石転ビ沢 春山合同技術訓練
GPS LOG | 集合場所でミーティング | ニリンソウとトリカブトの見分け方 | 門内岳方向 | 上部を見上げる | 石転ビ沢を振り返る |
稜線まであと少し | 座学 | 鞍部に建つ梅花皮小屋 | 北股岳山頂にて | 早朝の梶川尾根 | 梅花皮岳から続く主稜 |
合羽による簡易ハーネス | 背負ってみる | 搬送訓練 | ここは落石の高速道路 | 巨大な倒木 | 朝の主稜線 |
日時 平成17年5月28日〜29日
参加者 山形県山岳協・小国山岳会・公募計35名
行き先 石転ビ雪渓(北股岳)
天 候 28日快晴 29日晴れ
気 温 28日10.9度〜22.9度 29日9.0度〜25.7度(山形県小国町)
目 的 春山登山技術研修
装 備 春山1泊小屋泊
登はん用具 ピッケル アイゼン Wストック
通信用具 アマチュア無線機
ナビ用品 GPS 地図 コンパス
防寒具 フリース
その他 通常装備
飲み物 ポカリスエット500ml×1・水500ml×2 途中2箇所で給水
食料品 28日昼カップめん、お握り3個+1個 夕食共同
29日朝共同、行動食としてハイカロリーゼリー3個、ミニアンパン5個
嗜好品 ウイスキー・ツマミ類
残 量 残なし(緊急食を除く)
コースタイム 事柄 備考
5月28日
06時30分 自宅発
07時45分 梅花皮山荘着 道中コンビニで食料品を調達
08時15分 集合点呼・集金・装備分配・挨拶など
08時35分 大淵出発
09時00分 温身平着・車で温身平まで入れてくれた。(450m)
09時10分 温身平発
09時57分 うまい水着・小休止 ニリンソウとトリカブトの見分け方の講習(590m)
10時15分 うまい水発
10時25分 ババマクレ通過 足場悪い
10時40分 地竹原で雪渓に乗る(630m)
10時52分 梶川ノ出合(690m)
11時20分 石転ビノ出合着 大休止・食事(870m)
11時57分 石転ビノ出合い発
12時54分 ホン石転ビノ出合着・アイゼン着用(1,250m)
13時15分 ホン石転ビノ出合発
13時57分 北股ノ出合の休憩ポイント着(1,540m)
14時10分 北股ノ出合の休憩ポイント発
15時15分 梅花皮小屋着(1,850m)
16時00分 座学
20時30分 就寝
5月29日
04時00分 起床
05時00分 北股岳山頂(2,024.9m)
05時40分 朝食準備
06時00分 朝食
07時00分 デモンストレーション+訓練
10時00分 訓練終了
10時30分 集合・合羽搬送準備
11時28分 合羽搬送で下山開始
12時40分 石転ビノ出合い着(870m)
13時50分 石転ビノ出合い発
14時15分 地竹原、夏道に上がる(630m)
14時35分 うまい水着(590m)
14時50分 うまい水発
15時25分 砂防ダム 小田さんの事故現場に向かい手を合わせる。(500m)
15時40分 温身平着
16時00分 大淵駐車場着 貸与装備の返却・解散 梅花皮山荘で入浴
16時50分 梅花皮山荘発
18時00分 自宅着
移動データ
標高 スタート場所 温平 450m
到達地点 北股岳 山頂 2,024.9m
標高差 1,616.9m
TP距離 総移動距離(GPSデータ)13.5km
時間 移動時間(GPSデータ) 4:56
移動平均速 2.7km/h
概要
山形県山岳連盟の指導委員会と遭難対策委員会が主催し、飯豊朝日山岳遭難対策委員会(事務局:小国町役場町民課)と飯豊朝日を愛する会の後援により実施した、春山合同技術訓練は、一般の参加もインターネットで募集していたので申し込んだところ、受入れて頂いた。連休中の燕岳山行以来、咳だけが止まらない変な風邪が長引き、トレーニング、訓練登山が出来ず体力面でやや不安があった。左膝の不調は大丈夫か?など不安がよぎる。
5月28日
