: ADAM 生産者名:アダミ
葡萄品種: 品種:グレラ100%  シャルマ方式

ヴィニェト・ジャルディーノの畑は1920年の創業当時からアダミ家が所有されておりアダミにとっては宝物の様な畑です。 現在でも1haに満たない狭い区画を所有する栽培家がひしめくプロセッコではプロセッコ・メーカーが買い取った葡萄を区画に関係なくブレンドしてしまうのが通常です。そんな中でアダミはまだプロセッコがスティル・ワインだった時代から「クリュのポテンシャル」を見抜いておりRive di Giardino(リーヴェ・ディ・ジャルディーノ)の名前で1933年シエナで行われた展示会に出展したところ栄誉のある賞を獲得したという逸話もあります。

プロセッコとなるグレラ種(旧品種名はプロセッコ種)は香りが繊細でフレッシュな品種で特徴的な青リンゴや洋梨、ヘーゼルナッツのニュアンスが感じられる品種です。アダミではそのグレラ種の特徴が見事に表現されており泡のキメ細やかさが特徴です。また、通常大手プロセッコ・メーカーは一次発酵後にすぐ二次醗酵に移り全て瓶詰めを行ってしまいますが、アダミでは区画毎に一次醗酵を終えたベース・ワインを必要な分だけアッサンブラージュして二次醗酵を行い瓶詰します。二次醗酵を行うその回数はなんと年100回以上。
LAIL VINEYARDS(レイル・ヴィンヤーズ) カリフォルニア ナパヴァレー
レイル・ヴィンヤーズの歴史を辿ると、19世紀後半、カリフォルニアで最初にプレミアムワインを造り、そのレベルの高さを世界に知らしめ、「ナパワインの歴史そのもの」と称えられた伝説のワイナリー、「イングルヌック」の創設者グスタフ・ニーバム氏に始まります。

「イングルヌック」の名は昨年、フランシス・フォード・コッポラ氏がその商標を取得し、「ルビコン・エステート」が今後「イングルヌック」と名乗ると発表したことでも話題となりました。ジョン・ダニエルJr氏は「ナパヴァレー」を初めて原産地呼称としてラベルに表示するなど、「カリフォルニアワインの父」ロバート・モンダヴィ氏と共に高品質なワイン造りを目指し、カリフォルニアワインの復興に尽力します。ジョン・ダニエルJr氏の死後、ワイナリーは売却され、所有していた畑の殆どは別の所有者の手にわたります。(この時売却されたワイナリーと畑の現在の所有者がコッポラ氏です。)

その後ジョン・ダニエルJr氏の娘であり、現オーナー、ロビン・レイル氏の手により残った畑の管理は引き継がれ、ロビン氏も1977年よりロバート・モンダヴィで醸造を学びます。その後1982年にモンダヴィ氏の紹介により「シャトー・ペトリュス」オーナー、クリスチャン・ムエックス氏と共にドミナスを創立。翌年「ハーラン・エステート」オーナー、ウィリアム・ハーラン氏と共にメリーヴェイル・ヴィンヤードを立ち上げ、11年間会長を勤めあげました。

そしてロビン氏の長年の夢であった「イングルヌック復活」の為、自身の手がけるワイナリのすべての株式を売却し、自身のワイナリー「レイル・ヴィンヤーズ」を創立します。そして設立当時、期待の若手醸造家として活躍していたフィリップ・メルカを醸造家として招聘します。

ナパヴァレーで絶大なる人気を誇る醸造コンサルタント。ボルドー出身。ボルドー大学にて醸造学、地質学を修め、シャトー・オーブリオンなどで醸造に携わった後、カリフォルニアに渡りドミナスやリッジ・ヴィンヤーズで働き、カリスマ醸造家ポール・ドレイパーに師事します。その後アドヴォケート100点獲得生産者ブライアント・ファミリーやダナ・エステートなどナパの数多のワイナリーで活躍。クラシックなボルドースタイルの醸造に定評があります。

