飯豊連峰 門内小屋 小屋仕舞準備(平成23年10月08日~10月10日)  


門内小屋は避難小屋で年間を通じて入ることはできるが、6月半ば頃~10月上旬まではWCを利用するこができる。
この度、降雪前に管理棟、WCの積雪対策をして冬を迎えるが、その準備として小屋に上がった。

梶川峰に着いた  ケルン下の施工地(石ダム)
   
 植生ネットにササが入ってきた 梶川尾根上部 
   
 9日朝は快晴・奥はエブリサシ AkiちゃんとNoriちゃんは本山へ出発
   
 北股岳方向  北股岳 梅花皮岳・奥は飯豊山
   
10日バイオWCオガクズの交換  9日にはめたWCの雪囲(入口は11日に塞いだはず))
   
 引き抜いた発酵処理済のオガクズ  NENは11日役所の確認後に下山
   
 ナナカマドの実は赤いケド紅葉はイマイチ 滝見場下の傷んだ登山道…荷物が重いと女性は少し大変かな? 
   



10月08日(土)
コースタイム
06:00 自宅発 コンビニで買い物 眠い。
07:15 天狗平着(420M)  Akiちゃん・Noriちゃんは随分早く着いた様子。
07:30 天狗平発(420M)  
08:12 楢の木曲がり(720M) ノンビリ急登に取り組み一息つく。NENを呼ぶとトットバノ頭付近。
09:25 湯沢峰着(1,020M)  歩いていると汗が出るが、休むとやはり少し肌寒い。
10:17 滝見場(1,145M) 
11:17 五郎清水(1,370M) 暑くないので水分の補給は少ないので寄らずに食事。
12:30  三本樺(1,540M)  給水、枯松山の方の雲が怪しい、北股方面も・・・怪しい
12:51 梶川峰着(1,700M) トットバノ頭から雨アラレ強まる・・・トンだ晴れ予報でしたなぁ。少し下で当会の椎谷氏とスライド
13:42 扇ノ地紙(1,869M)  主稜線にあがったのであと僅かで門内。
14:10 門内小屋着(1,865M) 
出発時間は早く出たけれど到着時間は計画通りなので、ほぼ想定通り。


10月10日(月)
12:10 門内小屋発(1,865M) 門内清水で給水して12:20リスタート
12:35 扇ノ地紙(1,869M)
12:55  梶川峰(1,700M) 
13:20 五郎清水(1,370M) 
13:57 湯沢峰着(1,020M) 途中、写真撮影+αのLOMさんに追いつきパス
14:22 楢の木曲がり(720M)
14:40  天狗平着(420M) 入浴後帰途につく
14:50 自宅着


概要
新潟県が設置し、胎内市が管理している頼母木小屋、門内小屋であるが管理業務の一環として小屋の冬準備(雪囲等)のために当会有志が8日~11日に
かけて門内小屋に入った。

Akiちゃんと、Noriちゃん(新潟山岳会)を誘って小屋仕舞い準備にでかけた。8日門内まで彼女たちと一緒に登る。
翌9日に彼女達は本山に向けて登り10日ダイグラから下山する。計画とのこと。
ボクは、9日、10日と作業し10日午後に下山。NENはボクと同じ8日の早い時間帯に登り始め、11日に胎内市の確認を受けてから下山という計画。

また9日に高橋顧問(OPL)、川崎さん(VXT)がゲスト2名と登ってくる。同日、当会の女性グループ渡辺さん、諏方さん、宮下さん3名が別時間で登ってくる。
最後に、足ノ松から佐久間当会々長が10日ボクと入れ違いで登ってくる。
まるで、門内小屋集中の様な感じで入れ替わり立ち替わりで紅葉を楽しみに上がってくる。



記録

10月8日(土)
朝、起きると思った程晴れていない様だ。晩飯の下ごしらえ(と、言っても大根・人参を乱切りにする程度だけど)をして
カミさんが帰省中なので、昨晩の残飯で朝飯をカキ込んで、洗い物をして、ゴミ出しをして出かける。
はやり思った程、天気は良くない。毎度同じパターンでコンビニで行動食を購入して天狗平を目指す。

天狗平に着くと、Akiちゃん、Noriちゃんは既に到着していて、今や遅し!という雰囲気。
ストレッチだか、四股だか判らないけど入念な準備中。
集合時間の15分前到着で遅参したワケではないのに・・・・
早く着いたので、先に登りたかったらしいけど、電話が繋がらないエリアなので待っていたらしい。