6時30分に自宅を出て、コンビニにより今日のお握りと明日の行動食とするミニアンパンを購入。7時45分に大淵に着くが、そのまま梅花皮荘へ行きWCを借りる。8時15分集合時間になり点呼・装備品の貸与・振分けなどおこない、本来通行止めの林道を車で進み天狗平ロッジ・飯豊山荘を通過し、湯沢ゲートも開放されており、そのまま温身平まで車で進めた。点呼・準備体操で身体をほぐして、「とりあえず、うまい水まで。」の声で出発。直ぐに、長い列となるが、やがて2つのグループになり、私は先のグループの後ろに位置した。最後の登りまで、それ程ガツガツ行く必要はないからと考える。程なく、砂防ダム。小田さんの事故現場対岸。手を合わせ祈る。この先何回この場所を通るか判らないが、多分毎回こうして対岸に向かい祈りを続けると思う。少し進むと巨大な倒木が登山道を塞いでいる。昨年の台風で倒れたものらしいが、自然保護団体が環境省に圧力をかけ、自然のままにしておくように。となったらしい。では、その結果はどうなるだろうか?結局、登山者は迂回しこれまで人が踏まなかった場所が踏まれる訳で、むしろ悪い方へ作用する。霞ヶ関の机上で考える役人と無責任な自然保護団体のコラボレーションで責任不在の放置行政の出来上がり。9時57分「うまい水」着。ここで、ニリンソウと猛毒であるトリカブトの見分け方の講習。私には、若い草はその区別がつかない。茎の途中で葉が分かれているのがトリカブトで、地面の生え際から葉が分かれているのがニリンソウとのこと。講師を務めるMDEさんは、さかんに女性参加者へWCの回数を抑えるために、水分の補給がおろそかにならないように、注意をうながし、WCへ行けるときに行っておくべき。と注意していた。「うまい水」から10分ほどで「婆マクレ」ここは、斜面が雪崩れた後、自然に登山者の踏跡により夏道が形成される場所だが、滑落すると本流まで落ちる場所もあり雨降り、雨上がりは、かなり慎重な通過が求められる。10時40分地竹原で、雪渓に乗る。「滝沢ノ出合」「梶川ノ出合」をS字状に登行する。雪渓の状態は非常に安定しており特に窪んだ箇所は見かけない。上部からのブロックだけ用心すればルートファイディングに神経を使う必要はない。11時20分〜11時52分「石転ビの出合い」で大休止。カップ麺とお握りで嬉しい塩分の大量補給。誰かが脚を攣らせた様子で遅れている。LFDさんがついていて、大量の独活を取りECBさんのザックに乗せていた。重いだろうに・・・・。石転ビノ出合を過ぎると徐々に斜面が急になる。12時54分「ホン石転ビ沢出合い」の対岸よりやや上部の左岸で休憩、ここでアイゼンを着用する。13時15分休憩地発。上部からの落石に気を付けつつ、登る。13時57分「北股沢出合の休憩ポイント」に到着。AXLさんにHZUさんがそのまま上がり、大人数のなで、水洗トイレも使えるように水を貯める様に指示していた。私は、MDEさんの少し後から進んだ。トップのMDEさんは直ぐ後ろの方の調子に合わせつつ、ゆっくり・ゆっくり登る。少し焦れる位のペースである。下を見下ろすと、みんな苦しそうである。私は割合、楽である。前半ペースを押さえた事が幸いしているのか。と思う。15時15分梅花皮小屋に到着。2階へ上がる様に指示されたので、2階へ上がると、桃パパさんが掃除をしていた。彼は北股沢の休憩ポイントで休まずAXLさんに続いて登っていったのだった。桃パパさんの手伝いをしながら、ザックの中から今晩必要なものをだした。16時頃から、夕食の調理時間を使い、講師のMDEさんが「リーダーの選び方」「靴の正しい履き方」「アイゼン登行」の常識が非常識であること。一般で云われる教科書的な技術常識が現場では非常に危険であることが紹介された。「スタカット」「コンティニュアス」ともパートナーとの意思の疎通が大切と講義された。その後、参加者で酒を酌み交わし、賑やかな宴会が続いた。階下に他のパーティーもいたが、HZUさんが声をかけに行き、梅花皮小屋丸ごとの宴会である。19:30分終了、20時就寝の声がAXLさんからかかり、2次会は管理棟ですること。となった。私は、20時前には寝ていたが、暑くて、時々目を覚ました。
5月29日
