1.駆除までの経緯
年月日 |
内容 |
2005年11月11日 |
水土里ネット豊浦郷、八桜会等5団体で現地視察実施 |
2005年11月15日 |
当試験場、生物多様性ネットワーク新潟、加治川ネット21で事前調査を行い、オオクチバス41尾及びコクチバス5尾を採捕 |
2005年12月1日
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水土里ネット豊浦郷、八桜会等5団体で堤の「水抜き」にあたり、ブラックバス類の流出防止を図るため、ため池内水門周辺に流出防止ネットを、排水溝末端に梁(その外側を流出防止ネットで養生)を設置し、水抜き開始。 |
2005年12月4日 |
ほぼ水抜き完了し当試験場、生物多様性ネットワーク新潟、加治川ネット21及び県水産課と駆除実施 |
2.駆除の結果
当日10時頃には堤はほぼ完全に水が抜かれ、地曳網、弓網等で取り残された在来種(魚
類、昆虫等)の救出とブラックバス類の駆除を行った。
救出また駆除した生物 |
摘 要 |
【在来種】 ゲンゴロウブナ及びマブナ等フナ類 |
全長20〜25pの大型のもの約300尾(推定90kg、1尾300g換算)は上流の堤又は小烏川へ放流 |
ドジョウ |
数は不明。上流の堤へ移植。大部分は泥の中に潜った模様。 |
トウヨシノボリ |
数は不明。上流の堤へ移植。 |
トンボ(幼虫)等 |
トンボはオオヤマトンボ等。数は不明。上流の堤へ移植。 |
ドブガイ |
数、重量は不明。上流の堤へ移植 |
外来種 オオクチバス |
644尾(うち2尾は梁で捕獲)、31.7s(体長7〜37p)→調査用として131尾内水試(※)へ、残りは埋設処分。 |
コクチバス |
19尾(うち2尾梁で捕獲)は、8.8s(体長22〜38p)→調査用として18尾内水試(※)へ、残りは埋設処分。 |
ウシガエル |
1匹 |
アメリカザリガニ |
多数 |
※ 生体での持ち出しは行わず、また、内水試で魚体測定後は廃棄処分した。
(1)尾数
尾数ではオオクチバス、フナ類、コクチバスの順に多かった。 (ドジョウ、トウヨシノボリもみられたが尾数の確認がとれなかったので除いた。)
※円グラフ中の数字は「尾数(単位:尾)、割合(単位:%)」を示す。
(2)重量
重量では、フナ類、オオクチバス、コクチバスの順に多かった。
(ドジョウ、トウヨシノボリもみられたが尾数の確認がとれなかったので除いた。各々数s程度?)
※円グラフ中の数字は「重量(単位:s)、割合(単位:%)」を示す。
(3)体長組成
オオクチバス:体長10p前後の小型魚616尾(96%) 、体長22〜28pの成魚28尾(4%) 、体長
20p前後のものがみられない。小型魚は当歳魚及び1年魚とみられ、少なくとも2回繁殖に成功したものと考えられる。(前回の水抜きは2003年、その後に成魚違法放流?)
・コクチバス:体長22~38pの成魚のみで小型魚はみられなかった。前回の水抜き後に放流されたものと考えられる。繁殖したかどうかは不明。
・フナ類:全長20〜25pがほとんどでこれらに由来する小型魚は数尾程度であった。ウナギを除くとブラックバス類の体長の1/2未満の大きさの魚が捕食されるとされており、今回駆除したブラックバス類は体長22〜38pと体長10p前後のものからなっていたので、フナ類を考えた場合概ね体長20p未満のサイズが捕食の対象となることが考えられ、確認できたフナの大きさを裏打ちするものといえる。(情報として、6月頃メダカのような小魚がたくさんみられたが、その後まったく見えなくなった。稚魚が捕食されたのか?)
(4)胃内容物
オオクチバス(小型魚、成魚併せて)86尾、コクチバス18尾の胃内容物を調べた。主なものはアメリカザリガニ(稚ガニ)でその他ヤゴがみられた。魚類ではオオクチバス(?)、ドジョウであった。冬場の餌の乏しい時期でもあり、比較的限られたものが捕食されていた。
胃内容物について視野面積で第1位のものを着目した場合の捕食率は次のようになった。
※ 円グラフ中の数字は「尾数、捕食率(※2)」を示す。
※2 捕食率=(ある種の餌を摂餌している尾数/調査尾数)×100
3 その他
事前調査及び今回の駆除でよってわかったことを記す。
・流下防止ネット、梁は外部流出防止に効果があった。ただし、梁は随時ごみ取りが必要。
・ため池の水抜きによるブラックバス類を対象にした駆除は、今回のように小型魚がある程度 の大きさに成長し、なおかつ、水温低下により動きが活発でない時期が相応しいように考えら れた。(駆除する側はつらい部分もあるが)
・11月15日に事前調査でさし網12反を設置したが、オオクチバスは捕獲なし(0尾)であった。水 温11.8℃ということもあり動かなかった?低水温で魚が動かないときのさし網は駆除にむかな いものと考えられる。
・一方、コクチバスは事前調査のさし網で4尾、釣りで1尾捕獲されている。オオクチバスに比べ て冷水性ということもあり水温11.8℃でも動くことは動くようだ。また、今回の駆除で19尾捕獲さ れており、11月15日から12月4日までの間にまったくコクチバスの死亡、繁殖その他出入りが ないものとすると11月15日時点で24尾生息していることになり、事前調査時点での大宮沢堤 におけるさし網での漁獲率は約17%(さし網による漁獲4尾÷資源尾数24尾)、釣りでは約4% (釣りによる漁獲1尾÷資源尾数24尾)と考えられた。
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