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2008ワインテイスティングクラブ

第183回

オーストラリアの最高峰グランジ登場!

平成20年12月03日

ドラピエ カルト ブランシュ ブリュット、ペンフォールド カベルネ・ソーヴィニヨンBIN407、ペンフォールド グランジDSCN3597.JPG本格ローストビーフ和牛

№01 NV(Drappier )Carte Blanche Brutカルト ブランシュ ブリュット

生産地:フランス シャンパーニュ
生産者:ドラピエ社(1615年から葡萄栽培を開始、1951年から自社でボトリングを開始。現在で7代目の家族経営)
《白》【辛口】  葡萄品種:ピノ・ノワール75%、ピノ・ムニエ15%、シャルドネ10%
ピノ・ノワール75%とピノ・ムニエ15%の骨格がしっかりとしたワインに繊細なシャルドネ10%が加わっている。選りすぐった24の畑で栽培された葡萄をバランスよくアッサンブラージュ。柑橘系の果実の凝縮された風味と円やかな味わいです。

シャンパーニュは世界的な人気とともに価格高騰が続いています。華やかでフルーティでありながら、シャルドネ由来の高い酸度が口中を引き締めてくれる。シャルドネ種は高い酸度と共に硬質なミネラルをワインに与えているところが現代シャンパーニュの主流になっています。そんな中、シャンパーニュの南端ウルヴァルに位置するドラピエ社はピノ・ノワールのスペシャリストとして高名、シャンパーニュにおける「ピノ・ノワールの父」として崇められている。
R・パーカーJrによるバイヤーズ・ガイドでも四星で掲載され、フランス国内、特にレストランマーケットでは絶大な人気を誇る。

№02 2004 Penfolds Cabernet Sauvignon Bin407ペンフォールド カベルネ・ソーヴィニヨンBIN407 

生産地:オーストラリア
生産者:ペンフォールド社
《赤》【ミディアムボディ】   葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン
BIN407というワインが示唆するように、カベルネ・ソーヴィニヨンの傑作「BIN707」の弟分的なワイン。そのスタイルはクナワラなど涼しいエリアを中心としたカベルネらしくエレガントで控えめで、華やかでパワフルな「BIN707」とは好対照。口当たりは滑らかで、若いうちから楽しめるタイプ。(BINって?…BINナンバーはもとは「瓶熟庫番号」の意。試験的にブレンドしたワインを瓶熟させるために入れていた箱についていた番号を指す。現在では、そのワインのスタイルを表す認識番号として使われる)

■ファーストヴィンテージ:1990年
■生みの親:3代目チーフワインメーカー:ジョン デュヴァル
■葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン
■ワイン造り:ステンレスタンクで発酵。フレンチオークとアメリカンオークの新樽と、前ヴィンテージのBIN707に用いられた樽で12ヶ月熟成。
■飲み頃:4年から10年後

現チーフワインメーカー
ピーター ゲイゴ氏のテイステイングコメント
まず、カベルネからくるカシスの香りがあり、チョコミントやタバコの葉のニュアンスと混じり合い層になる。構成がしっかりし、バランスの良いミディアムボディ。

№03 1993Penfolds Grangeペンフォールド グランジ

生産地:オーストラリア
生産者:ペンフォールド社
《赤》【フルボディ】   葡萄品種:シラー86%、カベルネ・ソーヴィニヨン14%
1993年は雨が多く、ブドウの生育条件としてはあまり良くなかったため、非常に軽いヴィンテージだった。このワインの出来は良いが、グランジの最上ヴィンテージのようなニュアンスはないようだ。ブレンド比率はシラーズ86%、カベルネ・ソーヴィニョン14%で、光を通さない紫色をし、ブラックカラントと西洋杉が混じり合った甘いノーズと、土のような、ほとんどトリュフに近い風味と樟脳が混ざり合った趣が感じられる。フルボディで、濃厚で、いささか画一的なワインだが、非常に凝縮感があり、力強く、余韻は長く続く。予想される飲み頃:現在~2018年。評点:91点 パーカーJrより

ペンフォールド社が擁する各地のワイナリーから収穫されたシラーズ種を主体とし、厳選に厳選を重ねたもののみを原料にしてつくられるのが、<グランジ>です。このワインは、単にペンフォールド社の最高級のワインというだけでなく、本国のオーストラリアでもなかなか手に入らない、といわれるほどオーストラリアワインの最高傑作とされています。あくまでも深く、濃厚なルビー色は紫色を帯びているようにも思え、芳醇なブーケは甘さを感じさせるほどに豊かに立ち昇ります。骨太でありながら滑らかな味わいが特長です。ペンフォールド社では、「すべての価格帯で最高品質のワインを提供すること」をポリシーとしており、そのポリシー通りの見事な味わいを、世界中に送り出し続けています。

第182回

土地にこだわるワイン シャトー・ル・ピュイ

平成20年11月12日

シャトー・ル・ピュイ&マリー・セシル&バルセルミミックス豆のサラダ&柿のクリームチーズサンド&かぼちゃのマッシュたらとトマトのオーブン焼き

№01 2005Chateau le Puy Marie Cecile
    シャトー・ル・ピュイ マリー・セシル

生産地:フランス ボルドー地方 コート・ド・フラン地区(ヴァン・ド・ターブル)
生産者:アモロー家
《白》【辛口】  葡萄品種:セミヨン
ビオディナミで栽培されたセミヨン100%の辛口白ワイン。亜硫酸無添加、シャプタリザシオンや清澄、フィルターは一切なしで熟成は100%バリックで行う。フレッシュな柑橘系の後にヘーゼルナッツの香ばしさが続く。

17世紀初頭からアモロー家が所有、運営するシャトーです。赤はメルロ種が85パーセントと大半を占め、それにカベルネ・ソーヴィニヨン種14パーセント、カルメネール種――フィロキセラ禍以前には多く見られたぶどうですが、現在は非常に少ない品種です――が1パーセントという割合で、少量だけ生産している白はセミヨン種100パーセントからつくられます。
耕作は昔ながらの化学肥料や殺虫剤を一切用いない有機栽培――1990年以降はより発展させたビオディナミ――で、1988年のエコセール発足時から認証――ラベルには認定マークもあります――を受けています。また、全工程において基本的にSO2を使用していません。

アイテムは、通常キュヴェのシャトー・ル・ピュイに、生産量500ケースほどしかないスペシアル・キュヴェのバルテルミー、それに白――ACワインではなくヴァン・ド・ターブルとなります――の3種類です。

