北アルプス 白馬岳2,932.2M(主稜) 敗退

GPSLOG 主稜を望むが上部はガス AXL、名指しだよ 主稜への取付 白馬大雪渓
白馬尻、猿倉を振り返る 注意して下山 振り返る、未練道 杓子側も見えない 明星山をブラリと・・・・

日 時    平成210505日(火・祝)〜06日(水・振休)

参加者    AXL(小国山岳会)konchang(小国山岳会)・LTQ(私・下越山岳会)
行き先    北アルプス 白馬岳 主稜
天 候    5日 曇り後雨
       6日 ミゾレ〜小雪
気 温    記録なし
目 的    雪稜登攀
装 備    残雪期テント泊+雪稜登攀基本装備
登攀用具:ロープ・ハーネス・Wアックス・クラポン・シュリンゲ類・確保器・カラビナ類
防寒具:カッパで代用・泊場用でダウンジャケット

概略
以前から行きたいと考えていたルートの一つ。
3月の谷川岳のルートはボクの企画担当CL、そして、このルートはAXLの企画担当CLメンバーは同じ。
3月の谷川は天候に恵まれず、持ち越し。

5月のこの企画は、本来4月25日〜26日に企画したのだが、季節外れの寒気の流入が予想され延期として5日〜6日で実施した。

参考タイム
07:30 新発田発
10:45 糸魚川IC
11:35 猿倉着 
12:10 猿倉発(1,240m)
13:25 白馬尻(1,540m)
13:43 主稜取付(1,600m)    休憩・大雪渓の南側の尾根上で警察ヘリがホバーリング?
15:55 テン場決定(2,170m)   小雨が降りだす。
16:30 下山パーティー通過    この時間に?
16:40 テント設営完了
08:40 就寝              03:30起床・05:30テン場発登行開始予定とした。

03:35 起床              夜明け頃から雨はミゾレ〜湿った小雪に変わる
04:50 食事・下山決定
06:15 下山開始(2,170m)
07:03 取付着 (1,600m)     クランポン・アックスを片付ける・休憩
07:30 白馬尻
08:00 駐車場着(1,230m)
08:30 駐車場発 明星山南壁を攀じるクライマーを眺め糸魚川ICへ


記録

天気予報に振り回された。当初、GW中に晴れマークの連打でチョイ崩れが3日前後あとは晴れ〜
ところが、2日帰宅すると、朝良かった予報が大変身。参ったなぁ・・・
4日夜にAXLと打ち合わせ、当初、白馬尻で泊り、軽装でサクッと廻る予定だったが、天候に不安があるので、テントを担いで主稜を少し登り、テント泊で継続して登攀していく作戦に変更した。
猿倉のPが一杯でも困るので、下山者に合わせ少し遅めにでかけたが、着いて見るとガラガラ〜
あちゃ〜失敗だったなぁ・・・・

さて、記録
5月5日
07:20に待ち合わせ場所で落ち合い、ウチの事務所にAXLの車を置いで出発。お天気も上々で長野天気予報がウソの様だ。順調に進み糸魚川IC・・・・あたり前だけど、出口ゲートで本当に1,000円の表示・・・・一同「お〜」

南下するに従い、雲が多くなり予報も然りか・・・・と空を訝る。
白馬村のコンビニで買い物を追加して猿倉へ。
猿倉に着くと、人が居ない。少ない・・・・

2時間ほど早く出れば・・・・そんな思いも過ぎるが遅めで良いと言い出しっぺのボクはダンマリ・・・・内心しまったぁ〜と感じていた。猿倉を出る直前、先般、頼母木でお会いした『フィエスタの谷』のN氏から電話を頂く。昨日速攻でやっつけたとのこと。
なんだ、作戦がボク達とヒックリ返っちゃったなぁ・・・

準備をして猿倉を出る。ストックを忘れボクは少し遅れてのスタート。
白馬尻までの道中、主稜が見える。上部はガスの中。取付は判り難い感じだ。どこでも良いといえばその通りで傾斜と距離をどう考えるか?そんな感じだ。

取付で一休みしてアックス1本とストック1本を用意して登り始める。
なかなかの急登だ。Konchang、AXLが先行していく。足の遅いボクはノソノソと続く。
急斜面を2段ほど登り一休み。
ストックを片付けてアックス2本で登りだす。
少し薮の出ている短い急斜面を登る。雪の状態が悪ければ少し悪いかな?という場所を通過して高度を上げる。

暫く登ると、トレースの真ん中に『特大の大キジ』・・・・・イヤ何も、ここでしなくても・・・・
そんな、一歩もかわせない様な場所でもない。
イヤイヤ驚いた・・・・実家の猫でも砂掛けるでねぇ・・・・

