平成20年2月23日(土)

飯豊連峰保全連絡会設立総会・飯豊連峰保全シンポジウム

設立総会 平田代表 保全計画検討の経緯
基調講演 シンポは大盛況 パネラーの皆さん



飯豊連峰は3県にまたがる広大な面積からなる。また、関係市町村も数多く現在の登山道の成り立ちも、修験道・参拝登拝道と作場道・作業道が繋げられ自然発生的になりたったものが多いと聞く。
明確な目的を以って作られたものは昭和39年の新潟国体の際に登山競技の会場として切られた登山道であろう。
行政区が異なることで、登山道、避難小屋の維持管理も明確な根拠もなくそれとなく不文の慣習として行われてきた部分がある。
飯豊連峰への道はかつては、そのアプローチの悪さから入山者も少なく問題も顕在化しなかったと思われるが、近年登山道の裸地化が進み水流による表土の流失、洗掘作用によるガリーの出現、登山者が泥濘を避け登山道脇を歩くため登山道の幅員が広がりこれが更なる山の植生を含めた原始性を持つ飯豊の自然環境の荒廃を早める方向に向かっている。

登山道等の維持管理もそれぞれの活動エリアで自発的に行われてきたものを行政区に拘らず関係者が情報を共有化して登山道、自然環境の維持管理に役立てることができないか?と数年前から関係者の中で少しづつ動き出してきた。
環境省、潟jュージェックが基本的な実地基本調査に乗り出し、連絡会議・ワーキンググループによる情報・意見交換を経て、一昨年から実証実験が始まり、昨年は修復の技術的な講習を受けたり、実際に公募による作業グループでの修復作業が行われた。
関係者の懸命の努力によりようやく、その活動が胎動しはじめたといえる。

その、情報交換、意見集約、作業方針の研究など中核的な役割を果たし受け皿としての組織が必要であり今般、『飯豊連峰保全連絡会』としてこのたび発足を迎えた。
発足した会の第一歩としての活動が後段のシンポジウムとなった。

今後も活動趣旨にブレが生じないように、また何故この会が必要なのかを明らかにするために、設立趣旨を転記しておきます。

飯豊連峰保全連絡会議 設立趣旨
<設立趣旨>
 この会の設立趣旨は、飯豊連峰を愛する人たち、飯豊連峰に関わ
る人たち、飯豊連峰に登る人たちの協働により、人為的な影響で荒
廃した自然を復元させ、原始性の高い飯豊連峰の自然が永続的に維
持されるように、その保全活動を推進することである。
 このため、飯豊連峰に関する様々な主体の保全活動が無秩序とな
らないよう、広範囲な関係者が様々な立場で連携・分担するための
情報交換、意見交換、意思疎通を行うこととする。


<発起人>
井上邦彦(小国山岳会)
薄  定雄(福島県自然保護指導員)
小荒井実(エーデルワイス山岳会)
平野茂夫(山都町ガイド協会)
藤井三郎(下越山岳会)
舟山清一(飯豊山岳会)
本間一人(新潟県山岳協会)
東北地方環境事務所
敬称略

なお、設立総会において、平田大六氏(関川村山の会)が代表として選出された。
各発起人を幹事とし、東北地方環境事務所が事務局とする旨、平田代表より指名が
あり総会において承認された。

この会の平成20年度の活動スケジュールとしては
@ 本日のシンポの開催
A 6月会 
   本年の保全計画の発表及び調整
B 合同保全作業
   飯豊連峰保全計画書(案)に基づいた一般参加者の応援も含めた現地での保全作業の実施
C 11月会
   各会の作業・状況報告及び次年度の作業計画の検討
とすることを設立総会にて承認した。


その後、午後13:30分からはシンポジウムが開催された。
@ 環境省東北地方環境事務所羽黒自然保護官事務所の佐藤氏より『飯豊連峰保全計画(案)』検討の経緯の説明
A 基調講演 山口義雄氏「私の山の楽しみ方」 (茨城より)
B パネルディスカッション
   パネラー
   山口義雄氏(元茨城県職員)
   松本清氏(巻機山ボランティアーズ代表)
   平田大六氏(関川村山の会々長)
   井上邦彦氏(NPO飯豊朝日を愛する会)
   コーディネーター
   川端郁子氏(潟jュージェック)

個別の内容については、当日実際にお聞きにならなかった方に予断を持ち込む可能性があるので割愛します。

でも、関係者の努力により、無形のものが有形のものに変遷していく。
そんなイメージがあった。長年の思いがようやくカタチになったものと思う。
しかし、現実的には限られた経済的環境、人員、厳しい自然環境、遅い植生の回復などを思うと
今回でようやくスタートラインに立った。
端緒についた。それが正確なところ。
私自身も、私の所属する下越山岳会も飯豊連峰の西面をベースにする山岳団体であり微力ながら貢献できればと思う。




平成20年2月24日(日)

雪層の確認 Obake隊長の埋没 ビーコンはどこだ!?