薄っすらと明るくなった4時起床。もそもそしていると、桃パパさんが、起きだし、アイゼンとピッケルを持ち抜け出して行くのが判った。自分も朝の写真を撮りに、合羽を着て外に出るが、思ったより暖かい。北股へ登るガレた登山道を登る桃パパさんの後を追い外を歩きだす。今日も天気は良さそうだ。途中で女性二人がシェラフにくるまり朝日を眺めている方がいて、会釈をして通過する。一階に居た方だろうか?アイゼンを付けて途中から雪の上を歩く。結構な急登だが距離は短い。少し汗ばんだところで北股岳山頂だ。桃パパさんと写真を撮り合い、新発田のアホな看板を眺めてため息を一つ。気を取り直して小屋へ降りると、朝食の準備を始めるところだった。アルファ米が蒸れる間に、ザックの整理をしておく。7時訓練開始と連絡があり食事後外へでる。
先ず、MDE講師とパートナー講師による「コンティニュアス」「スタカット」のデモンストレーション。コンティニュアスで滑落を止めることが出来るのは、4〜5メートルであり、それ以上ロープを出す事は滑落のスピードがついて止められない。それ以上長くなる場合は、スノーバーなどを使いスタカットに切り替える。エイト環は、ロープがドンドンでてしまい止まらないので、ATCを使うべき。など説明があるが、独り歩きばかりしている私にとって何のことやら意味不明である。その後、急斜面を歩いて上級と初級に振分ける。私は当然、初級に振分けられたが、私としては、滑落停止の方が重要な練習であったので、レベルに沿った訓練である。初級訓練終盤、クレバスを飛び越える練習をしたがクレバスを飛び越えるまえに、Tさんが急斜面を斜行している時に滑落し、滑落停止する前に、クレバスに落ちた。クレバスから急な斜面を滑り落ち、花崗岩の平らな部分に仰向けになり停止した。初級担当のHZUさんがクレバスを覗き込み、「生きてるか〜」の問いに、「生きてま〜す」の声、上級班に向かい、「ロープ」の声。だが、大丈夫のようで、HZUさんが降りていき無事にでてきた。訓練は続き、最後Tさんのリベンジで幕を閉じた。Tさんのガッツには驚いた。小休止の後、合羽を使い簡易レスキューハーネスを作り、搬送訓練が行われた。女性が大変下山に苦しんでいたので、サポートし下山を手伝う。最上部と北股沢の中間付近でAXLさんが、やってみますか?と声をかけてくれたので、「ハイッ!」と返事をして背負ってみた。背負ってみると思いのほか、バランスが大変だ。スキーは、まず、ブーツが堅牢で、スキー自体に長さがあるので、人を背負っても安定感という面ではスキーの方が格段に楽である。ロープワンピッチとても緊張した。怪我人役のKさんも怖かったのではないだろうか?自信のない行動というのは、直ぐに伝わるものだ。QVHさんから踵加重過ぎるのでもう少し、膝を柔軟に使い振動を抑える様に指導を受ける。交代地点で交代してもらい上部からの落石に警戒する。幸い、朝8時過ぎに見たような巨大な落石は見かけなかったが怖い。少し斜面が緩んだところで、目の前で誰かが転んだ。瞬間、アイゼンを履いている事を忘れ走ってしまい、案の定クラポンの爪を引っ掛け前のめりに転倒。QVHさんに走らない様に注意される。やはり、アイゼンを履いている時は、絶対に走らない事という基本を忘れた私の行動が、転倒をおこした。転倒後は直ぐに滑落停止した。北股沢休憩ポイントへ降りると喉がカラカラになっていた。12時40分石転ビの出合いで大休止13時50分石転ビの出合い出発。地竹原から夏道へ上がる14時15分。婆マクレを慎重に通過し14時35分うまい水で給水。ここで、新発田の阿部さん夫婦と出会う。以外な場所での出合いに双方驚いた。砂防ダム・小田さんの事故現場対岸に着いて手を合わせる。温身平に到着。最後にHZUさんが到着し点呼を採り、講習が無事に終了した事をHZUさんが述べたあと、QVHさんからもう少し辛口の感想が述べられた。駐車場に戻り、装備品を返却し、お礼を述べて、梅花皮山荘へ行き風呂に行くと阿部さんが居た。どうやら、大渕までの林道でピックアップしてもらっらようだ。関川村の道の駅により、コンビニでビールを買い、18時自宅着。楽しくもあり、無知を恥じたりと有意義な2日間だった。そして、何より多くの人と知り合えたのも嬉しかった。また皆さんと、どこかのヤマで会えたらと感じた。
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