№02 2010 BLUEPRINT SAUVIGNON BLANC

生産地:カリフォルニア ナパヴァレー
原産地呼称:A.V.A. NAPA VALLEY
生産者:LAIL VINEYARDS レイル・ヴィンヤーズ
品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%  醸造:ステンレスタンク熟成。

”ジョージア”(白ワインのトップキュヴェ)がフィリップ・メルカのルーツであるグラーヴ・スタイルであるなら、ブループリントはより酸やミネラル、繊細な香りの表現に注力した、サンセールをイメージしたキュヴェです。麦わらや上品な花など(ゼラニウムやメロン、ライム)の香りと、豊富なクリスピーな果実味。
ワイン・アドヴォケイト#198…87pt    インターナショナル・ワイン・セラー…89pt

№03 2008 J.DANIEL CUVEE CABERNET SAUVIGNON

生産地:カリフォルニア ナパヴァレー
原産地呼称:A.V.A. NAPA VALLEY
生産者名:LAIL VINEYARDS レイル・ヴィンヤーズ
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン100%
(カリストガ、オークヴィル、ハウエル・マウンテンより収穫)
醸造:新フレンチオークバリックにて18ヶ月熟成。
生産本数:6,108本

カリフォルニアワインの名声を高めることに尽力した偉大な父に敬意を評し”ジョン・ダニエル”と名付けたトップキュヴェです。
ワイン・アドヴォケイト#192…90pt
「2007よりは控えめな出来だが、それでも15年以上熟成可能な傑出したワインであることに間違いはない」

第214回

CALERA vs GIRARDIN

平成24年04月11日

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№01 2001 CALERA El Niño

生産地:カリフォルニア 
生産者:ジョシュ・ジェンセン(カレラ・ワイン・カンパニー)
葡萄品種:シャルドネ
より手軽にカレラスタイルを楽しめるようにと、価格を抑えたワインとして「エル・ニーニョ」が生みだされました。エル・ニーニョは、セントラル・コーストを中心とした各地のブレンドワインで(セパージュはシャルドネ)、2001年ヴィンテージは2,863ケースが造られています。
手軽なラインのワインとは思えない程のコッテリしたボディが特徴的で、ナッティな樽風味に満たされた豊満な体躯に圧倒されます。とはいえ、コアにはカリフォルニアらしい過熟果実(マンゴー的なトロピカル風味もややあり)やそつのない酸など、バランスが崩れないようその他の要素もしっかり詰まっているので、全体としては程よい安定感があります。

カレラらしいスタイルはどことなく感じられるものの、精緻さを楽しむようなスタイルではなく、あくまでも「大味で柔らかさ溢れる外向的魅力をカレラ流にアレンジした」といった指向性なので、ある意味「エル・ニーニョ」という言葉の語感に見合ったスタイルと言えるかもしれません。

№02 2008Beaune Premier Cru Les Perrieres

生産地:フランス ブルゴーニュ地方 モレ・サン・ドニ村
所有者:MAISON VINCENT GIRARDINヴァンサン ジラルダン
品種:ピノ・ノワール
葡萄園面積: 0.4ha   平均樹齢:45年    熟成:フレンチオークの樽(20%新樽)14ヶ月

ペリエールは、ボーヌの町とサヴィニ レ ボーヌの間、最上の1級畑があると言われるACボーヌ北西部に位置し、粘土質、石灰岩土壌です。収穫量は48hl/haです。手摘みで収穫し、2度(収穫時と選果テーブル)選別します。一部を除梗し、温度管理されたステンレスタンクに入れます。醗酵は、葡萄に付いていた酵母を使い、約3週間行います。とげとげしいタンニンの抽出を避け、混じり気がなく典型的なワインにするために、丁寧にポンピング オーバーと圧搾をします。フレンチオークの樽(20%新樽)に入れます。マロラクティック醗酵は、天然の嫌気性バクテリアによって始まります。熟成は、14ヶ月間澱と共に行います。瓶詰めは、清澄もろ過もせず、月のカレンダーに従って行います。