さて、梶川尾根の急登をジックリと登る。彼女達は丸森尾根で計画書を出した様だが、遠回りになるので梶川尾根にしてもうことにした。
登り始めから、長野県安曇野市の方、東京からの若者を交え5人で登る。初めて梶川尾根を登るNoriちゃんは、いつまでこの登り(急登)が続くのか?と
問われるけど・・・・なかなか正直に申し上げにくい。
いやぁ~ここは・・・あのですねぇ・・・その、手っ取り早いので、その・・・と言いワケがましい語尾にNoriちゃんの目つきが悪くなる。
昨年の保全作業に参加したAkiちゃんに応援を求めても、どうも返事が怪しい・・・・と、いうか要領を得ない。
どうやら、孤立無援か・・・

寒気の影響か?疎らな雲が忙しなく流れる。
湯沢峰でも主稜線のお天気はイマイチの様子で先行しているNENを呼ぶと、トットバノ頭付近の様子。三本樺から上は気温がガンと下がって寒い位だ。
とのこと。厳しい登りを終えたのでNENはあとは、ルンルンなハズだ。
食事を摂って滝見場から先の次の急登に備える。滝見場まで来ても、紅葉はイマイチで少しがっかり。でも、三本樺から上部は良いだろうと期待する。
でも、少し雲行き怪しい。

三本樺で小休止していると、ポツンと雨が当る・・・・ホントですかぁ~
だんだん雲も厚みを増すので、合羽を着る。下は履こうかな?どうしようかな?
履くと暑いからなぁ・・・結局履かずに登るけど、この時視界にあった枯松山(西俣の枯松峰じゃないよ)付近は白く霞んでいるのでザッと強く降る驟雨の
可能性は低くないけど、期待を込めて履かずに歩く。

トットバノ頭付近で雨足が強まる。日帰りの当会の椎谷さんとスライド。天気予報は完ぺきなのに・・・・とこぼしていた。
少し登ったものの笹の葉でズボンが濡れて不快なので合羽の下を履く。途中で昨年作業した保全作業地を眺めながら歩く。
昨年、保全作業参加したAkiちゃんは、思い出しながら歩くと程なく梶川峰。ここまで来れば急登から解放される。

次に作業した梶川尾根上部は流水の影響か芽吹きのある場所、厳しい場所がハッキリしている様だ。
おや?と思ったのは、植生ネットで覆った場所にササが生えていたことだ。
少し乱暴かもしれないが、なかなか植生の回復が厳しい個所はササの株を移植するのはどうだろうか?
その他としては、土嚢、植生ネットの傷みが案外早く、早期に再度作業を要する様な気がした。

扇ノ地紙で小休止してあとは、指呼の間の門内小屋を目指す。僅かに進むと、中条山の会の亀山さんと、今は西会津在住で
杉滝岩の常連さんの上妻さんとバッタリ。
Akiちゃん、Noriちゃんは亀山さんとは面識がないけれど、上妻さんとは杉滝仲間。
飯豊の稜線で上妻さんと会えて「あがつまさあ~ん」と嬉しそう。頼母木小屋まで荷物の運搬で移動中だったとのこと。

程なく門内小屋着。気温は3℃。寒い。
ほぼ、予定時間に門内小屋到着。別ルートから登ってきたSIZは既に到着していた。門内清水はよく出ていた。

管理棟で暖を取りビールで乾杯する。
小屋本棟・テン場から登山者がBEERを購入に来られる。寒いので売れないと思っていたが逆に、皆様にお買い求め頂き感謝。
ボク達が担いできた鴨と野菜で鴨汁・SIZが持ってきてくれたブナハリの油炒め等で楽しい夕食。
でも、お天気はなかなか回復しない。Akiちゃん、Norちゃんチームのモチはブリ下がり。
明日も門内で、頼母木に上妻さんに会いに行ってもいいかなぁ?

