トゲウオがつなぐ北陸の地域連携
北陸交流会『報告』

 この事業は、「トゲウオの生息地は、豊かな自然が残り、地域の資源が豊富に存在する場所」という観点から、トゲウオをテーマとして活動する団体が連携することの必要性や可能性を探るため、10月31日、福井県大野市を会場に開催されました。
 1日目の交流
大型バスにてGO!! 他己紹介です。
 朝8時半に新潟ふるさと村に集合した一行(加治川ネット21、五泉トゲソを守る会、中条イバラトミヨ・水芭蕉の会、阿賀川・川の達人の会、五泉市立川東小学校の児童)30名は、他己紹介(似顔絵付きの他人紹介)ゲームなどに興じながら賑やかに石川県美川町へと向かいました。
はりんこ塾の取組の説明 トミヨ増殖池の見学
 石川県美川町はトミヨ生息地の南限で、平成15年にトミヨが美川町の天然記念物に指定され、平成16年にはその生息地域が県の天然記念物に指定されたそうです。前はりんこ塾長・中正さんと赤井さんから『はりんこ塾』の活動が紹介されたあと、お二人の案内で、自噴する湧水を横目に見ながら、トミヨの生息地『安産川(やすまるがわ)』と平成11年に完成した『トミヨ増殖池』へ向かいました。
各家の前には清水がわき出ている 安産川の川底には水草が沢山繁茂
 安産川には生活排水などが流入し、雨のせいもあって当日は少し濁っていましたが、バイカモがびっしりと生い茂った増殖池には、コンコンと透明な水が湧き出していました。 残念ながら、トミヨ増殖池でトミヨの姿を見ることは出来ませんでしたが、その透明で豊富な湧き水からトミヨの存在を感じとることが出来ました。
懇親会は楽しく、愉快に!! 中越地震の義援金のお願い
 宿泊先である『扇屋』を会場に、全7団体(加治川ネット21、五泉トゲソを守る会、中条イバラトミヨ・水芭蕉の会、阿賀川・川の達人の会、五泉市立川東小学校の児童、大野イトヨの会、美川自然人クラブ)が参加してのおいしい晩餐会で締めくくられました。
 加治川ネットから「10/23新潟県中越地震」義援金の申し出に対して会場の連携団体からあたたかいカンパが約2万円くらい寄せられました。ありがとうございました。 

 2日目の交流

発表会模様
 心配されたお天気も持ち直し、清々しい秋晴れの中で交流会の本番を迎えました。
 大野イトヨの会の杉本敏憲会長と五泉トゲソを守る会の高橋荘三会長の挨拶が行われた後、森誠一『イトヨの里館長』へ五泉市教育長からの親書が『子供トゲウオ大使』の五泉市川東小学校4年生児童から手渡され、引き続き参加団体から活動状況や問題点、今後の課題などが発表されました。
 休憩を挟んで子供トゲウオ大使の交流が行われ、五泉市川東小学校児童は総合学習の成果やトゲソの保護活動への意気込みを込めたチューリップの替え歌などを発表しました。
 また、北陸地域連携に向けた可能性討論では、「活動の主体を市民団体が担うことの重要性」が謳われたものの、「地域環境の保全はスケールが大きく市民団体のみでは限界があり、行政の支援も必要である」との意見も多く出されました。
 また、大きな地域連携とともにそれぞれの地域で仲間を増やす活動も大切であり、活動を次の世代へどう紡いでいくのかという課題においては、「子供たちに対する環境教育がその鍵を握っている。しかし、現時点では学校同士での交流は難しく、行政が支えていく必要がある。」といった討論もありました。
▲「大野イトヨの会」杉本会長挨拶 ▲「五泉トゲソを守る会」高橋会長挨拶 ▲『子供トゲウオ大使』親書を渡す
▲五泉トゲソを守る会の発表 ▲加治川ネット21の発表 ▲中条イバラトミヨ・水芭蕉の会の発表
▲阿賀川・川の達人の会の発表 ▲石川・はりんこ塾の発表 ▲大野イトヨの会の発表
▲五泉市立川東小学校児童による発表 ▲パネルディスカッションで取組発表 ▲会場入口でのポスター展
 これらの討論を受けて、コーディネーターの樋口さん(五泉トゲソを守る会:世話人)から「森の成長(100年)に比べて、子供たちの成長(10〜15年)は早い。子供たちの教育が未来へと繋がっていくのではないか」とのコメントもありました。
森館長による総括発表
 最後は森館長が、「日本は“山国”であり、山国は“川国”と同意です。そして、川国である日本は淡水生物の宝庫でもあります。トゲウオなどが生息する環境の豊かさを根拠としたこの素晴らしい評価を次の世代へと引き継いでいくことが、とても大切です。」「子供たちへの環境教育は、生き物をとおしてふるさとの価値観を高める“ふるさと学習”であり、郷土力の育成にもつながっています。」「連携とは継続してこそ意味があるのではないでしょうか。これからも随時情報を交換しながら、活動を展開していきましょう。」などと総括し、閉会となりました。
 
 これからの展望
2日間に渡り活発な意見交換ご苦労様でした
 今回の交流をとおして、北陸地域の環境活動による交流、子供達の学習をとおした交流はますます盛んになることと思います。でも新発田市においては、イバラトミヨの生息域の把握と地元地域のへの啓発活動が当面の大きな課題ではないでしょうか。五泉や中条の仲間たちに支えられながら、少しずつ、活動の輪を広げていきましょう。
 また、トゲウオの生息地は新潟県以北(山形・秋田・北海道)にも大きく広がっています。いつか、もっと大きな交流へと発展するかもしれません。その時まで、イバラトミヨの棲むこの豊かな水辺環境を残していけるよう活動を続けてきたいと思います。

「トゲウオがつなぐ北陸の地域連携」新聞報道関係

04/11/ 8掲載