『トゲソの観察会&シンポジウム』開かれる

五泉のトゲソは、田んぼの小川に生息しています
 4月29日、五泉市でトゲソの観察会がありました。主催したのは「五泉トゲソを守る会」が『川の散策・蕎麦打ちとトゲソの観察会アンドシンポジウム』」と銘打って開催したイベントでしたが、加治川ネット21は「イバラトミヨ水芭蕉の会」とともに協賛団体として参加しました。若月学理事長をはじめ篠田令子副理事長、藤田利昭理事らをはじめ計5人が代表として出席し、トゲソの現況調査と他団体との交流を深めました。
 今年のゴールデンウイークの開始日、参加人数が危ぶまれましたが好天に恵まれ、会場となった五泉市土堀の水路周辺には多くの家族連れが早くから三々五々に約70人が集合。午前10時から観察会が始まりました。これに先立って、「五泉トゲソを守る会」の高橋荘三会長は「この会が発足して8年目、観察会も8回目を迎えました。しかし、トゲソは減少傾向にあります。一人でも多くの人に現実を知っていただきたい」と参加者に呼びかけました。
アオミドロがへばり付く水路、工場の廃液はなぜが透明?
 観察会は、AとBの2コースに分かれて行われ、加治川ネット21は河川散策を交えたBコース。善願→中郷屋→大蔵川分岐を調査し、途中、川の水質汚染に影響を与えているとされる工場近辺に立ち寄りました。参加者のなかから「川の水は見た目にはきれいに映っていますが、実際はどうか心配。川底をすくえばヘドロ状です。生態系に影響がない、とはいえない」と厳しく指摘。また、ある参加者は「地方にとって工場誘致は、雇用面で効果的。しかし、万全な環境対策を講じていただかないと」と手厳しい発言。その後、川東小学校のビオトープを見学しました。校内に設けられた小さな池には、いた、いた、トゲソ君達が生きていました。この確認に、参加者の中から時ならぬ大きな歓声と拍手がありました。
 午後からは会場を九区公民館に移し、昼食と発表会が開かれました。お目当ての蕎麦は、会員のみなさんの手づくりのものです。太かったり、細かったりの蕎麦をおいしくいただきました。感謝・感激!
「トゲソの総合学習」発表 秋田での保全事例を報告
発表会では、地元の川東小学校の児童による「トゲソの総合学習」があり、研究成果が大人達を唸らせました。いわく「トゲソは私たちの環境レベルを知らせるバロメータです」と。このあと、秋田県から視察にやってこられた農学博士の神宮字寛先生(秋田県立大学短期大学部農業工学科)から、秋田におけるトゲソを守る取組みなどについて講話がありました。シンポジウムは、地元のみなさんがパネリストを務めました。整備と生態系がテーマ。ある傍聴者は「人間は整備・開発に急ぎすぎた。既存の生態系を外に置いてしまい、経済効果ばかり気にしてきた。結果、このありさまです。トゲソは狂い始めている環境、私たちに警告している」との声が印象的でした。
                   

トゲソ
 トゲソの正式名称は「イバラトミヨ」といいます。
 トゲウオ科のトミヨ属に属するのでイバラトミヨ。4〜6aの淡水魚で背中に9本のトゲと胸びれに棘があるので地方名で「トゲソ」と呼ばれるのだそうです。川の中に巣をつくり、なんとオスが子育てをする稀少な淡水魚。この小さな魚、氷河期の遺存種といわれ、世界的にも珍しく、新潟県五泉市が日本の生息の南限。この貴重な魚が、いま絶滅の危機にあるとのことです。知っていました?

04/ 5/ 13掲載