ワインは艶やかなルビーの勝ったやや濃いめの色調で、風味にはとがったところもなくたいへんやさしい口当たりに仕上がっていて、ビオだ、自然派だなどという以前に、当たり前のワインとしての素直なおいしさが愉しめます。

№02 2005Chateau le Puy
    シャトー・ル・ピュイ

生産地:フランス ボルドー地方 コート・ド・フラン地区
生産者:アモロー家
《赤》【ややフルボディ】   葡萄品種:メルロ85%、カベルネ・ソーヴィニヨン14%、カルメネール1%
作付け面積は上記に記したとおりですが、実際の使用ぶどうは各ミレジメによって多少異なる。ボルドーでは普通にみられる培養酵母でなく、野生酵母での発酵となるが、シャプタリザシオン、清澄はなし(基本的にはなしだが、必要な場合は卵白を用いる)。熟成は6割はフードル、4割をバリックで行い、5000リットルのフードルの洗浄の際、ごく微量のSO2を使用。またバリックもあえて新樽を用いず、3年から15年ほどの旧樽のみ使用。期間は20ヶ月から24ヶ月で。その後フィルターはなし。

№03 2005Chateau le Puy Barthelemy
シャトー・ル・ピュイ バルテルミー

生産地:フランス ボルドー地方 コート・ド・フラン地区
生産者:アモロー家
《赤》【ややフルボディ】   葡萄品種:メルロ85%、カベルネ・ソーヴィニヨン14%、カルメネール1%
1994年のミレジムからリリースされた、生産量500ケースほどしかないスペシャル・キュヴェ。セパージュの割合等は上記のシャトー・ル・ピュイと同じですが。ビオディナミで栽培されたぶどうを使用し、醸造、熟成段階で、一切SO2を用いず、また熟成はバリックで新樽は使用なし。
ラベルには「Expression Originale du Terroire」-テロワールの根元的表現と一行。

第181回

伝統vs革新、オールドvsニューワールド

平成20年10月8日

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№01 2004Pouilly-Fuisse “Terroir de Solutre”La mure
    プイィ フュイッセ テロワール ソリュトル ラ ミュート

生産地:フランス ブルゴーニュ地方 マコネー地区
生産者:Vergetヴェルジェ
《白》【辛口】  葡萄品種:シャルドネ

ギュファン氏が1990年に立ち上げたのがネゴシアン・ヴェルジェ。
ブルゴーニュに「彗星のごとく現れた天才」(ヴィノテーク1998.3)ジャン・マリー・ギュファンス氏は1980年に突然、マコネ地区に登場したベルギー出身の醸造家。マコネ地区でシャルドネの理想を求め、独自のスタイルを追求し続ける彼の評判は世界中に広まり、今ではブルゴーニュの偉大な白ワインの造り手として名声を得ています。

「良いワイン造りは良い葡萄造りから」という信念のもと、より良い畑・古木・栽培家を求めブルゴーニュをシャブリからマコンまで縦断、賛同した栽培家たちの信頼、契約を得てきました。そして畑の規模に関わらずこれはと思う栽培家達をサポートしてきたのです。
 彼は毎日それぞれの畑に足を運び、ブドウ栽培の一切を細かく指示し、収穫は全て小桶を使って粒選りの手作業。醸造・熟成・瓶詰めに至るまでワイン造りの全ての過程において彼の目が完璧に行き届いているのです。一切の機械を排除した古式ともいえる方法は今日では逆に斬新であり、その結果ヴェルジェからリリースされるワインは瞬く間に世界中で賞賛を浴びています。全てのワインにそれぞれのテロワールの本質が凝縮されて、その違いを楽しむことができるのです。

№02 2006 Pouilly-Fuisse TETE DE CRU
    プイィ フュイッセ テット ド クリュ

生産地:フランス ブルゴーニュ地方 マコネー地区
生産者:シャトーフュイッセ
《白》【辛口】   葡萄品種:シャルドネ
1970年代、ムルソー、シャサーニュなど、コート=ドールの著名な産地に引けをとらないアペラシオンとしてプイイ=フュイッセの存在を知らしめたつくり手として注目を集めて以来、今もこの地でトップ・クラスのワインを生み続けている。輝きのある色合いとたっぷりした感のあるワインは、アペラシオンの特徴を十全に表していて、誰もが納得する味わいのプイイ=フュイッセとして広く世界中で人気を博している。

シャトーで特徴的なのがつくりにおけるマロ=ラクティーク発酵。コート=ドールの白のつくり手において、例外はあるものの毎年きっちりとマロを終了させるが、シャトー・フュイッセの場合、年によりマロをコントロールする。最近では2004年、2005年は100パーセントおこなったが、逆に炎暑に見舞われた2003年は全くおこなわず、2002年は6割程度に抑えた。鋭角的な酸が特徴であるリンゴ酸を生かしたワインと、マロ=ラクティーク発酵によりリンゴ酸を乳酸に変化させたそれの異なりを知るには、蔵にでも行って発酵途中のワインを試飲するしかないが、瓶詰めされた完成品でその違いをしっかりと体験できるのはワイン・ファンにとってなかなか興味深いものがある

プイイ=フュイッセ・テット・ド・クリュ、ぶどうは15年から30年の樹齢で9ヵ月間イノックスのタンクと樽で熟成される、シャトーで最もポピュラーなキュヴェだが、2004年ヴィンテージからこのスタンダード・キュヴェのプイィ=フュイッセはラベルにテート・ド・クリュの文字が入り、ボトルにはシャトー・フュイッセのエッチングが付された新たなデザインでリリースされるようになった。 

№03 1998 Meursault Perrieresムルソーペリエール

生産地:フランス ブルゴーニュ地方コート ド ボーヌ地区   格付け:プルミエ クリュ 
生産者:Albert grivaultアルベール グリヴォ
《白》【辛口】 葡萄品種:シャルドネ

ムルソーの数あるプルミエ・クリュではペリエール、シャルム、ジュヌヴリエールの3区画の評価が最も高いが、そのなかでもペリエールがアタマひとつ抜きん出ている。そのペリエールにあって古くから最上と謳われてきたのが、このドメーヌ・アルベール・グリヴォーのモノポールであるクロ・デ・ペリエール。ペリエールのなかの1ヘクタール弱――正確には0.9452ヘクタール――の区画で、19世紀の後半以来、120年以上にわたって代々ドメーヌで所有してきた。植付けは1985年と1988年で樹齢も安定し、現在その力を遺憾なく発揮している。ペリエールらしい品格ある風味に、グラン・クリュを思わせる奥行きとアフターが備わるワインは、ムルソーでグラン・クリュに格上げされる区画はこのクロ・デ・ペリエールを置いて他にない、という説が十分納得できるもの。ドメーヌでは新樽の割合も低く――クロ・デ・ペリエールで3分の1以下――、いわゆる厚化粧ではないワインを生むが、確かにクロ・デ・ペリエールとペリエールを較べると、厚みと複雑さにそのテロワールの差異を歴然と感じとることができる。

