環境シンポ全国大会で発表

 10月20日(金)朱鷺メッセ国際会議室を会場に開催された『第2回 きれいな水と美しい緑を取り戻す全国大会』において、当会が大会会長賞を受賞しました。
 会場いっぱいに集まった300名の観衆を前に、最優秀賞(環境大臣表彰)を受賞した鴨川を美しくする会の杉江貞昭さんに続き、優秀賞(大会会長賞)を受賞した3団体のひとつとして、若月理事長が当会の活動紹介を行いました。
 今回それぞれの表彰を受けて事例発表を行った団体は、どれも長い間途切れることなく活動を続けています。大臣表彰を受けた「鴨川を美しくする会」は39年に発足し、40年以上の活動実績を持ち、優秀賞を受賞した「穴田川をきれいにする会」の神澤氏も30年を優に超える実績があります。
 もうひとつ優秀賞を受賞した出雲市立鰐淵小学校猪目分校(島根県・全校児童数3名)が行っているカジカガエルの研究と保全活動も、昭和62年に始まっていますので、活動実績としては20年を経過することになります。

 当会も、この11月で丸10年を迎えますが、やっと地域の中でお互いに助け合える仲間(地域内外で活動する各種団体の他、地域振興局や土地改良区など)ができつつあり、具体的な活動が始まった、という状況ではないでしょうか。
 しかしながら、この新発田広域地域においては、今もなお当会における一番大きな活動課題として啓発・啓蒙活動に取り組まざるを得ない状況にあり、かつ、実戦部隊としても先陣を切って走り続けているのが実状ではないかと感じています。
 当会では、「未来の子ども達へこの美しく豊かな自然環境を引き継いでいこう」という大きな活動目標を掲げています。私たちは、自分たちが体験をとおして感じたふるさとへの郷愁をこれからの若者達や子や孫にも感じてもらえるよう、これからも『自分たちにできることから始めよう』という、この姿勢を忘れず、活動を続けていけたらと思います。

【基調講演】タイトル:日本の水をきれいにするとはどういうことか
      講師:小林光((財)自然環境研究センター副理事長)
  「きれいな水」をイメージする際、私たち日本人は、水そのものの色や臭いではなく、水をとりまく環境、とりわけ唱歌「春の小川」や「ふるさと」に代表されるような風景やそこに付随する動植物、子どもの頃に培った体験を基にした郷愁などから、水のきれいさを感じるのではないでしょうか。
 「きれいな水を取り戻す」とは、きれいな水と人びとの関係を取り戻すことにほかならないのです。
 さて、全国各地できれいな川を取り戻す取り組みが数多く実践されていますが、それらは、動植物を取り戻し、人の手で限りなく自然に近い形へ改修するケースが殆どです。
 また、生き物への配慮、とりわけ「川」においては生き物の活動(鮭や鱒の遡上など)を妨げないための工夫や生き物の生活環境の確保に重点が置かれています。
 そんな中、全国各地で整備されている『魚道(魚が遡上するためのどおり道)』の多くは人の生活と照らし合わせて検討された形状が多く『魚にとっての利用しやすさ』への配慮が欠けているものも多く見受けられます。

 例えば、北海道で整備されているこの螺旋状の魚道(写真参照)は、魚の修正を無視した構造のため、魚が行う通常の活動において、この魚道に気付くこともできません。
 魚道は、魚をはじめ、それを利用する生き物の習性にあわせて整備されなくてはならないのです。
 さて、人びとの暮らしを見るとき、自然環境を守るということは、私たちの暮らしそのものを守ることに他なりません。私たちは、私たち自身がこれからも変わらず豊かな生活を送っていくために、何ができるのか考えていくことが大切なのです。
 先に活動を発表された方々のように、地域で活動される皆様の活躍に期待いたします。

『第2回 きれいな水と美しい緑を取り戻す全国大会』を写真で見る→→→
06_10_22_掲載_Y.E