小国山岳会主催 雪山講習会
AM 2班に別れ講習
吉田講師
@ 雪の形状(結晶)による特徴の確認と雪の形質変化
A ピットを掘り、雪層の確認(実習)
B 埋没体験(実習)
C プローブ研修(実習)

井上講師
@ プローブの変遷
A ビーコンについて
B ビーコンによる発信源の特定(実習)

PM おぐに開発総合センターをお借りして昼食・座学
   
   菅野講師
   雪崩のメカニズム・低体温症について
   
   井上講師
   講習内容と現場での応用
   竹田方式搬送方法披露(要ハーネス)
   感想発表・記念撮影 解散


昨日からの悪天候は回復せず真冬でも充分に悪い部類の天気。新発田から小国までも時折視界が悪く慣れたつもりのボク達でも徐行を余儀なくされる場面があった。まあ、午前中は仕方ないと思いながら会場を目指す。

久しぶりにお会いする方、何だか時々会う方、昨日も会った方など楽しい。
少し遅れ気味の到着なのでバタバタと準備をする。

参加者が2班に別れ、ローテーション。
先ずは、斜面にピットを掘る。(約2m)その後、雪の形状を学ぶ。雪温などを計ったりして変化を確認した。
埋没体験を、数名。
プローブで埋没者を探す。

休憩を挟んで井上講師と交代
プローブの目的の変遷と考え方の変遷の説明。
ビーコンの説明
グラウンドで講師が埋めたビーコンを探すトレーニング


昼食後
菅野講師の座学
よく整理されたテキストです。参考にさせて頂きます。
井上講師より補足的に体験的な内容で講習。
考案されたばかりの竹田搬送方式の披露
シンプルかつ使い勝手の良い担ぎ方です。
多分、考慮する点はザックのキャリーループの強度と要ハーネス。
このシステムならエイト環での下降も受傷者、搬送者ともにエイト環からスリングとカラビナを掛けられるの
安定性が保てるので、沢等でも使い勝手が良さそうである。

寒い中、みなさんありがとうございました。
悪天候でもだれもキャンセルが出なかったそうで
皆さんエライ!

講習に参加して感じたのは、講習を行うレベルになるには、系統的に知識と経験が積層している
事が必要なのだが、小国山岳会さんは系統的に整理されていて理解をしていること。

ボクの自身の知識と経験は薄っぺらで断片的である。
新しい知識と用具への関心は必要なこと。
勿論、古くても使い易い道具もあるが、だからといって新しい道具への関心は不要ということではない。

今回講習とは無関係ではあるが、その一例としては最近普及してきたGPS及び国土地理院の地形図についてであるが、多分、世間ではまだ、TOKYO系の測地形式と世界測地(WGS84等)系が混在しているはずである。
私が、現在世界測地の座標を読んでも、無線の先で受けている人がTOKYO系で読んでいたら
大変な事だ。その辺の意思疎通も必要だしそもそも地図の緯経線の取り方も異なる。(チョイと見れば判るけど)
現場でホワイトアウトに捉まってから緯経線がTOKYO系だと騒いでも遅い。
何がどう違うのか?位は知っておくべきだし、ロープの結びも去年の常識は今年の非常識とは言いすぎだが
スタンダードというものは変わるので勉強は欠かせない。
例としては、キング オブ ノットの称号を得ていた、ブーリンだけど、今じゃ使うな、覚えるなと言われる。
でも、何が危険か判っていて使う場所、バックアップの方法を確実に行う人には使い勝手がいいと思われるし
レスキューの現場では恐らく使い勝手は良いと想像している。(実際、遠藤晴行ガイドは特定の場面では使っている。でも使い方はネットでの説明では誤解を生じるかも知れないので記述しません)

話しは飛びましたが小国山岳会さんは面白いもので、新進取得の部分と、雪山はワカン派が多数派と
ケースバイケースで使い分けるところが良く勉強しているということだろう。
ヤマではとにかく、あるもので何とかしなきゃいけない。という前提があるので実に機転が効いている。
竹田方式は目から鱗でした。
この研究心は何時も感心するところです。勉強になりました。

小国山岳会の皆様
2日続けてお疲れ様でした。
感謝申し上げます。


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