飯豊連峰 大日岳(2,128m) ダイグラ尾根〜梶川尾根 

 夜明け前に桧山沢の吊り橋を渡る  梶川尾根上部と月
 宝珠山と飯豊連峰中部稜線  越えてきた切歯状の尾根を振り返る
   
 赤岳沢に詰まった雪、上部は烏帽子岳〜扇ノ地紙の稜線  実に面白い地形だ
   
 御前坂手前から宝珠山を振り返る  本山(飯豊山)山頂に着きました
   
 本山(飯豊山)を後に御西岳避難小屋を目指す  12日朝、晋平さん達は頼母木山避難小屋を目指し出発
   
 ボク達は大日岳へピストン  この秋初めての霜柱
   
 アキちゃんは3度目の正直で大日岳に着いた  雲海に会津磐梯山が浮かんでいた
   
 お世話になった御西岳避難小屋管理人の羽田さん  岳友の待つ、梅皮花岳避難小屋が鞍部に見えた
   
 左から竹爺、草刈さん、アキちゃん  竹爺御内儀の味付けモツで野菜タップリのモツ鍋
   
 アツアツをいただきます  後片付けを終えて下山の途に
   
 北股岳への登りで石転ビ沢を俯瞰する  リニューアルした門内岳山頂の御社の屋根
   


日 時   平成26年10月11日(土)〜13日(月・祝)  
参加者  akiちゃん(NAC)LTQ(KAC)
行き先  飯豊連峰 大日岳(ダイグラ尾根〜梶川尾根)
天 候   10月11日 晴れ
      10月12日 快晴
             10月13日 曇り後雨(合羽は着ないで済んだ)

装 備   秋山避難小屋泊まり装備(シュラフは夏用+シュラフカバー)
登はん用具:なし
ナビ用品:GPS、Mポインター、地図、シルバコンパス
防寒具:ダウンジャケット、ダウンベスト(薄物)
飲み物:水2.0L+ポカリ500ml
食料品 握り飯4個、パン5個 
その他 団子類
嗜好品 アルコール類・ツマミ類

コースタイム 事柄 備考
1011(土)
04時05分       天狗平P発(410m)
05時04分       桧山沢吊り橋(472m)
06時41分       長坂清水(955m)
07時57分       休場ノ峰(1,320.7m)
08時45分       千本峰(1,450m)  
10時57分       宝珠山(1,800m)
13時16分       本山(飯豊山)着(2,105.2m)

13時38分       本山(飯豊山)発
14時55分       御西岳避難小屋着(1,985m)


10月12日(日)
05時50分       御西岳避難小屋発(1,985m)
07時05分       大日岳着(2,128m)
07時40分       大日岳発(2,128m)
08時52分       御西岳避難小屋着(1,985m)

09時25分       御西岳避難小屋発(1,985m)
09時40分       天狗ノ庭(1,840m) 
10時43分       御手洗ノ池(1,845m)
12時06分       烏帽子岳(2,017.9m)
12時36分       梅皮花岳(2,000m)
12時54分       梅皮花岳避難小屋着(1,850m)


10月13日(月・祝)
07時37分       梅花皮小屋発(1,850m)
08時05分       北股岳(2,024.9m) 休憩
08時45分       ギルダ原(1,880m)
08時57分       門内岳(1,887m)   
09時05分       門内岳避難小屋(1,870m)
09時25分       扇ノ地紙(1,889m)  雨があたり出す
10時15分       梶川峰(1,692,3m)
10時43分       五郎清水(1,370m)
12時02分       湯沢峰(1,021m)
13時12分       天狗平P着(410m)


GPSデータ
TP積算距離    37.2km
TP移動時間    14H41M
移動平均速度   2.5km
全体平均速度   1.6km
累積標高(+)    3,805m
最高到達点     2,132m
以上GPSデータ

概略
秋山ミッドシーズン、3連休どこかにクライミングに行きたいなぁ〜と思いつつも超大物クラスの台風19号が日本列島を窺っている・・・
偏西風に捉まるタイミングで連休の行方が決まる。多分、このままのスピードだと、連休2日目あたりから、影響が出始めるだろうから
信州方面のクライミングはパス。台風からより遠い東北のヤマなら影響が遅いだろうから東北のヤマに入ることにする。
コースはアキちゃん提案のダイグラ尾根を登り御西から大日岳へというコース。

