五頭山塊 安野川 小倉沢 ハゲ沢遡行

初夏の五頭山塊 毛虫祭り 参りました。降参です・・・・

 アプローチの踏跡は年々不明瞭になっている  入渓して約10分・・・なんじゃこりゃ
   
 沢の住人  ここも荒れている
   
 朝の小滝は逆光で柔らかくキレイ  カモシカに食べられたミズ
   
 釜にも沢山の流木  残置のリングボルトは、かなり古いので使う人は今後は注意して
   
流木ダム 酷いなぁ   ホントに水が少なくチト退屈気味のAkiちゃん
   
 こういう枝にも毛虫  滝の両脇のブッシュにも鈴なりの毛虫
   
 登山道に出ました。遠くに日本海  下山時三ノ峰コースで見かけた毛虫
   
 ネットの写真で調べた感じでは「マイマイガ」のようだけど・・・?  そんで、コッチは「カシワマイマイ」ではないかと・・・・
   

遡行日 平成26年6月28日(土)
天 候  晴れ時々曇り
気 温  20.4℃~27.7℃
風 向  ESE
風 速  11.1m
気象データ 新潟市新津

装備
沢シューズ、スパッツ、ヘルメット、手袋、Φ8.0㎜×10m細引、スリング類、カラビナ、エイト環

06:40  どんぐりの森P着(270m)
07:13  どんぐりの森発P発
07:30  布引きの滝の上から入渓(300m)
11:30  龍神清水着(815m)・・・・・今日の核心は毛虫だった。
12:28  三ノ峰(870m)昼食
13:15  三ノ峰 発
14:22  三ノ峰登山口着
14:26  どんぐりの森P着(270m)

参加者
Akiちゃん、LTQ

概要
平日はず~っと晴れ続きで、週末は土曜日の日中のみ晴れそう。しかもフェーン気味で暑くなりそうなので、こりゃ沢へ行こうかな?と
当初、今シーズン初の沢なので単独で軽量化して平易な小倉沢に行こうと考えていたら、女子3人山行が天候不安定で没になったというAkiちゃん。
そんじゃ~行くけ?と誘った。


記録
前週、日曜日以来、雨がないので水量は少ないのが判っていたので、ロープは持たず、10mの細引きとスリング、ガチャ少し、エイト環で出かける・
昨年まであったどんぐりの森のWCは撤去されていた。その代わりにはならないが、沢側に強固なバリカが設置されていた。これは以前、ロシア領事館
の方が転落し死亡した事故より安全対策の強化というものだろうか?

入渓ポイントの布引きの滝までのアプローチの踏み跡は年々藪化していき今では足元が見えずにアヤシイ場所もある。
それだけ沢登りも減っているのだろうか?あと数年するとどうなることやら・・・・・

入渓してから、僅かに進むと・・・なんじゃ、こりゃ?倒木が散乱している。昨年も倒木が増えてきたな~という覚えがあるものの、
これほど酷い状態であるとは驚きだ。
10年数年前から爆発的に増加したカシノナガキクイムシによる楢枯れでナラ類特に、ミズナラ、コナラ類はことごとく枯死した。立枯れたナラの樹は
我々に毎年秋にナメコを大盤振る舞いしてくれて、枯死した樹の皮が朽ちて剥がれ落ちる頃まで毎年ナメコが採れる。
近年ナメコ採りは上を向いて樹上のキノコを探している。

ところが、枯死した樹もいつまでも立枯れたままではいられずに、冬季間の雪、春の融雪期の雪が自重で斜面を降る力等でやがて倒れる。
倒れた倒木は雪崩や斜面を滑り沢を目指す。結果沢に大量の倒木が滞留している。滞留した倒木は一部ミニダム化して水を澱ませていた。
梅雨時期の大雨でこの様なミニダムが決壊して流木となり下流に押し流すのか?新たに支沢から倒木を供給し増えるのか?
沢の倒木の量がどうなるのかは判らない。

名物のCSのある滝も釜に大きな樹。前からあったけれど本数が増えているようだ。今日は水量が少なく取り付きも簡単。
ただ、水量が少ないのでおや?と思ったのは高さである。水面が低いのCS上までの高さを感じたということみたい。
以前は泳いで取付いたものだが・・・・