大キジにたまげた後も慎重に歩を進めるが、時間は16時にほど近い。ガスも下がってきているようなので、もうワンピッチ行っても傾斜もキツイのでロープか?そんな感じなので、安定した場所でもあるし、ここで幕営とすることにした。
雨がバラバラあたりだした。観れば、テン場の跡もある。

ここで、事故発生。「おわっ!」という悲鳴にも似た叫び声!
振り返ると、Konchangが表情を歪めている。
何と、Konchangが黄金の秘宝『雲固』を踏み当てた。
またしても、トレースの真ん中・・・・・

ウンがついたようだが、このままではいかん。シャレにならん。
Konchang、ちゃんと落とせよ〜。
Konchang、シコシコと雪とブッシュで清拭作業に専念。
ソールを点検するその表情は真剣そのものであった。
運は掴むもので、雲固は踏んではいけない。まして、雲固は掴んではいけない。
しかし、声を大に言おう、Konchangに過失はない。
トレース上にブービートラップの様な『雲固』を残置する方が悪い。

テントが跡地に対し大きいので少し掘り進めて整地。テントを張っていると、何だか上から人の声がする。
どうも、下山の様だ。ガスの中から2名がコンテで下山してきた。時間は16:30位だったか?
彼らの引きずるロープが気になり、『大キジに気を付けてね〜 』と声をかけると、『下にデカイ奴がありましたね』と返答が来た。
ソウじゃなくて、今、君のその足元がアブねぇんだよ〜・・・・
ボクは彼らのクランポンと引きずっているロープが心配だった。

この、『雲固』の排出責任者も本当に、直ぐ脇に薮があるのだからチョイと何とかできなかったのか?
『雲固』の置いていき様はまるで、歩いていていきなり、パンツ下ろしてブッ放した感じだ。
ホンの少しだけ気を使った方がよろしいのでは?

そんな悲劇的な事故があったものの約40分で設営し荷物を中に引きずり込んで、特製スパイスが混入しては大変なので慎重に水作り用の雪をチョイス。水を作りながら乾杯。

適当にツマミ類を出しながら飲む。天気予報も芳しくないが大降りでもなさそう。
Konchangは早めの寝込みモード。
翌朝、03:30分起床で05:30分出発の予定と衆議一致。AXLとボクはボチボチ飲んで、飯食って就寝。
Konchangはそのまま寝込む。
用を足しに外に出ると、白馬村の街明かりが望めた。

飲んでいる間も断続的にテントを叩く雨音が気になった。ただ、風が当たらないのは幸い。
今晩は、ボクは寝つきも悪いし転寝程度で直ぐに眼が醒める。



5月6日
03:35起床。何だかテントにあたる音がカサカサする。
Konchangが外から戻ると、雪降りだ。白っぽい。雨じゃね〜。
とりあえずは、飯の準備。飯を食うとまたKonchangが眠そう。
一番寝たと思うのだが・・・・若いってことか?

飯の後、行動を皆で検討する。
AXLは行きたそうだが、登る場合、この後約800m位標高を上げること。天気予報も同じ様な天気が続くこと。少し濡れに対して軽装であること、換えグローブのインナーが薄手である。稜線上のエスケープルートが上に無い。等諸条件を考えて降りることにした。

濡れで重くなったテント類を背負い下山。
取り付まで戻り、クランポン・アックスを片付けて駐車場を目指す。
途中、昨日からあるテントに4名の姿があった。

駐車場で荷物を車に入れて、帰途へ。
風呂に入ろうにも、まだ時間が早い・・・・・
ついでに、明星山南壁を眺めて帰ることにした。2P、5名のクライマーが肌寒い風の吹く中、時折雨の当たる石灰岩に挑んでいた。

糸魚川ICから混雑するサービスでうんざりしながら新発田着。
ついでなので、近いうちに岩トレを一緒にしようということで、小国組を杉滝岩に案内する。

事務所に戻り荷物を別けて解散。

春の課題を2本そのまま残してしまった。
また、来年。再見となった。


移動距離 片道約250KM

反省点

計  画 
天候に不安のある今回の計画そのものは、問題ないと思う。ただ、軽装で速攻が基本と思う。そうでなければ5峰上までは初日に行きたい。この点はボクのタイムスケジュールの提案の誤り。

装  備
個人的には、中間着、換えグローブが軽装気味。少々継続には辛い感じだった。

実施面
テントを持つなら、朝9時頃には猿倉を出たい。ただ、エスケープルートが無いので、上部で荒天に捉まれば沈殿。基本的には、安定した天気の時に最低限の荷物で行動したい。

その他
3人で5個のライターを持参していたが、AXLの1個がやっと。他はまるでダメ。2,200m弱の高度なのでそれほど問題が起きるとは思えないのだが・・・・いずれにしても使えない。こうなると、泊りの場合は防水使用のマッチとか、ジッポライター等の携行を考える必要があると思う。




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