ダイグラ尾根は、天狗平から桧山沢の吊り橋を経て本山(飯豊山)に直接到達する長大な尾根である。
昭文社の山と高原地図の標準的な登高時間で概ね10時間という長丁場である。
アキちゃんは、3年前に御西岳避難小屋まで行ったものの大日岳に登らずに下山してしまい、飯豊連峰の未踏の宿題となっていた。
ボク自身もダイグラ、大日岳は10年位登っていないと思うので本当に久しぶりのコースとなった。
そして飯豊の各避難小屋も概ねこの連休で小屋閉めとなり長い冬の閉ざされた季節を迎える。


記録
10月11日(土)
午前4時出発予定を少し過ぎ歩きだす。少し前に先行したパーティーがいる様だ。この時間に出て行くのはダイグラだろう。水場に乏しい
この長大な尾根を登るには、涼しく残雪の心配もないこの時期は登り易いと思うが、いかんせん日没が早くなる。
暗い空に星がキレイだ。温身平、石転ビへの分岐を右に送り森の暗闇に進む。徐々に歩道は狭くなり、ヘツリを伴う様になると吊り橋は近い。

吊り橋を渡ると急登が始まる。飯豊の登山道は程度の差はあれ、出だしの急登は避けられない。朝の涼しい時間でも大汗を絞られながら登る。
ひと登りすると、ヘッデンが不要な明るさになる。梶川尾根に陽があたり色彩が豊かに映える。
長坂清水の標識があるけれどまだ、水はタップリあるのでそのまま進む。
この先も、ジッと忍の一字の登りが続く。やがて、辛い急登を登りきると、休場ノ峰に着いた。ここからは上部への視界が開け、次の目標になる
宝珠山を望力を得る。本山から北部稜線をパノラマ状に眺めることができるのは、ダイグラの絶景だろう。
そして、ここから細かいアップダウンが始まる。辛いには辛いものがあるけれど、時間がかかる割にはテンポよく状況が変わり飽きることがない。

後ろのパーティーとの距離が詰まってきたようだ。賑やかな声が聞こえる。ハハ〜ん追いついてきたな・・・・

宝珠山を過ぎた所で、梅皮花岳避難小屋の小屋番に向かう竹爺に波を出す。
竹爺は出ない。代わりにハイジが出てくれた。ハイジは今日まで御西で管理人の羽田さんのお手伝いをしていたらしい。
ハイジと話していると、竹爺がブレイク。
何でも、小屋番の手伝いの草刈さん、天狗平ロッジに前泊した山ガール(もうチョイと古いな)2名をエスコートしているらしいし、ヤマ友である
長岡の純子さんもサプライズの登場だったらしく、梅皮花小屋まで皆で向かうらしい。賑やかな登りだろう・・・
竹爺、ハナの下がヘラヘラ、ベロリンと伸びているのが眼に浮かぶ。
この、後ろのパーティーはアキちゃんの話で所属会のメンバーが後ろから来るからね〜。と聞いていたから・・・この声は金子くんかな?
等と話ていた。その後、付かず離れずの距離でいた。

そのうちボクが空腹に耐えかねて、少し長めの休憩として食事を摂り後続の確認。
やっぱり〜・・・・みなみちゃんを先頭に、晋平さん、カネちゃん、カネちゃんの友人、横堀くんの5名だ。彼らに先行して貰いこの後は彼らの後ろに
着いて長い長い御前坂を登る。長い長いダイグラ尾根もようやくゴールとなる。振り返るといつの間にか宝珠山が遠く、下に位置していた。

風の強い本山(飯豊山)の山頂。上に一枚羽織り更に合羽を着てグローブを付けた。写真を撮ったり、新潟山岳会メンバーと四方山話をして
ボク達は一足先に御西岳避難小屋に向け出発した。南側の斜面にはまだ、雪の残る場所がある。いったいどれ程の量の雪が堆積するのやら・・
6月頃に来た時の印象からすると40m以上あってもおかしくない気がする。いかにも飯豊らしい稜線を午後の陽を浴びながら気持ちいい風を受け
て御西岳避難小屋までノンビリと歩いた。