ドメーヌではクロ・デ・ペリエールのすぐ北隣に位置する、クロのつかないペリエールももっていて、広さは1.5459ヘクタール。1904年以来、1世紀以上にわたって所有し、樹齢も平均で50年ほどとドメーヌのなかでは最も高くなっている。その際立ったフィネスによってよくシャルムと較べられるペリエールだが、このアルベール・グリヴォーのペリエールもまさしくそれに違わぬ1本で、ピュリニー的ともいえるくっきりした輪郭の、背筋の通ったワインに仕上がっている。

№04 1997 Chateau Montelenaシャトー モンテリーナ

生産地:アメリカ カリフォルニア ナパ・ヴァレー
《白》【辛口】 葡萄品種:シャルドネ

1976年5月24日パリ・テースティング事件
 ここでフランスのワイン達が評価負けした模様が克明に書かれている。「口に含んでみる必要も無い、一度嗅げば十分さ。これを嗅いでみよう。なんの香りもしない。味も無い。カリフォルニアに間違い無いね」このコメントに代表される様に、カリフォルニアは偏見に満ちて見られていた。しかしカリフォルニアは勝った。その後の結果については色々論争されたが、そのまま現在に至る。皮肉にもジムはその結果をメドックのマルゴー村、Ch.ラスコンブでランチの時に聞いた。しかしそのワインは200箱しか作っておらず。ほとんど売り切れの状態だった。1973年シャルドネの話しである

第180回

ボーヌの巨匠とニュージーランドの新鋭

平成20年09月10日

イートン ファミリー ヴィンヤーイートン ファミリー ヴィンヤード ピノ ノワール2005 Eaton Family Vineyard Pinot Noirポマール レ ペズロル プルミエ クリュ2004 Pommard 1er Cru Les Pezerollesポマール レ ペズロル プルミエ クリュ1998 Pommard 1er Cru Les PezerollesDSCN2963.JPGDSCN2968.JPG

№01 2005 Eaton Family Vineyard Pinot Noir イートン ファミリー ヴィンヤード ピノ ノワール

生産地:ニュージーランド、サウス・アイランド、マールボロ地区
生産者:Pyramind Valley Vineyardピラミッド ヴァレー ヴィンヤーズ
《赤》【ミディアムボディ】  葡萄品種:ピノ ノワール

マイク・ウィールジングと妻クローディアは2000年にカンタベリー地区ピラミッド・ヴァレーに理想的な土地を購入。マイクはブルゴーニュのミシェル・ラファルジュ、ド・モンティーユなどでワイン生産に携わり、その経験より自身の畑でもビオディナミの手法を実践。2007年にニュージーランドで行われたピノ・ノワール・コンファレンスで世界中から注目を集める生産者となった。自社畑のワインは2008年に初リリース予定。

№02 2004 Pommard 1er Cru Les Pezerolles ポマール レ ペズロル プルミエ クリュ

生産地:フランス ブルゴーニュ地方 ポマール村  格付け:プルミエ クリュ 
生産者:ミシェル ラファルジュ
《赤》【ミディアムボディ】   葡萄品種:ピノ・ノワール

奇を衒わない、自然体に徹したワインづくりをおこなう伝統ある生産者

設立は19世紀の初頭に遡り、また元詰めも1930年代からおこなっている由緒あるドメーヌ。現在、当主であるミシェルがその端々に目を光らせてはいるものの、栽培やつくりの実質は息子フレデリックが妻シャンタルとともに担っている。ヴォルネーを中心――ドメーヌのフラッグ・シップ、0.6ヘクタールのモノポール、クロ・デュ・シャトー・デ・デュックを含む――にポマール、ボーヌ、ムルソー、それにレジオナルという構成で広さは10ヘクタールほど。以前から化学肥料や殺虫剤に頼らず、手入れを小まめに、自然のバランスを生かした耕作がなされてきたが、今ではそれらは完全なビオとなっている。1997年、ACヴォルネーの2区画ではじめ、翌年にはムルソー、さらに1999年にはヴォルネーのプルミエ・クリュへと広げ、2000年ヴィンテージよりぶどうは全てビオ=ディナミで栽培されたものを用いている。そのため、収量は以前から厳しく切り詰めていたが、ビオに移行してからはさらに減った。


13世紀につくられたカーヴでは、果汁、ワインの移動は全て重力によるが、これはポンプの使用はワインにマイナス要因しかもたらさないとの結論から。つくりは年にもよるが、果梗を1割ほど残し、当然培養酵母は用いずに野性酵母のみで発酵をスタートさせる。ワインに濃縮感をもたらすとされるセニエも、自然さを損なうとしておこなわない。新樽はプルミエ・クリュで2割ほど、多くても3割を超えることはない。このようにして生まれるのは、優美で熟成感溢れるうまみあるワインで、バランスのよさ、テロワールに基づくアペラシオン本来の魅力が十全に感じとれるもの。

№03 1998 Pommard 1er Cru Les Pezerolles ポマール レ ペズロル プルミエ クリュ

生産地:フランス ブルゴーニュ地方 ポマール村 格付け:プルミエ クリュ 
生産者:ミシェル ラファルジュ
《赤》【ミディアムボディ】 葡萄品種:ピノ・ノワール

ポマールの中では一番繊細でエレガントと言われる畑ながら、やはりパワフルな熟成感。

第179回

sirowainnosaininsiki

平成20年07月09日

シャンパーニュ グラン クリュ、シャトーベラ、プイィフュッセ、ユルツィガーヴュルツガルテンimg1c77c21azik4zj.jpgDSCN2578.JPG

№01 Champagne Grand Cru シャンパーニュ グラン クリュ

《白》【辛口】等級:グラン クリュ  生産者:アラン スティラン
葡萄品種:ピノ ノワール(70%)、シャルドネ(30%)

アラン スティランは1971年に父から分かれて、自分の相続した2haの畑の運営を始めました。1990年に娘と共にネゴシアン会社A.スティランを設立しました。2000年には、娘の夫のルノがネゴシアンビジネスに参加しました。全体で14万本生産し、その内40%が自社畑からのものです。国内消費と輸出の割合は、半々です。「ワインスペクテーター2005.12.31」のシャンパーニュ特集に写真入りで紹介され高評価を得ました。また、「ルヴュ ド ヴァン ド フランス」のシャンパーニュ特集で、50の生産者のひとつに選ばれました。さらに、「ワインアドヴォケイト159」で、2000年グラン クリュが93点。