私はこれほど手頃な価格で、幅広く傑出したワインを届けることの出来るブルゴーニュの生産者やネゴシアンをほかに知らない。ジラルダンはまた、ジュヴレ=シャンベルタンのベルナール・デュガと同じように、自分のワインの品質をさらによくするために熱心に働いている。しかも、ジラルダンと妻のヴェロニクは非常に若いので、私たちは、このドメーヌとネゴシアンがつくり出す崇高なワインを、あと何年にもわたって楽しみにすることができる。もし読者がブルゴーニュの赤を愛するのであれば、のんびりと歩いている場合ではない。走ってワイン商のもとに駆けつけ、この目のくらむばかりのワインを購入しよう。 ロバート パーカー Jr.
http://www.vincentgirardin.com

№03 1996 CALERA SELLECK VINEYARDt

生産地:カリフォルニア セントラル・コースト地方マウント・ハーラン地区
生産者:ジョシュ・ジェンセン(カレラ・ワイン・カンパニー)
葡萄品種:ピノ・ノワール
天然酵母にて発酵 100%マロラクティック発酵
60ガロンのフレンチバレル(30%新樽)にて17ヶ月熟成

ジェンセン・ファミリーの友人で、ジョシュ・ジェンセンをワインの世界に導いたジョージ・セレック氏にちなんで名づけられました。カレラ3番目の畑です。砕けた花崗岩が多く、最も石灰岩の多い土壌で、コート・ドールに似ています。果実味が生き生きしていたジェンセンと比較すると、より堅牢感に勝る構造力が印象的なスタイルとなっています。大柄ではないもののガッシリした体躯があり、綺麗に纏まった酸味とタンニンがうまく練り込まれ、より長熟の可能性を感じさせる良質なポテンシャルがその特長となっています。潜在能力は№1と言われ、プロの評論家の間ではジェンセンよりも評価の高いワインです。

セレック・ヴィンヤードの広さは4.8エーカーで、ピノ・ノワールの植樹は最も古く、ジェンセンと同じ1975年となっています。1982年~2001年までの20年間の平均収穫量は1.43トン/エーカー(21.4hl/ha)と低収量で、2001年ヴィンテージはフルボトル換算で439ケースが生産されています。

№04 1998 Clos de la Roche

生産地:フランス ブルゴーニュ地方 モレ・サン・ドニ村
所有者:MAISON VINCENT GIRARDINヴァンサン ジラルダン
品種:ピノ・ノワール

クロ・ド・ラ・ロシュはボンヌ・マールとともに、ブルゴーニュでもっとも長命なワインにあげられる。とくに優れたものであれば、若いうちは黒といいたいほど深い色で、不透明なくらい濃厚なすがたをしている。瓶詰め後三、四年たってようやく開きはじめるが、その全容をあらわすには、さらに十年以上かかる。傑作ともなると三十年以上ながらえて他をよせつけず、ひとり極上のシャンベルタンだけがわたりあえる。品質は輝かしいのに地味な存在で、ほかの特級とくにジュヴレ・シャンベルタンの特級群の大半よいもすぐれていながら、あいかわらず目立たない…マット・クレイマー

第213回

サンテミリオンの軌跡

平成24年03月07日

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サンテミリオンの格付け
サン=テミリオンは1954年に、独自のワインの質に関する格付けを考案している。理論的には、サン=テミリオンのこの格付け制度が、すべてのボルドー・ワインの格付けよりも確かなものということになる。この格付けは、世間的な評価、土壌の分析、そしてテイスティングに基づいている。非常に厳格で柔軟性に欠ける(1973年のムートン=ロートシルトの格上げを除いて)1855年のメドックの格付けとは異なり、サン=テミリオンの格付けは10年ごとに改訂されることになっており、理論的には優れたシャトーが格上げされ、貧弱な出来のシャトーは降格されることになる。しかし、1969年に実施された初めての本格的な改訂では、ほとんど変化が見られなかった。1969年には4段階からなる階層制度が打ち立てられた。その階層制度は1985年まで続いたが、最上位には12の第一特別級があり、そのうちの2つが最高と認められる。そうしたワインは第一特別級「A」と呼ばれ、残りの10のワインは第一特別級「B」とされた。この品質別の段階の第2位を示すものが特別級であり、そこには72のワインが選ばれた。第3位の品質であるワインには特級という地位が与えられた。この階層制度で最下位のレベルのワインは、単にサン=テミリオンのアペラシオンが与えられたのみであった。