グイグイ飲りながら、「んまぁ~明日の天気次第だ」という、あきのりチームでした。
同様に、オオインノ尾根を下る予定のSIZも思案顔。
硬軟取り混ぜた、爆笑人生劇場宴会も大団円を迎え21時過ぎに就寝。
この夜は寒かった。風の音と寒さで時々目覚めた。あまりに窓からの光が強いので窓から見ると月が青く光っていた。


9日(日)
朝、5時に外に出るととても寒い。小屋廻りの水分、水たまりは凍結。
今日は北股岳からオオインノ尾根を下山するSIZにお天気回復問題ナシ。と伝える。
ボクとNENを除いて、3名はご来光を拝みに寒い中頑張る。
朝飯を摂ってAkiちゃん、Noriちゃん、SIZの3名は出発。少し遅れて安曇野からのカメラマン氏も出発。
東京からの若者は、エブリサシ岳へテントを残し空身でピストン。結構時間かかるけどなぁ・・・
と、皆それぞれのプランで動き出した。
小屋番的にはこの時間帯が寂しいもんだ。

皆出かけたあと、NENと少しノンビリ過ごしてから段取りを相談し作業にかかる。
始めに何時もどおりに小屋掃除から始めようと思うものの、
まだ登山者が寛いでいるのでWC掃除から始める。
WCを掃除してから、石室からWCの雪囲材を運び出してとりあえずWCの側面のみ囲い材ハメる。
今日はNENと二人なのであまり無理な作業を避けて簡単な所だけにして早々に切り上げる。
OPL・VXTとゲスト2名パーティーと当会女性3名パーティーを待つが、突然、当会の渋谷修一さん(LOM)が昨日ダイグラ~御西(泊)で
今、着いた。とのことで今晩は門内泊まりで作業を手伝い明日下山して頂けるとのこと。

OPLさん達が到着してから30分程して女性パーティーが到着した。この晩は、10名での晩飯で賑やかに過ごした。
今晩は暖かった。
夜中に一度小用で外に出ると6℃もあった。風は日中までの北西絡みから南西に廻り湿気を感じた。


10日(月・祝)
今日も5時に外に出るが曇りがちの空でイマイチな空模様。
天気予報では夜に寒冷前線の通過で雨と云っているが案外崩れは早そうだ。
本棟に宿泊の当会女性パーティーは北股岳へ出かけていった。その後ゲスト2名も北股岳へ。

作業の5名(NEN、OPL、LOM、VXT、LTQ)は、先ず、最も時間のかかりそうなバイオ式WCの発酵処理槽のオガクズの交換作業を行う。




・・・・・・・・・・・以下、話題の内容が内容なので、興味無い方は読み飛ばして下さい。(食事時の人もね)・・・・・・・・・・・・・・・・



門内・頼母木で使用されているバイオトイレは発酵処理槽にオガクズを入れて、それを菌床として好気性微生物の分解作用で糞便を処理し
尿については、尿受けで出来るだけ尿は別受けできる便器の仕組みがある。
これは、好気性微生物の活動し易い環境を保つためで、糞尿が混在しオガクズの水分が多くなると好気性微生物の活動が低下する。
好気性微生物に空気(酸素)を供給し、糞便とオガクズを撹拌し、発酵処理を進める目的で、ペダル漕ぎをお願いしています、

水分で酸素が行き渡らない状態を避けるという、理由で、便器も水洗いできない。という不便さがある。
また、気温が低下すると、微生物の活動が低下するので門内小屋では太陽光発電パネル3枚で発電しヒーターとして発酵処理槽を温めている。

オガクズの状態の良い時は、管理用の開閉口からオガクズを取りだすと、色・状態は、乾いたコーヒーの出しがらの様な状態で、臭いも無い。
空気を充分に含んでフカフカのオガクズの状態が理想といえます。

ただ、次の様な場合処理能力が大きく低下します。
① 投入される糞便が能力以上に入る。
② 尿等の水分が増えてしまい、好気性微生物の活動が低下する。
③ 使用限度を超えた状態で菌床を使い続けた場合。
上記の様な場合、発酵処理能力が著しく低下します。
その場合、悪臭を放つ様になってしまいます。

古いオガクズを完全に引き抜いて、新しいオガクズに交換する場合、ペダルを廻し続けながら管理用の開閉口から柄杓で、
汲みだす。という作業になります。
従って、通常の管理体制の1名の時では全取り替えは無理といえます。
よって、通常の管理では、状態が若干悪いと感じると、適宜交換という状態、つまり概ね1袋~3袋程度汲みだし、同量程度を補給していました。
大がかりな汲み出し作業は行っていないと思います。

今回、かなりの部分を汲み出しましたが、正直なところ状態は悪いものでした。
酷い臭気・水分量が高く、ベトベトの状態となっている部分があります。結局、状態の良い部分は、ペダルの操作により、移動していきますが
状態の悪い部分は、同じような場所で居残りフカフカとは遠く離れた状態でした。
使用後、ペダルを回す際、ペダルが重いというのは、水分を含み過ぎた菌床としてのオガクズの状態が悪すぎるものと思われます。