葡萄は共にアンボネ村のグラン クリュ100%で、70%が2002年ヴィンテージ、残りが1999年と2000年です。2003年の初めにブレンドされ、春に瓶詰めされました。36ヶ月熟成しています。ドサージュは10g/lです。デリケートなミラベルのノーズがあり、ほのかに樽を感じさせるリザーヴワインと繊細なバランスを見せています。円やかで肉付きが良く、濃い『食卓のシャンパーニュ』です。「ルヴュ ド ヴァン ド フランス、2005.12」で、3ッ星半、「ギイド アシェット2006」で1ッ星。

№02 2003 Chateau Bela Riesling シャトーベラ リースリング

《白》【辛口】葡萄品種:リースリング

シャトー ベラは、バロン ウルマン家とエゴン ミュラーとのジョイント ベンチャーです。シャトー ベラは、ドナウ川を挟んでハンガリーとの国境に近い、スロバキアのベラ村にあります。シャトー ベラはバロン ウルマン家が所有していましたが、第二次大戦後に強制退去させられ、最近になってシャトーのみがウルマン家に返還されました。シャトーの畑はまだ国家が所有しており、そこで栽培される葡萄を買っています。ウルマン家の畑の近くミュズラの組合の畑を管理するミロシュラヴ ペトリッチが、そのセンスを買われてシャトー ベラのセラー マスターに雇われました。。また、2001年の春から夏の間に、廃墟となっていた、セラーが初めに修復され、必要な設備が設置されました。ベラ村は、寒い冬、暑く乾燥した夏、そして最も大切な長く乾燥した秋が巡る大陸性気候で、スロバキアの中で最も暖かく、ワイン造りに理想的な気候になっています。また、カルパティア山脈に西と北とに守られ、ドナウ川から約4㎞のなだらかな斜面の丘にあり、地形も葡萄の生育に適しています。

2001年が初リリースで、エゴン ミュラーによって、食事に合う、一流の辛口リースリングワインを目指して造られています。2003年に天候に恵まれ、平年より僅かに早い10月10日に収穫しました。ワインはステンレスタンクで発酵され、2004年7月に瓶詰めしました。とても淡い黄色で、すこしのリンゴ、僅かな気泡、愛らしいライムのようなリースリングのアロマが感じられます。輝くような爽快なライムや花のアロマです。柑橘系の皮のようなミネラル。空気に触れて、リンゴ、グレープフルーツ、ナッツ、ミントの複雑なブーケが開きます。素晴らしい酸を伴った辛口です。しっかりとした力強さと繊細な風味を合わせ持った、ディナーにふさわしいワインです。

№03 2004 Pouilly Fuissé Levrouté プイィ フュイッセ ルブルーテ

《白》【辛口】生産者:ドメーヌ ラ スフランディーズ   葡萄品種:シャルドネ   
平均樹齢:50年   葡萄園面積:1ha
熟成:樽(新、1年)、12ヶ月

「ルヴルーテ」とは、元々マコンの古い言葉で『ビロード』のことで、遅摘みによるワインを意味します。土壌の表面に黒い石が多く、日光を吸収し葡萄の成長を助けます。また、砂が多く水はけがいいので、病気が発生しにくくなっています。プイイ フュイッセとしては珍しく、貴腐と遅摘み葡萄を使用し、コクのある辛口仕立てにしています。新樽と一年樽で12ヶ月樽熟しています。重厚感溢れる黄金色、香りも煮込んだリンゴのようなフルーティでアロマティックな香り、その中にほんのり上品な樽の香りを感じさせ、滑らかな舌触りに洋梨を思わせるほろ苦さがベストマッチしています。濃厚で飲み応えのあるしっかりとしたコク、アフターも長くマイルドで、プイイ フュイッセの常識を越えた深い味わいは飲む人を圧倒します。

№04 1975 Urzigerur Wurzgarten ユルツィガー ヴルツガルテン アウスレーゼ

《白》【甘口】葡萄品種:リースリング

クリストフェル家の現当主のカイヨ クリストフェルは、およそ70歳で、彼の奥様の旧姓が「ベレス」で、クリストフェル べレスのいとこにあたります。また彼の祖父は、ヨハン ヨゼフ プリュム家の現当主マンフレット プリュムの祖父の弟にあたります(7人兄弟)。つまり、はとこ同士になります。カイヨとマンフレットは学校ではクラスメイトでした。カイヨと一緒にワイン造りをしていた彼の兄が亡くなり、彼は兄の残した財産(オールドヴィンテージワイン)を引き継ぎました。彼の兄は趣味半分のような感覚でワインを造っていて、「ワインは自分の生命保険だ。」と言って大切に保管していました。彼の所有する畑は全部で32ha。ユルツィヒ、エルデン、グラッハ、ヴェーレンに一級畑を所有しています。彼のワインのスタイルの源は、驚くべきことに彼の所有する畑のすべての葡萄樹は接木のない古木だということです。この事実はほとんど知られていません。かつて、接木のしていない葡萄樹は政府の栽培許可が下りず、接木をしていないことを隠さなければなりませんでした。しかし現在は、それを誇りに思っているといいます。接木のしていない葡萄樹は、生産量こそ少ないのですが、高品質の葡萄を産出します。

ベーレンアウスレーゼに近いボリュームがあります。輝く黄金色。
リースリングらしい熟成香があり、1975年よりもむしろ偉大な1976年を思わせる完成度の高さを備えています。

第178回

イタリアワインのバラエティさは葡萄品種の多彩さですね

平成20年06月11日

カプロ・ロッソ、サグランティーノ・モンテファルコ、ヴァルテッリーナ$DSCN2572.jpgD$SCN2574.jpg

№01 2003 Capro Rossoカプロ ロッソ

《赤》【フルボディ】 等級:I.G.T.コッリ デッラ トスカーナ チェントラル
生産者:ファットリーア ディ バニョーロ 
葡萄品種:サンジョヴェーゼ(80%)、コロリーノ(10%)、カベルネ ソーヴィニヨン(10%)