小屋の前では羽田さんが待っていてくれた。本山小屋はゲロ混みだろうと思っていたら、御西岳避難小屋も激混みだ。管理人としては頭が痛い
ところ。羽田さんから指示頂いた場所に入り荷を解きながらビールを一口。うまい・・・・長い尾根歩きだったなぁ・・・
暫くしてから新潟山岳会一行が到着した。その後もポツリポツリと宿泊者が到着して羽田さんをハラハラさせていた。皆さん食事を済ますと
18時過ぎには就寝態勢・・・・早過ぎるなぁ〜新潟山岳会のみなみちゃんに、笹団子を進呈したら、彼女人生初笹団子・・・・とのこと
食べ方を晋平さんに教えてもらっていた。
最終到着は19時30分頃にダイグラからの宿泊者が到着した。小屋泊まりならもう少し早く着きましょう。

10月12日(日)
さて、18時頃から寝ている諸氏、予想通り3時頃からカタカタ、チャラチャラと始まる。
ボク達は、大日ピストンで後は梅皮花岳避難小屋までなのでノンビリしたもの。

6時少し前、晋平さん達新潟山岳会パーティーは頼母木岳避難小屋めざして出発した。ボク等も不要なモノをデポして大日岳に向かった。
途中の登山道で、今年初めての霜柱を観た。今朝は風も弱く静かな朝だ。たおやかな笹藪を切られ造られた登山道を進む。
亮平ノ池を過ぎ登って行く。最後に急な登山道を登り切る、もう一段左にツメ上がると山頂部。さらに僅かに左に進んで標柱のある場所へ。
大日岳到着です。グルグルっと見渡すと北には鳥海山、月山、西は佐渡、角田山、弥彦、米山、妙高・・・・越後三山、燧ヶ岳等の尾瀬の山々
那須方面の山、南会津、磐梯山、吾妻連峰、蔵王連峰、朝日連峰と素晴らしい展望である。

梅皮岳避難花小屋にも朝日があたっている。梅皮花岳避難小屋の竹爺を無線で呼ぶけれど出ない。少ししたら竹爺が天狗平ロッジの小関
さんを呼んでいる。昨日同道した女性は純子さんがお母さんになって引率下山らしい。おまけに東京に帰るにあたって長岡の純子さんの車で
長岡まで送って貰うとかで、なんともめぐり合わせのよいお嬢さん達のようである。ナルホドとワッチしていたら最後に今朝、頼母木付近で遭難
(疾病)事案が発生したらしい。とのことであった。

ヘリが山形空港が天候不良のため待機中らしい。風下の新潟側はピーカンなので、新潟側へヘリ要請すれば、待機なしで飛べると思うのだが・・・
この辺は救助要請する際に、検討すべき課題があるな・・・と感じた。小関さんと竹爺の話が終わる際にブレイクを入れて、
「ワッチしていたので全て了解」と伝えた。大日岳山頂の絶景を楽しんで御西岳避難小屋に戻る。

御西岳避難小屋に戻ると、新発田山岳会の轡田前会長がおられた。昨日丸森から登られて梅皮花岳避難小屋に泊まり、今日は御西から大日岳
ピストン、本山(飯豊山)避難小屋で泊まり、明日ダイグラ尾根を下山するという。
管理人の羽田さんにお見送りを頂き、御西から天狗岳、天狗ノ庭へと進む。

この御西岳付近が、ボクの住む新発田市の水源地の最深部といえる。御西岳から北側は縦走路である北股岳、門内岳から二ツ峰、藤十郎山、
赤津山、雷岳、二本木山、二王子岳に至る長大な分水嶺、南側は大日岳、烏帽子山、蒜場山への稜線が集水面積となる。
希釈、分解されるとはいえ、御西岳周辺を含む飯豊連峰の中部稜線の環境は我々の水源地でもあるので注視していきたいところだ。

天狗ノ庭の以前に保全作業で施工した場所を眺めてもう少し手入れがいるのかな?と思いつつ眺めた。御手洗ノ池にはオタマジャクシ、
種類は解らないけれどサンショウウオの類が居るようだ。
先に進と以前に石油資源開発の稲葉氏に教えて頂いた熱水噴出の形跡と思われるという場所を思い出しながら歩いた。

