久保地区イバラトミヨ生息調査

 11月14日(日)、新発田市久保地区(旧豊浦町)でイバラトミヨの生息実態調査が行われました。今回の調査は、『新潟県下越地域の湧水地の生物現状調査』の一端を担っており、五泉トゲソを守る会の樋口さんと須藤さんも助っ人に加わって、総勢7名での調査となりました。

 第1・第2調査地点 天辻川本流
 天辻川の久保橋から約20m下流に落差工があり、その上下流2地点で最初の調査が行われました。天辻川本流は、川幅が4m程と広く、流速も早いことから調査予定地ではなかったのですが、水中に生い茂るバイカモに誘われて網を入れたところ、ホトケドジョウが捕獲され、急遽調査に踏み切ったものです。
天辻川本流、水量も多く魚種も豊富だ バイカモ群落が沢山あった 生物確認、地域の人も見に来た
 上流側ではホトケドジョウ、ドジョウ、ウグイが捕獲され、下流側ではイバラトミヨも確認することが出来ました。あんなに速い流れの中にイバラトミヨがいたなんて驚きです。きっと、水中に生い茂る水草のおかげですね。

 第3調査地点 久保集落内の小水路
 天辻川本流(第1調査地点)のすぐ脇を流れている田んぼ脇の小水路で、当初から調査を予定していた場所です。江浚いが終わり水草は殆どありませんでしたが、落葉の下や水路の底に隠れているイバラトミヨを多数捕獲することが出来ました。
 まだまだイバラトミヨが棲める環境が残されているんだと「ほっ」としました。



 第4調査地点 久保集落東端の小水路
 この水路の水源は湧水です。地域の方の話では、夏でも水が枯れることはないそうです。この水路も江浚い後だったので、比較的水草が多く残っている場所で調査を行いました。竹藪側から被さる植物が隠れ場所になっていたようで、とてもたくさんのイバラトミヨが捕まりました。きっと水草がなくなった下流から、みんなで避難してきたのでしょうね。
 水草がない現状では断言出来ませんが、捕獲数から「ここが一番の生息地かもしれない」とのことでした。来春、新発田でイバラトミヨの営巣が確認できるかもしれませんね。

 第5調査地点 小水路の水源地
 前地点の調査後、水路の源流を見ようとみんなで水路を遡ったところ、水路底面の所々で水が湧いているのを確認することが出来ました。また、最上流部では水路がなくなり、湧き出した水が寄って水路になる様子も見ることが出来ました。こんな風に少しずつ集まった水が、大きな流れになっていくのでしょうね。
 水源地付近で網を入れたところイバラトミヨも捕まり、「イバラトミヨの新たな生息地の発見」と「湧水の確認」という2つの大きな成果をもって調査を終了しました。

 今回の調査をとおして、加治川流域でのイバラトミヨの生息に大きな希望を持つことが出来ました。今後は六日町地区と久保地区、太斎地区のイバラトミヨの生息状況の把握に努めるとともに他地域へ調査範囲を拡大していく必要があると思われます。
 イバラトミヨが生息している環境は素晴らしく、この環境を守っている地域の方々には素敵な人が多いですよ。次回の調査には、みなさんも参加してみませんか?

04/11/15掲載