ファットリーア ディ バニョーロはフィレンツェからすぐ南、インプルネータの美しい丘にあり、現在はバルトリーニ バルデリ侯爵家によって所有されています。葡萄畑の面積は10ha、標高220m、風通しと日当たりのよい丘の上にあり、土壌は砂利の多い泥灰岩と粘土質です。サンジョヴェーゼ、コロリーノのほかカベルネ ソーヴィニヨンとメルロを栽培しています。5haがキアンティ コッリ フィオレンティーニ、5haがI.G.T.のためのものです。葡萄樹の仕立てはシングル グイヨ、生産量は全体で年間わずかに25,000本という少量生産、エノロゴは国際的にも有名なロレンツォ ランディが担当しています。I.G.T.のカプロ ロッソは、2004年のワイン チャレンジ ロンドンで’01が金賞を受賞、’03が「ドゥエミラヴィニ」で4房、「ヴェロネッリ」で3ッ星獲得など、数々のコンクールやワインガイドで高い評価を得ている注目の生産者です。

収穫は厳しい選別を行いながらすべて手摘みで行われます。発酵は温度管理装置付きのステンレスタンクで、約26℃~28℃で行われます。マセラシオンは15日間、その間にデレスタージュ(液抜き静置)、パンチングダウンを行います。
マロラクティック発酵はステンレスタンクで行います。熟成はアリエ産のミディアムローストのバリックの新樽とトノーで12ヶ月、その後、瓶詰めしてから最低でも4ヶ月、18℃の温度に保たれたセラーで寝かせています。
非常に濃くて深いルビー色、集約されていて厚みがあります。ブラックベリー、ブラックチェリー、樽からくるタバコやバニラの香り。凝縮感があり、フルーティで丸みのあるとてもバランスがとれた味わいです。全体によくまとまっていて、しっかりとしたタンニンが感じられます。口に含むと力強く持続性があり、長い余韻が感じられます。後味にチョコレートのフレイバーが香ります。

№02 2000 Sagrantino di Montefalco Ugolino
        サグランティーノ ディ モンテファルコ ウゴリーノ

《赤》【フルボディ】 等級:D.O.C.G.
生産者:テッレ デ トリンチ
葡萄品種:サグランティーノ(100%)

《サグランティーノ ディ モンテファルコ》  モンテファルコ(「鷹の山」の意)は標高500mの場所にある町で、そのワインはセッコ(辛口)とドルチェ(甘口)があり、昔はドルチェだけを祭日のために造っていました。‘92年にD.O.C.G.に認定されました。サグランティーノ種の房は、中程度で円柱形、粒は細長く、皮は濃紺で黒に近い色、厚さもかなりあります。この外観から想像出来るように、ワインも濃いルビー色で熟れたマラスキーノ、プラムのシロップ漬け、八角、カルダモンなどの香りで、ボディがあり、余韻も長く、酸味は控え気味でタンニンは多く、アルコール度は高めになります。
Terre de Trinci : テッレ デ トリンチは、「旧家、領主の土地」と言う意味で、トリンチの101人の大きな規模の生産者と他の小さな生産者の集まりで、合わせて約300haの葡萄園面積となっています。メンバーの葡萄だからといって強制的に買いあげなければならないのではなく、品質が良くないと受け取らないそうです。メンバーになるには指導を受けなければならず、そのモットーは「量より質」ということです。 地元のスペシャリテであるサグランティーノは、モンテファルコの古い土着品種です。小粒な葡萄で、良質なタンニンが豊富なことがその魅力です。また、テッレ デ トリンチは、全体で700haしかないサグランティーノ ディ モンテファルコのD.O.C.G.の畑の内、60haも所有しています。

ワインの名前「ウゴリーノ」は、トリンチの設立のメンバーの一人の名前からとっています。平均樹齢は28~30年。平均生産量は6,000本で、この2000年が初リリースとなっています。葡萄樹は春に剪定し、夏にはグリーンハーベストを行ないます。葡萄の色が緑から赤に変わる頃、間引きをします。10月末頃、手摘みで収穫を行ないます。ステンレスタンクで18日間発酵後、1年間タンク熟成。その後、フランス産の新樽で12~18ヶ月、さらに6ヶ月間瓶で熟成しています。濃いルビー色で、ガーネットのニュアンスがあります。ブラックベリー、ブラックチェリー、プラムの強い香り、さらにすみれや甘草、タバコ、ヴァニラ、シナモンのアロマが感じられます。タンニンがあり、アルコールとのバランスも取れています。さらに長い余韻があります

№03 1999 Valtellina Sforzato Messere
        ヴァルテッリーナ スファツァート メッセーレ

《赤》【フルボディ】 等級:D.O.C.G.
生産者:カーヴェン
葡萄品種:ネッビオーロ(100%)

ネラのオーナー、ピエトロ ネラの息子のステファーノとシモーネが、1990年始めに創立したアジェンダ アグリーコラ(自家葡萄園元詰め)です。収穫量を抑え、現代的な醸造技術を採用し、フレンチオークの樽でワインを熟成させ、インターナショナルなスタイルのワインを造り出しています。 ネラ家は1940年にギド ネラによって設立され、ヴァルテッリーナのワイン生産地の中心部にてワイン造りをしています。現在はギドの息子のピエトロ ネラが管理し、ステファーノ ネラがエノロゴをしています。海抜300mから350mの大変良い位置にある畑では、土壌の性質とドイツのモーゼルを思わせる急斜面なため、90%が手作業で葡萄が造られています。そのため1haあたりの年間にかかる労力は1400時間+αで、これは他の産地の7倍、ピエモンテの5倍に相当します。高い品質と信頼の持てるワインのみを生産することを目指しており、近代的な瓶詰め装置や醸造設備、そして独自のセラーでの熟成においては神経質なほど完璧なコントロールで、最良のワイン造りをしています。そのため、毎年のように様々な賞を受賞しており、優良ワインを生産する醸造所として世界各地に紹介されています。

収穫は法定収穫量の50%に抑えられています。2月初めまで乾燥した場所で陰干しします。マセラシオンは15~20日間、しっかりと温度コントロールをしながら行われ、熟成は1年間バリックでおこなわれます。アルコール度数が14.5%あり、10年間は充分キープできます。非常に深いルビーレッド、隙のない目の詰まった濃厚な味わい、甘く少し乾燥させた葡萄の果実味も感じられ、しっかりとした骨格ですがエレガントで、ボルドーのグラン クリュ クラッセにもまったく引け劣らない品質です。「メッセーレ」とは、「殿下」の意味です。

第177回

あれから数年あのナパヌックは、そして待望のドミナス

平成20年05月14日

ドミナス、ナパヌック、Dominus、NapanookDSCN2538.jpgDSCN2536.jpg

№01 2004 Napanookナパヌック 

《赤》【フルボディ】生産者:クリスチャン・ムエックス 
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン83%、カベルネ・フラン9%、プティ・ヴェルド4%、メルロ3%、マルベック1%                 
カリフォルニア・ナパのトップワイナリーの一つドミナス・エステイト。
そのドミナス・エステイトで造られる「ナパヌック」は「若いうちでも十分に楽しめるボルドーブレンドワイン」をコンセプトに設計されたワイン。