それにしても今日は、風もなく陽の光も強くて暑い。暑い暑いと言いながら、烏帽子岳への登りをやり過ごし、山頂で梅皮花岳避難小屋の
竹爺に無線の波を出して現在位置を伝える。もうひと登りして梅皮花岳。あとは鞍部に向かい降ると今日の宿泊地の梅皮花岳避難小屋となる。
ところで、意外なことに、御西岳避難小屋、梅皮花岳避難小屋も所在地は新潟県新発田市、それぞれ赤谷、滝谷となっている。
そうすると、稜線の県境ってどこなんだろう?とやや不思議な気がする・・・・国有林の借受標識はそうなっている。

竹爺と外で話しているうちに、大人数のパーティーが到着。てっきり門内岳避難小屋まで行くものだと思っていたら梅皮花岳避難小屋で宿泊。
竹爺、いがったなぁ・・・
団体さんの方と外でお話をしていると、神奈川山岳会の方とのこと。明日は横浜まで帰らないといけないので台風の影響がでないうちに
早朝に発つらしい・・・確かにボク達は下山すれば後は、風呂に入り車で1時間30分で自宅だけど関東からでは、そうはいかない。
昨晩、梅皮花岳避難小屋に泊まった東京女子は堅い選択をしたと思う。

さて、管理棟に寄せて頂き今晩のメインは、竹爺御内儀の味付け下ごしらえのモツ鍋。野菜たっぷりで実にヘルシー。
飯豊連峰保全会議主催のシンポジウムの2日目、講演で石油資源開発の稲葉氏は地質、そして草刈氏は山岳地の昆虫について講演頂いた。
環境省希少野生動植物種保存推進員という肩書きもある昆虫の専門家である。
昆虫の生態には餌が重要なファクターであり幼虫の食べる植生が関わってくる。植生に関しては、岩質等地質が関わってくる。
こうして、昆虫という一つの切り口からヤマというテーマに入ると奥が深く際限ないものに思えてしまう。

毎度の事ながら硬軟取り混ぜた、酒席で盛り上がり実に楽しい宴であった。
時間の記憶も定かではないが・・・・
上階から「もう、1分」「少し、多い・・・少ない」等様々な声がする・・・
時計は午前2時30分・・・丑三つ時ですな。
ウトウトしていたらやはり、3時頃に神奈川山岳会の方々は出かけていった。

竹爺の「起きれ〜い」の声でようやく起きる。朝食を頂き其々の段取りをする。
竹爺と草刈さんはWC清掃と水洗トイレの水抜き、akiちゃんは朝食の後片付け、オイラは避難小屋本棟の清掃と手分けして作業を進め
7時30分出発か〜と云う時御西岳避難小屋から管理人の羽田さんが到着。羽田さんと5人で下山することに。

北股岳に登る途中、石転ビを俯瞰する案外安定している様な気もするが、現地に行かないと何ともいえない。
北股岳からはまだ、蔵王連峰、鳥海、月山等がかろうじて望めたし雲底も高いのでもう少し雨が来るまでは時間があるだろう。
先頭を歩く草刈さんが、足を止めてバッタをを捕まえた。「これが、羽がごく短いハヤチネフキバッタ」と教えてくれた。

ギルダ原にも花は僅かな遅咲きのマツムシソウ程度。羽田さんがどこかで飲んだらしい、ナナカマドを焼酎に漬けた飲み物の話をしてくれた。
何か薬効があるのかな?門内岳山頂の御社の屋根もキレイになっていました。門内小屋に到着すると既に冬囲いが終わり既に管理人も無人だった。
WCの近く登山道から僅かな場所で新品であろう大キジの残骸・・・・・デモのハレものは仕方ないものとしても、もう少し何とかならんのか・・・・

扇ノ地紙に着き一休み、雨がポツリ・ポツリ・・・・
拙いな・・・・でも雲底はまだ高いし蔵王も見えている。大降りは未だなさそう。一休みして下山を急ぐ。時折雨がパラパラ来るが大降りしないので
雨具を着けることなく五郎清水。食事を採って湯沢峰へ。湯沢峰あたりからやや雨が強くなるが樹林帯であるので雨具は要らない。
楢ノ木曲がりあたりから雨足は弱まり登山口に到着。

梅皮花荘で風呂に入り、坂町の「あしら」に入ると環境省羽黒自然保護官事務所の白銀くんにバッタリ。頼母木小屋近くの遭難(疾病)事案の同行
者だっと聞き尽力を労い別れた。ここ数年の飯豊山行では最も条件の良い山行だった。


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