この辺りから、今日の核心となる、毛虫が現れた様に思う。沢の脇の樹の先にオビタダシイ数の毛虫。
ボクは虫オタではないので、何の幼虫か判らない・・・毛虫は毛虫

河原の砂にカモシカの足跡。そして山菜のミズの上部を齧った跡。人間ならミズの茎の下部は残すまい。
沢の石の上にも毛虫・・・ど~なってんだろう。

三階ノ滝。一段目はヌルつく岩を登る・・・・で、2段目、1段目より傾斜が緩いもののほぼ1枚。
小さく滝の右岸の縁をブッシュに捕まりながら登ろうか?・・・でもブッシュには毛虫
左岸の傾斜の緩い所はシダ位しか掴めない・・・抜け口の樹上にも鈴なりのケム・・・・
あ~いやだいやだ・・・・

その後も葉先、枝先に注意して歩く。沢床に詰まった倒木の枝先にも毛虫、両脇から頭上に覆い被さる木々の葉にも毛虫。
仕方ないから、地味に通過する場所の枝に着いている毛虫を避けるために、毛虫のついた枝先を折り通路を確保し静かに通過
こりゃ、高巻きを強いられたり、ツメで藪漕ぎを強いられるルートを選択しないで良かった・・・・

ハゲノ滝も両脇の木々に毛虫・・・・疲れる
滝登りのライン云々ではなく、毛虫を避けるライン取りが本日の要諦。
このハゲノ滝で実質的には終了。いつもなら・・・・・
ここから先、更に沢幅が狭くなるので毛虫との距離が近付く恐れがある。
ハゲノ滝を過ぎると稜線が近いので、フェーン気味の南東風の強い風が時折木々を揺らす・・・・・落ちてくるなよ

気を付けながら先に進むと、妙な場所に赤布
登山道から水場降りてくる小径でもなさそう。なんでこんな位置に赤布なんだろう?
少し様子を探ったけれど、毛虫のいるただのヒド

水流に戻り少し先に進むと登山道からの刈り払いされた開けた小径。
あ~ようやく毛虫遡行から開放されたわい。

登山道に出て、汗どめに手ぬぐいで頭を巻いた上からヘルメット被っていたので、ヘルメットを脱ぐとヘルメットの中にも毛虫・・・・
お互いグルリと廻って毛虫チェック。今のところ皮膚炎症状はない。
あれだけの数の毛虫の中を歩いてきたのだから、全く接触しないでここまでこれるとは思えない。皮膚炎を起こさない毛虫なのか?

登攀具をザックにしまい、下山用のスパイク地下足袋に履き替え、良い場所でお昼にすることにして一ノ峰に着いても風が強い。
三ノ峰まで下れば、南東風の風下になるので問題ないだろうと、三ノ峰まで下り、お昼。
風はあるものの気温が高いので気持ち良くノンビリ過ごして下山へ。

下山コースの三峰コースの脇の木々にも沢山の毛虫
ただ、沢では見かけなかったのだが、樹の幹に摑まってそのまま、体液を流して死んでいる個体も少くない。
沢では、若齢の死んでいる個体が少なからずあった。

登山口近くまで下ると、毛虫の数は少ない。下山してAkiちゃんは村杉温泉で風呂に入って帰宅するとのこと。ボクは風呂に入っている間に
家まで着いちゃうから着替えだけして帰る事に。帰り道、廻り道して杉滝岩に寄って少し常連の皆さんと世間話をして帰途についた。

帰宅後ネットでしつこく毛虫について調べた。
写真だけなので、同定というレベルではなく、だろうか?というレベルながら
1種類はマイマイガ・もう1種類はカシワマイマイではないだろうか?

そして、登山道脇で樹の幹で体液を流して死んでいる個体、沢で若齢幼虫の死んでいる個体を少なからず見かけたので
これも調べてみた。もし、マイマイガであれば、大発生の終息に向かう可能性がある。
そして、マイマガのみを病死させるウイルスに感染すると、通常は地上に近い場所でジッとしていて、夜間樹上で葉を食べるマイマイガの幼虫が
このウイルスに感染すると一日を通して樹上にとどまり最終的には死んでしまうらしい・・・・
そして、この死んでしまったマイマイガの毛虫から流れ出る体液はウイルスが大量に含まれ直射日光に曝されなければ10年近く
感染力を維持するらしい・・・・感染したマイマイガはウイルス袋になっているんですね。他の種類、動物への感染、影響はないそうですけど。

ネットで今年6月上旬頃の遡行記録を何本か見つけたけれど、毛虫の記載はほとんどなかった。



マイマイガの「ウイルス病」が流行すると大発生が終焉へ・・・・・・資料・写真提供:(地独)北海道立総合研究機構林業試験場


マイマイガの大発生を抑える流行病

幼虫をゾンビにしてドロドロにするウィルスの粋な生活史



毛虫以外は面白おかしく、シーズン始めの沢遊びだったけれど、毛虫のせいで妙に気疲れした一日でした。
お疲れ様でした。

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