ワインの名前である「ナパヌック」とは、ナパ郡のヨーントビルにある畑で、1836年からブドウが植えられているナパバレー最古のブドウ畑です。素晴らしいブドウを育むこの畑は多くの人々を魅了し、これまで歴史の中で何度となく転売され、所有者が転々と変わりました。
現在はペトリュスのオーナーであるクリスチャン・ムエックス氏がオーナーですが、「ワインは醸造所で造られるのではなく畑で造られるべき」という彼の哲学の下、灌漑設備を設置しないドライ・ファーミングを採用するなど、可能な限り自然にブドウを栽培し、「ナパヌック」のテロワールを活かすブドウ造りが行われています。
もちろんハーベストはすべて手摘み。しっかり張りのある完熟した果実のみが選別され「ナパヌック」のワインとしてワイナリで醸造されます。オーク樽も果実とのバランスをとるために新樽20%(以前は違ったみたいだけれども)におさえ、ブドウ本来の果実味と酸を大切にしながら樽熟成させています。
飲み口もスムーズ。まろやかなタンニン、ブラックチェリーやベリー系フルーツの果実味、そしてハーブやスパイスが口の中でいっぱいに広がる感覚。

2004は短い成熟期間と早い収穫という年に なりました。9月は暑い月となったため、成熟の最終段階では葡萄を熱から守るため、チームはキャノピーマネージメント (葡萄の葉で実を隠す日陰をつくること)に注力したようです。フレンチオークの小樽(20%新樽)にて14ヶ月熟成。

№02 1996 Napanookナパヌック

《赤》【フルボディ】生産者:クリスチャン・ムエニックス 
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン(74%)、カベルネ・フラン(13%)、プティ・ヴェルド(13%)
ナパヌックは比較的若い内から楽しめるワインを造るという意図で、1996年よりリリースされました。そのためこの歴史的なこのヴィンテージには特に入念に、ヴィンテージによる自然な品質さえ凌ぐ特別な努力をしました。そして若いうちに楽しまれる最高のワインを生産するために、メルロは最終的なブレンドに加えられませんでした。
。フレンチオーク新樽30%で15ヶ月熟成

№03 2003 Dominusドミナス

《赤》【フルボディ】生産者:クリスチャン・ムエックス 
葡萄品種:カベルネソーヴィニョン(88%)カベルネフラン(7%)プティ・ヴェルド(5%)
ドミナス・エステートを所有・運営するのは、ペトリュス、トロタノワ、オザンナ、ラ・フルール・ペトリュスといったボルドー右岸最上のワインを手がけるクリスチャン・ムエックス氏。1968年から1969年にかけて彼はカルフォルニアのデイヴィス校にてワイン造りを学びますが、その時以来ナパヴァレーの地に魅せられていたといいます。
ナパヌークと呼ばれているドミナスの畑はナパ・ヴァレーにおける最初の畑のひとつだと信じられており、そのために歴史的ランドマークとして認識されている。1946年に伝説的なジョン・ダニエルによって購入されたこの畑は、栄光のイングルヌーク時代にはいくつかの最も偉大なワインの拠点になっていた。ダニエルの娘たちマーシー・スミスとロビン・ライルは、クリスチャン・ムエックスと手を結び、1982年にドミナスを設立した。だだし、ムエックスは1995年1月に彼女たちの持ち分を購入し、現在単独オーナーになっている
ドミナスはスタイルを変えたが、間違えようのないフランス風の個性を維持してきた。1983~1989年の初期のヴィンテージは、常に若干多いタンニンと頑強さを見せていた。ただし、これらのヴィンテージのいくつかは、見事の熟成していて、クリスチャン・ムエックスの最初の直感が的確であったことが証明された。1990年からは、タンニンは顕著なほどやわらかくなり、ワインは若いうちからより近づきやすくなった。このスタイルは1990年代と21世紀の最初を通して変わらなかった。このワインは、偉大なボルドーの味がするが、明らかに熟したナパの果実で造られている。

2003は、ぶどうの成熟期間が記録的に長い年となりました。(収穫が遅い区画で、11月まで続いた)。夏の温度は平均以上で、安定した温度は果実をゆっくり、そして、均一に成熟させることができました。10月は特別でした-暖かく、乾燥した素晴らしい天気、ぶどうは完全な成熟を待つことができました-ぶどうにその複雑さを与えました。
フレンチオークの新樽(40%)で16ヶ月熟成

№04 1988 Dominusドミナス

《赤》【フルボディ】生産者:クリスチャン・ムエニックス 
葡萄品種:カベルネソーヴィニョン(86%)カベルネフラン(11%)メルロ(3%)
1988のDominus Estateはジョイントベンチャーによって造られる七番目のヴィンテージです。
1988は開花の間、雨によって難しくなりました。そして、それは収穫で成熟の均衡に影響を及ぼしました。そしてそれは、ぶどう園での、そしてドミナスのワインの品質維持する上で非常に厳しい選果を余儀なくされました。
フレンチオークの新樽(15%)で12ヶ月熟成

第176回

カオールの白ヴィオニエとシャトーヌフのクラシックとモダンなスタイルの融合

平成20年04月09日

ル セードル ブラン、シャトーヌフ デュ パプ第176回ワイン会2.jpg第176回ワイン会3.jpg

№01 2001 Le Cèdre Blanc ル セードル ブラン

《白》【辛口】生産者:パスカル フェラージュ家 
葡萄品種:ヴィオニエ                 
僅か1haのみ所有するヴィオニエの畑から、2000本余りしか造られない、たいへん珍しいカオール地区からの白ワイン(ACには該当しないため、ヴァン ド ターブル表示となります)。収穫量は、驚くべきことに15hl/haです。3/4を、新樽(トロンセ、中位の焦がし具合)で20℃に温度コントロールして発酵させています。残り1/4は、15時間マセラシオンペリキューレ(スキンコンタクト)してから、タンクで20℃に温度コントロールして発酵させています。週に2回バトナージュ(攪拌)しながら9ヶ月間熟成させます。最後にブレンドしますが、フィルターは通しません。素晴らしく濃縮された味わいのワインで、生き生きとしたレモンのような酸があり、熟して豊かな果実味とバランスをとっています。