解決方法とすれば、シーズンごとに全取り替えを必ず行うことに加え悪い時は、逐次交換も必要と思うが、全取り替えが基本と思う。
但し、頻繁に交換するとそれだけ使用済みの発酵処理済みのオガクズが排出されるということ。

平場ではこの発酵処理済みのオガクズは肥料として利用できると思うけれど、本質的に養分に乏しい稜線で、この堆肥化した発酵処理済みの
オガクズは、膨大な窒素分を含んだ強力な肥料であり、散布処理することは許されない。
結局、ヘリで下げ降ろす以外方法以外ないモノと思う。
焼却処分も不可能ではないだろうが、ハードルは高く無理と考えるのが相当。


で・・・・・・
今回の引き抜いたオガクズの上部の一部はサラッとしていたが、大半が状態が悪く、ベトベトだ。臭いも非常に強い。
明らかに、水分量が多い。というより、使い過ぎである。
小屋仕舞の時は、毎年全量引き抜くべきだろう。
逐次交換は余り意味がないと思う。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、ヤヤコシイ話はお終い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その後、天候も崩れる傾向だし、LOM、LTQの下山が昼前後なので出来るだけやってしまおうということで
①管理棟で使う天水を受ける雨樋の撤去。
②ソーラーパネルの取り外し
③WC臭突の撤去
④天水を貯める1tタンクの水抜きと格納
⑤アマ無線のアンテナ格納

と、ここまで作業をして昼前。

昼飯を管理棟で食べて下山することにする。
昼食後、12時過ぎに下山開始すれば、天狗平に14時30分~40分頃の到着。
そうすれば、ダイグラ経由で下山したAkiちゃん、Noriちゃんの下山後にボクが到着するだろう。
そうすれば、下山前の彼女達の車を残し気掛かりな帰宅をせずに済む。

今にも降り出しそうな天気の中、皆さんに声を掛けて下山開始。
門内清水で水を汲んでリスタート。

何時もどおりに下ると、2時30分~40分頃に天狗平に降りるハズ。
時折、写真を取りながら快適に下山する。
雨には降られないものの風が強い。

おかしなもので、扇ノ地紙に来ると、パタッと風が止まる。
スタスタ降りて梶川峰。
暑いので、薄いフリース・合羽を脱いで半袖で下る。

滝見場下で、先行して下山したLOMさんをパス。写真を撮りながら下るので先にど~ぞ
と云うが、他の目的は見え見え・・・・・
ボクは先行させて頂き先に進む。

湯沢峰で給水して、まあ、14:40分前後と見込んで下る。
途中、新発田山岳会の坂井さんをパス。坂井さんは、丸森~梶川の周回日帰り単独とのこと。
トコトコ下って1枚岩の傾斜の緩いスラブを降りると登山口は近い。

予定通りの14:40下山
フラフラ歩いて駐車場に向かうと、Noriちゃんの車が出ていくのが見えた。
・・・・なるほど、ジャストだったなぁ。

車に着くと、彼女達の「お先に!」という書き置きがフロントガラスに挟まれていた。・・・・安心。安心。
全て思った通りで〆た。

7時頃に本山を出れば、ユックリ降りても、トラブルが無ければ14:00~14:30頃に下山すると見立てていた。
見立てとして思った通りだったので、ニコニコしながら靴を履き換え、梅花皮荘で風呂に入り、マタギの館の駐車場で
メールチェックして、メールを数通出して帰途についた。


追記
8日登りの際、最後の写真の場所で先行するパーティーの女性がやや苦労していた。この場所は年々悪くなっている場所の一つである。
さて、こう云う所は梯子等を設置すべきか?そういう要望もあろうかと思う。
登山は、本質的にはAt your own riskという考え方が基本であるが、どういうワケか日本では設置すると、管理と責任が生じてくるオカシナ
考え方をする人が少なくない。

さすがに、クライミングの娑婆では残置ハーケンの使用の是非、設置ボルトの安全性・責任論について議論になることはない。
残置されているモノについて使用するにあたっては起こりうる危険は使用者の判断によるもので、結果責任はクライマー自身が負うという
思想が徹底しているのであまり、問題にならないが、一般登山道ではどういうワケか問題提起をしてくる手合いは皆無ではないと聞く。

やや厳しいけれど、現状の姿のまま登るのが梶川尾根らしい様に思う次第。

以前の記録へ戻る


トップページへ戻る