№01 Cono Sur Sparkling Wine Rose

所有者:ヴィーニャ・コノスルVina Cono Sur
生産地:チリ D.O.ビオビオヴァレー
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%

栽培方法:1988年に植樹されたキトラルマン・エステートのピノ・ノワールを厳選。赤色粘土質土壌からは、フレッシュな酸とミネラルをもった葡萄が得られる。通常よりも1ヶ月程早く収穫することで、酸度や潜在アルコール度数の理想的なバランスをとる。シャルマ方式。50%を全房仕込、50%を除梗。除梗したものについては、3-4時間スキンコンタクトを行う。華やかなアロマを引き出すために13℃の低温で1次発酵を行い、その後、定圧タンクで約1カ月の2次発酵を行った後、そのまま4ヶ月程度、澱と一緒に寝かせ、味に複雑さと深みを持たせる。

若々しい色合いのロゼ、細やかで繊細な泡立ち。ラズベリーやストロベリーなどの赤い果実のようなフルーティなアロマと、ミネラルのニュアンスが感じられる。フルーティな辛口。ストロベリーやブルーベリーのような優しい果実味と豊かな酸味が感じられ、微かに感じられる心地よい渋みがボディにふくよかさを与えている。余韻にも柔らかな果実の甘みが残る。

№02 2003Chateau Reine Blanche

チャレンジ インターナショナル デュ ヴァン フランス銀賞受賞
所有者:デスパーニュ家
生産地:ボルドー地方 サンテミリオン地区
ぶどう品種 : メルロー60%、カベルネ・フラン40%

サンテミリオンのグラン コルバン デスパーニュと同じ、デスパーニュ家が所有してします。ポムロルとの境に極近いサンテミリオン北部に位置します。このシャトーは、1955年にフランソワ デスパーニュの叔父が購入しました。テロワールはグラン コルバン デスパーニュとほとんど同じ粘土と砂利質で、やや砂利質が多めで、鉄分も多く含んでいます。そのためよりエレガントなワインになります。収穫は手摘みで、発酵は伝統的な方法で行われます。熟成は初めステンレスタンクで、その後樽で行われます。

№03 2001Chateau Troplong Mondot

格付け:サン=テミリオン第一特別級B
所有者:G.F.A. ヴァレット (管理者はクリスティーヌ・ヴァレット Christine Valette)
生産地: ボルドー地方サンテミリオン地区
ぶどう品種 :メルロ80%、カベルネ・フラン10%、カベルネ・ソーヴィニョン10%
育て方:アルコール発酵とマセラシオンは温度調節装置付きのステンレス鋼の発酵槽で行われる。マロラクティック発酵がオーク樽(70%は新樽、30%は1年使用の樽)で行われた後、ヴィンテージによって12~24ヵ月間熟成。新鮮な卵白で清澄処理するが、濾過処理はしない。

サン=テミリオンの町とブドウ畑を見下ろす眺めがすばらしいこの美しいシャトーは、コート・ドゥ・パヴィに面する斜面に位置している。ここの畑には非常に古いブドウの木がある。1980年代半ば、ミシェル・ロランが醸造家として招聘(しようへい)され、クリスティーヌ・ヴァレットがより強い指揮権を手にしたときから、ヴィンテージの品質は飛躍的に向上した。マセラシオンはステンレスの発酵槽で行われるようになり、またその期間も延長された。熟成はオーク樽で少なくとも18ヵ月間行う。樽の70%は新樽であり、清澄(せいちよう)処理は行うが、濾過(ろか)処理は決して行わない。
セカンド・ラベルの導入により、劣った発酵槽のワインがセカンド・ワインにまわされることになり、トロロン=モンドのラベルで市場に出されるワインの質をさらに高める結果になっている。
2006年第一特別級(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ)への昇格。