シャトー デュ セードルのパスカル フェラージュは、カオールの主導者(彼は地区の“Charter of Quality”を創設しました)のみならず、新しいフランスにおける流行の代表でもあります。これは、ひとつの地域の鍵となる生産者達はお互いに影響をあたえることができるという方法です。フェラージュの場合、ブルゴーニュの才能あるベルギー人のジャン マリー ギュファンに触発されました。「20歳になるまで、私は数学と物理学を勉強していました。私の父はワイン生産者でしたが、私はワインに興味がありませんでした。それはただ大変な仕事に見えました。その後私は多かれ少なかれ偶然ジャン マリーに会いました。そこで収穫している共通の友人を通じて。私はそこに1,2時間いるつもりで、3日間滞在しました。私はだいたい一晩で自分の勉強をやめることにしました。」 ギュファンから学んだことは?「喜びです。ワインを造る喜び、ワインを味わう喜び。これがすべての基本です。もうひとつのレッスンは、確かなことは何も無いということでした。土壌や樹やワインについて学ぶことにおいて、確かなことは何もありません。人は新たに創案することが出来ます。違ったように出来ます。それは大変自由なことです。」 フェラージュはこのレッスンをカオールの自宅での実践に取り入れました。

№02 2003 Côtes du Rhône Rouge Vieilles Vignes
    コート デュ ローヌ ルージュ ヴィエイユ・ヴィーニュ

《赤》【フルボディ】葡萄品種:グルナッシュ(80%)、シラー(10%)、カリニャン(10%)
葡萄園面積:25ha   平均樹齢:60年
このワインは’95年から造り始め、除梗もファイニングもフィルターも通さず、12ヵ月間大樽で熟成しています。通常許されている生産量よりも大幅に減らして造られています。まさに小型のシャトーヌフ デュ パプを思わせる香りや力強い味わいは、さすがサボンのワインです。

トップクラスのコート デュ ローヌとシャトーヌフ デュ パプを産出しているクロ デュ モン オリヴェは、有名なシャトーヌフ デュ パプの古城の跡の正面に位置し、25haの畑を所有しています(うち白は1.5ha)。最近フレッシュで軽く、熟成を待たずに飲むスタイルのシャトーヌフ デュ パプが多い中、とてもクラシックな力強くスパイシィで長期の熟成に耐えるスタイルのワインを造り続けています。「ワインアドヴォケイト」の、『2004年9月に飲んだ’57年の完璧に素晴らしいボトル』という記述がそれを証明しています。息子のティエリは20才の時に醸造学を学び始め、醸造学校を卒業後、南アフリカに3ヶ月研修に行き、さらにオーストラリアで勉強しました。その後、2001年に跡を継ぎ、醸造はほとんど彼が行なっています。モダンなスタイルを取り入れ、モダンとクラシックの融合を目指しています。収穫の時期には充分な時間が取れるようにと畑とセラーの仕事を分業し、ティエリがセラー、父と叔父が畑を担当しています。以前は全く除梗をしていませんでしたが、(年によるそうですが)最近は70%近くを除梗しています。収穫量も35hl/haから30~31hl/haに減らしました。また、‘00年からローヌのミシェル ロランとも呼ばれるエノロジスト、フィリップ カンビがコンサルタントをしています。最近になり、A.O.C.コート デュ ローヌの良い部分の畑を買い足しました。「ギイド アシェット」、ヒュー ジョンソン「ポケットワインブック」、「ワインスペクテーター」等で常に高く評価されています。また、ロバート パーカー Jr.は4~5ッ星の評価を与えています。

№03 2001 Châteauneuf-du-Pape シャトーヌフ デュ パプ

《赤》【フルボディ】葡萄品種:グルナッシュ、シラー、サンソー、ムールヴェードル等
温かく良い年で、収穫時に雨が無く、葡萄は完熟していました。僅かにオレンジがかった赤色。「このヴィンテージは、エレガントで余韻も素晴らしく、シャトーヌフの持ち分を最も明確に表現している。」(ティエリ談)。スティーヴン タンザー「インターナショナルワインセラー106」で90~92点。

№04 2000 Châteauneuf-du-Pape La Cuvée du Papet
    シャトー ヌフ デュ パプ ラ キュヴェ デュ パペ

《赤》【フルボディ】葡萄品種:グルナッシュ(60%)、シラー(20%)、ムールヴェードル(20%)         
収穫量22hl/ha  平均樹齢:60~80年
キュヴェ パペ(祖父の意)は、近年では00、03、04年にのみ造られました。造らない年は、ノーマルのシャトーヌフにブレンドします。そんな希少なスペシャル キュヴェで、ロバート パーカー Jr.は、このパペに5ッ星を付けています。60~80年の樹齢の古木の葡萄を選別し、18~21日間発酵させて、18ヶ月の間ゆっくりと大樽のなかで熟成されています。清澄も濾過もせず、一度に瓶詰めします。濃い色、ハーブやチェリーの風味、フルボディでタンニンがあり、すさまじいほどのパワーを秘めています。この先10~15年は何の問題もなく熟成することでしょう。パリで行われたある品評会のブラインドテイスティングで、数々のグランヴァンのなかから、このキュヴェ パペがナンバー1に選ばれたそうです。スティーヴン タンザー「インターナショナルワインセラー106」で93点。

第175回

ボルドーとブルゴーニュの生産者が造るチリワイン

平成20年03月05日

アルマヴィーヴァDSCN2446.JPGDSCN2448.JPG

№01 2005 Carmenère Gran Cuvéeカルメネール グラン キュヴェ

《赤》【フルボディ】 D.O.バレ ド マイポ  
葡萄品種:カルムネール(85%)、カベルネ フラン(15%)
チリは接木していないカルメネールが育つ唯一の国です。この品種はボルドー原産ですが、そこではほとんど完全に消滅しています。そして、チリで再発見されました。カルムネールの畑は、マイポ バレーのサン ルイス デ ピルケにあります。20kg入りのケースを使い手作業で収穫しました。ワインは、6000~7000kgの葡萄を入れることが出来る小さなタンクで念入りに造られます。プレマセラシオンは、色の最適な抽出と果実の特徴の増加を目的として4日間続けます。発酵中は、ポンピング オーバーを一日2回行ないます。また温度管理は厳密に行なわれ、30℃以下に保たれます。醸し期間は、タンニンが丁度良いレベルに達するように、3週間におよびます。その後マロラクティック発酵がなされ、12ヶ月間様々な産地、メーカーのフランス産の樽で熟成し、複雑さをかもし出します。
紫色で、グリーンペパー(この葡萄、特にこのヴィンテージの特徴です)や野生のブラックベリーのノーズと煙やおだやかな木のアロマが感じられます。口に含むと、アタックはしなやかでおおらかです。タンニンはビロードのようになめらかです。数年瓶熟して、さらに良くなります。‘04年が、「インターナショナルワインセラー125」で89点

Viña William Fèvre Chile : ビーニャ ウィリアム フェーヴル チリ
★★★シャブリの伝説の人ウィリアム フェーヴルは新たなテロワールを求め、1991年にチリのマイポ バレーの中でも標高の高い場所にある良い畑にめぐり合いました。その畑は、ピノファミリーの所有で、彼らは葡萄の栽培はしていましたが、醸造はしていませんでした。フェーヴルは、畑を売ってくれないかと頼み断られましたが、結果として一緒に運営することになりました。‘93年にフランスから持ってきたシャルドネ、ソーヴィニオン ブラン、ピノ ノワールを植えました。カベルネ ソーヴィニヨン、カルメネールはピノファミリーのものです。’96、‘97年はバルクで売ってしまい、’98年からリリースしました。 葡萄栽培は、熟練した専門家が年間を通して行い、最新のワイン栽培の技術も取り入れています。また、収穫量を抑えるために、厳格な灌漑を行っています。最良の葡萄を選別するため収穫は手摘みで行い、醸造法はそれぞれのワインの個性を引き出すように選択しています。8500hlを保管出来るステンレスタンクや、数千個のフレンチ オークの樽を備えることの出来るエアーコンディショナーの付いた樽貯蔵庫があります。さらに、品質の向上のために、ニューマティック プレスや醸造行程全てを調節出来る冷却設備など、最新施設への投資もおこなっています。また、瓶詰めには、重力を利用し、注意深く行っています。もちろん、瓶、コルク、カプセルの品質にもこだわっています。国内外のコンクールで数多くの賞に輝いています。★★★

№02 2005 Cabernet Sauvignon Gran Cuvée カベルネ・ソーヴィニヨン グラン キュヴェ 

《赤》【フルボディ】 D.O.バレ ド マイポ
葡萄品種:カベルネ ソーヴィニヨン(87%)、カルメネール(13%)          
特別なワインのための葡萄は、マイポ バレーの最良の畑からのものです。低い収穫量、理想的な気候、成熟する期間の高い放熱と低い最低気温がワインに完全なバランスを与えます。手作業で、15kg入りのケースを使って収穫しています。破砕、除梗して、発酵タンクに入れます。4日間の醸しの後、ワインの一部は自生酵母で発酵させます。発酵過程は、最高30℃までに温度を調節しながら、とても伝統的で自然な方法で行います。良質なタンニンのより良い抽出が出来るように、後発酵は3週間続きます。マロラクティック発酵の後、複雑さを得るために、12ヶ月間、異なった樽製造業者からの信頼のおけるフランスのオーク樽で熟成させます。出荷前に、6ヶ月間瓶で熟成させます。
少し紫がかった深いルビー色の中に、赤いベリー類のエレガントなブーケがあり、ほのかな調和のとれた木の香り、バニラ、スモーク、タバコ、ブラックベリージャム、カシス、皮の風味があります。口当たりは、良い構成があり、フルボディで力強く、柔らかで絹のようなタンニンが、瓶の中でさらなる熟成を必要としています。後口はとても長く感じられます。

№03 2004Almaviva/Baron Philippe&Concha y toro 
    アルマヴィーヴァ バロン・フィリップ&コンチャイトロ

《赤》【フルボディ】 D.O.バレ ド マイポ
葡萄品種:カベルネ ソーヴィニヨン(87%)、カルメネール(13%)          
特別なワインのための葡萄は、マイポ バレーの最良の畑からのものです。低い収穫量、理想的な気候、成熟する期間の高い放熱と低い最低気温がワインに完全なバランスを与えます。手作業で、15kg入りのケースを使って収穫しています。破砕、除梗して、発酵タンクに入れます。4日間の醸しの後、ワインの一部は自生酵母で発酵させます。発酵過程は、最高30℃までに温度を調節しながら、とても伝統的で自然な方法で行います。良質なタンニンのより良い抽出が出来るように、後発酵は3週間続きます。マロラクティック発酵の後、複雑さを得るために、12ヶ月間、異なった樽製造業者からの信頼のおけるフランスのオーク樽で熟成させます。出荷前に、6ヶ月間瓶で熟成させます。
少し紫がかった深いルビー色の中に、赤いベリー類のエレガントなブーケがあり、ほのかな調和のとれた木の香り、バニラ、スモーク、タバコ、ブラックベリージャム、カシス、皮の風味があります。口当たりは、良い構成があり、フルボディで力強く、柔らかで絹のようなタンニンが、瓶の中でさらなる熟成を必要としています。後口はとても長く感じられます。

アルマヴィヴァは、ボルドー第1級シャトーのムートン・ロートシルト(ロスチャイルド)を運営するバロン・フィリップ・ド・ロートシルトとチリの大手ワイナリー、コンチャ・イ・トロが共同で生産するワインです。1996年の最初のヴィンテージが市場で高い評価を得て一躍有名になります。現在では、最高級のチリワインとしてのその地位を不動のものとしています。その名前は、モーツファルトがオペラ化した事で一躍有名になった戯曲“フィガロの結婚”の出演者アルマヴィヴァ伯爵に由来しています。ラベルにあるAlmavivaの字は、原作者であるフランス人カロン・ド・ボーマルシェが残した肉筆を使用しています。また、ラベルにある不思議なデザインは、独自の宇宙観を持っていたチリの先住民族マプチュ族が儀式の際に使用する太鼓に残されている模様で、地球と宇宙を表しています。 アルマヴィヴァは、チリのサンティアゴ南東部にあるマイポ・ヴァレーのプエンテ・アルトに85haの葡萄畑を所有しています。マイポ・ヴァレーは夏季には乾燥し昼夜の温度差も大きく、冬季は温暖で雨が多いことから、葡萄栽培に適しており、また、その中でもプエンテ・アルトはマイポ河が運んだ礫が土壌となっている為水捌けが良く、カベルネ・ソーヴィニョンにとって理想的な栽培環境として有名です。殆ど雨の降らない夏には灌漑の必要があり、地下に張り巡らした灌漑システムから、適量を供給しています。20%程度使用されているカルメネール種は元々ボルドーが原産の葡萄ですが、19世紀後半にボルドー葡萄の大半を死滅させたフィロキセラ病の大流行によってボルドーでは全滅してしまった品種です。

№04 1998Almaviva/Baron Philippe&Concha y toro