№04 1997Chateau Angelus

格付け:サン=テミリオン第一特別級B
生産地:ボルドー地方サンテミリオン地区
ぶどう品種:メルロ50%、カベルネ・フラン45%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%(作付面積)
育て方:発酵とマセラシオンは温度調節されたステンレス鋼の発酵槽で2~3週間。マロラクティック発酵させた後、オーク樽で18~22ヵ月間熟成。新樽は100%。新鮮な卵白で清澄処理されるが、濾過処理はされない。

アンジェリュスは常に、非常に大衆的な魅力を備えたサン=テミリオン。大量に生産され、その大半は輸出され、美しいラベルが貼られた、チャーミングでしなやかなスタイルを持つワインである。熱心なサン=テミリオン・ワイン愛好家のなかには根強いアンジェリュス・ワインの信奉者が多い。アンジェリュスはマゼラ・ヴァレーの中にあり、ブドウはその下方斜面の石灰質の粘土質ロームと、粘土質および砂質の土壌に植えられている。畑全体が、完全に南側に面している。

1960年代および1970年代にアンジェリュスがつくり出したワインというのは、若いうちにはチャーミングで強い果実味があっても、それがほんの数年のうちに分散してしまうのだった。1980年代になってすべてが変わった。ボルドーの醸造学者として著名なミシェル・ロランをコンサルタントとして迎え入れたところ、彼はワインを100%オーク樽で熟成させるべきであると主張した。それ以前は、ここのワインは発酵槽の中で熟成されており、オーク樽で熟成したことがなかった。小さなオーク樽(ポムロルのル・パンによく似たもの)で発酵(マロラクティック発酵)させるというやり方により、ここのワインに複雑さと強さが十分に加わるようになった。このようなことは、小さなシャトーか、多額の資金を労働力につぎ込むことをいとわない人々にしかできないことだ。なぜなら、時間がかかり、大変な忍耐を要する製法であるからだ。

その成果は驚くべきものであった。若き所有者であるユベール・ドゥ・ブアール・ドゥ・ラフォレは、最終的なワインには最高の素材のみを、以前よりもさらに厳しく選(え)りすぐったに違いない。1985年の格付けにおいては、アンジェリュスは第一特別級(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ)への昇格を果たせなかったのだが、1996年には格上げされたのだった。

第212回

イタリアの名手、フランケッティのシチリアワイン


平成24年02月08日

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アンドレア・フランケッティ Andrea Franchetti
フランケッティ氏はトスカーナ州とシチリア島とにワイナリーを保有しており、前者が「テヌータ・ディ・トリノーロ」で後者が「パッソピシャーロ」です。フランケッティ氏は前者のワインを「冷たいワイン」、後者のワインを「熱いワイン」と表現します。「パッソピシャーロ」はシチリア島の活火山エトナ火山の北斜面、標高1000mを超える場所にあり、そこには樹齢100年を超えるシチリア島固有品種のネレッロ・マスカレーゼ種が存在しています。地中深く伸びた根から大地の養分を十二分に吸い取り、豊かな日照と冷たい風とによってゆっくりと実が成熟しています。(収穫時期は11月)。この地とネレッロ・マスカレーゼ種のポテンシャルに魅了されたフランケッティ氏は、今でこそ注目を浴びるようになっている同種のパイオニアとなったのです。

№01 2010 GUARDIOLA Sicilia Bianco I.G.T

所有者:パッソピシャーロ トリノーロPassopisciaro Trinoro
生産地:イタリア シチリア州 エトナ山の北側斜面標高1000m~1100mのグアルディオラ畑
ぶどう品種:シャルドネ
発酵 : マロラクティック発酵の後、ステンレスタンクで熟成後、更に2ケ月は18ヘクトルリットル入りの大樽で熟成。瓶詰め : 濾過後瓶詰め

エトナ山の北斜面、標高1000mの火山性土壌で栽培。試行錯誤の末、最適な白品種に選ばれたのが、シャルドネ。シチリアの強い日差しと、土壌からのミネラルをたっぷりと蓄えたワインはグアルディオーラならでは。

№02 2009Passopisciaro Sicilia I.G.T

所有者:パッソピシャーロ トリノーロPassopisciaro Trinoro
生産地:イタリア シチリア州 エトナ山の北側斜面
ぶどう品種 : ネレッロ・マスカレーゼ100%
樹齢 :60~80年
醗酵:ステンレス・タンク(13,000L)/収穫後、除梗して28℃以下で約15~18日間マセラシオン醗酵  /オーク樽(7,000L)にてマロ・ラクテック醗酵 
熟成:オーク樽熟成 16ヶ月(7,000L)

ネッロ・ダヴォラと共にシチリアの地品種と認められてはいたが、強い酸の個性からあまり重要視されていなかったネレッロ・マスカレーゼでしたが、フランケッティ氏はこの酸に注目し、15日間という長期の低温浸漬を行なうことで濃密さをあげ、酸とのバランスを計りました。
鮮明感のあるルビーレッドから赤果実の香りが湧き上がり、鉄や火打石のような硬質のニュアンス。色調とは対照的にボディがありピノノワールのよう。

№03 2009Franchetti Sicilia I.G.T

所有者:パッソピシャーロ トリノーロPassopisciaro Trinoro
生産地:イタリア シチリア州 エトナ山の北側斜面標高1000m~1100mのグアルディオラ畑   
ぶどう品種:チェザーネ・ダッフィーレ(80%)、プティ・ヴェルド(20%)
熟成:18ヶ月(フランス産新樽)

最高峰キュヴェは自らの名前を冠したこのフランケッティで、2005年ヴィンテージからリリースを開始した。ブドウはローマの南東が原産地と言われるチェザネーゼ・ダッフィレと言う珍しい品種とメドックのサンジュリアンからセレクトしたプティ・ヴェルドをブレンドして造られる。2005年初ヴィンテージからプティ・ヴェルド主体で造られていたこのキュヴェだが、この2009年からチェザネーゼ・ダッフィレ主体に変わった。過去のブレンド率を参考に記す。2005年(PV80%、C20%)、2006年(PV100%)、2007年(リリースされなかった)、2008年(PV60%、C40%)、2009年(PV20%、C80%)。2009年ヴィンテージは新たなフランケッティの誕生ともいえる。


今年(2011年)6月、ワインアドヴォケイトでバジリカータ州、サルデーニャ州、ウンブリア州、シチリア州に絞り「イタリア中南部のベストワインを探す」という特集が行われた。515本のワインがテイスティングされ90点以上付けたのは220本。その中で1位は97点のテッレ・ネレ(シチリア)のプレフィロキセラ・レ・ヴィーニャ・ディ・ドン・ペッピーノ2008、2位が96点でこのフランケッティ2009だった。現代南イタリアを代表する1本と言って過言でないだろう。

1ha当たり12hlという超低収穫量で年産260ケースのみ造られる、希少なワインです。
スーパータスカン テヌータ・ディ・トリノーロがシチリアで造る珠玉のワイン。これはもうワインというより、「作品」として楽しめるほど個性が強く、飲み手をあっと驚かせるパフォーマンス性の高いワイン! 漆黒を思わせる、濃厚な黒紫色です。 黒蜜や、かなり熟したブラックチェリー、カシスジャムやインク。少し燻したニュアンス、八角・クミンなどのスパイス香も感じられ、香りだけでも十分に楽しめる要素が感じられます。口に含むと、その凝縮感に圧倒されます。